5-1.初めての個人輸入

 

いま私がいる楽団は、チューバが自分1人だけである。過去には最大3人いたのだが。      

うちのバンドは、地区体育祭、敬老祭、村祭りの余興など野外で演奏する機会のある、     

田舎の地域密着型バンドだ。そこでラッパが上を向いているチューバが1人だけ、       

というのは都合が悪く、チューバの新入団員も期待できないので、ここは思い切って      

中古のスーザフォンを買うぞ!という考えになった。もちろん、白いやつではない。      

スーザフォンの中古なんて都会の大手楽器店でもそう簡単にあるものではなく、        

ヤフオクでたまにニッカン(ヤマハの前身)のものが出るのだが、ピストンが無かったり    

マウスパイプが無かったり、という状態なので海外のebay(イーベイ)というオークション   

サイトで探すことにした。 


その中に、ポーランドの楽器店が出品しているアマティ(チェコの楽器メーカー)の      

中古スーザがあり、画像を見て状態も良さそうだったので、代行業者を通して765ユーロ    

(本体のみの価格)で落札した。1ユーロが日本円でいくらか、これまでの人生で一番気に   

なったのは言うまでもない。                               

        

初めての海外オークションということで、本当に品物が無事届くかとか、届いても       

ボコボコの状態だったりしないかとても心配。まあその点は代行業者が責任持ってくれると   

いうことだがやっぱり心配。                               

ポーランド人は真面目かとか、日本に対してどういう感情を持っているかとか、信用できる   

国民性かとか、ネットで調べまくった。                          

(ちなみにポーランドは親日国で、興味のある方は検索してみて下さい)

で、2015年7月9日、約2週間かけて届いたのが、これ。

 1mx80cmx60cmの段ボールでやって来た。中は大量のプチプチでごった返している。

 

荷札を見ると「船舶小包」とかいてあり、船で来たことがわかる。              

これだけデカけりゃ小包じゃなくて大包だろ、と思ったが。                 

発送元はドイツになっていた。ドイツに支店のある楽器店なのだろうか。           

それにしてもドイツからトラックで港まで行き、船で横浜へ来て福井県まで(郵便)の     

トータル運賃がたった42000円弱とは信じがたい。


 

箱を開けて、中身を確認。                                

モノは間違いないのだが・・・写真ではピカピカだったのになんかうす汚い感じ。       

船便だから潮風でやられたかとも考えたがこの梱包でそんなになるか?と思いながら      

ラッカーポリッシュで磨く。でも色は変わらない。                     

しょうがないのでメタルポリッシュを買ってきて磨いたところ、新品のように         

ピカピカになった。やれやれ。                              

・・・と安心していたが1週間くらいすると、また色が黒ずんできた。            

そして、やっとわかった。                                

 

「・・・これって、ノーラッカーのスーザ?」                

我々が普通見る金色の楽器は、真鍮(銅と亜鉛の合金)の表面をピカピカに磨いた       

ところに、ラッカーという透明な塗料が塗られたものだ。銀色の楽器は銀メッキが       

施されている。ノーラッカーとは、ラッカーが無い真鍮むき出しの状態の楽器だ。      

早い話が五円玉だ。五円玉は真鍮でできている。ピカピカの五円玉が、色が変わったと     

思ってもらえればよい。


 

前の所有者がラッカーをはがしてしまったようだ。おそらく、ラッカーがハゲてきたから    

思い切って全部落としてしまったのだろう。                        

まあそれがわかったところでこれがおトクな買い物だったことに変わりはない。        

「よし!このスーザをアンティーク感のある、アメ色の楽器にしてやろう」   

と決めいろいろ調べた結果、手の油が良くないらしく、マメに水ぶき+から拭きするのが    

いいそうなので再度きれいに磨き、毎晩(楽器を吹かなくても)フキフキしている。      

 (薬品を使う方法もあるのだが、そんなインチキはしたくない)


 

演奏するときは左手部分にプロテクタを着け、右手はピストン以外のところはなるべくさわら

ないようにしている。    

              

 

磨いた直後のようす。ベルの直径は60センチほど。

カーペットのラインは9センチごと。

 

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