4-5.オーケストラの話(2)

 

オーケストラのチューバは出番が少ない、と書きました。

 

ドボルザークの交響曲第9番「新世界より」で出たことがあるのですが吹く所は

たった9小節でした。(時間的には、約45分中、1分たらず)

だったら楽なんでしょ、と言われそうですがそうでもありません。

この9小節とは2楽章の頭4小節と終わりのほう5小節ですが、後半の頭の音は

吹奏楽でいうチューニングのB♭の上のD♭の音(2分音符)です。

CでもDでもなく、D♭というのがクセモノなんですね。1オクターブ下だったら

まだマシなのですが。これをppで鳴らせっていうんだから神経を使います。

管楽器は吹いていないと冷えてきます。そんな状態から鳴らすとなると、うまく

出るか不安がつきまといます。音がひっくり返らないかとか、音を間違わないかとか。

当然、本番中に音出しするわけにはいかないし、楽器をあたためようと「フーーッ!」と    

息を入れることもできません。

「これだけしか吹く所が無いのにミスするわけにはいかない」と思えば思うほど

ドツボにはまってしまいます。そして、やってしまいました。

(音の出が遅れてしまいました)

3,4楽章は休みですから、吹かないのに座ってじっとしていなければなりません。

穴があったら入りたいとはこのことです。                         

「9小節しか出番がないのにミスって、オレは一体何しにここに来たんだ・・・」

演奏が終わった時のお客さんの拍手はむなしいものです。

まあ、今となってはいい思い出ですが、プロのオーケストラのチューバ奏者は

吹かない時は何を考えているのか、出番が無い時はどう過ごしているのか

知りたいですね。

 

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