オーケストラのチューバは出番が少ない、と書きました。
ドボルザークの交響曲第9番「新世界より」で出たことがあるのですが吹く所は
たった9小節でした。(時間的には、約45分中、1分たらず)
だったら楽なんでしょ、と言われそうですがそうでもありません。
この9小節とは2楽章の頭4小節と終わりのほう5小節ですが、後半の頭の音は
吹奏楽でいうチューニングのB♭の上のD♭の音(2分音符)です。
CでもDでもなく、D♭というのがクセモノなんですね。1オクターブ下だったら
まだマシなのですが。これをppで鳴らせっていうんだから神経を使います。
管楽器は吹いていないと冷えてきます。そんな状態から鳴らすとなると、うまく
出るか不安がつきまといます。音がひっくり返らないかとか、音を間違わないかとか。
当然、本番中に音出しするわけにはいかないし、楽器をあたためようと「フーーッ!」と
息を入れることもできません。
「これだけしか吹く所が無いのにミスするわけにはいかない」と思えば思うほど
ドツボにはまってしまいます。そして、やってしまいました。
(音の出が遅れてしまいました)
3,4楽章は休みですから、吹かないのに座ってじっとしていなければなりません。
穴があったら入りたいとはこのことです。
「9小節しか出番がないのにミスって、オレは一体何しにここに来たんだ・・・」
演奏が終わった時のお客さんの拍手はむなしいものです。
まあ、今となってはいい思い出ですが、プロのオーケストラのチューバ奏者は
吹かない時は何を考えているのか、出番が無い時はどう過ごしているのか
知りたいですね。