4-2.チューバの座る場所

 

前に「チューバは音を壁(反響板)に当てる」と書きましたが皆さんのバンドでの

チューバの位置はどうなっているでしょうか?

 

おそらく上の図のような感じだと思います。(矢印は音の飛ぶ方向)


この位置だと、ベルが(指揮者から見て)左向きのチューバは音を後ろの壁に当てることに

なりますが壁までが遠いです。

そしてベルが(指揮者から見て)右向きのチューバは、特にベルを傾けるほど

右側の客席に向けてナマの音を出すことになります。

壁当てしていないので音が硬く(ガサついた感じ)、しかも客席の右側の人によく     

聞こえます。(客席の左側は、ほかの楽器の音にかき消されてしまう傾向があります。) 

いろいろ調べてみると、昔の人は金管低音楽器に「オルガンのような重厚な音色」を

求めていて、その結果、ベルを上に向けて音を壁当てさせる結論になったようです。

個人的な感覚かもしれませんが、ベルを客席方向に向けると低音が聞こえても

なんか重厚というイメージとは違うなあ・・・というふうに感じます。   

また、チューバの音を聞いてもらわないといけないのはお客さんのほかに、他の演奏者です。  

チューバのリズムを聞いて他の楽器が吹いていると考えるとベルを客席に向けるのは      

よくないのです。

つまり、チューバにとってこの座り位置は理想的ではありません。

ダメとはいいませんが、せっかくがんばって出した音がもったいないです。

学校の音楽室くらいならどの位置で吹いたってあまり関係ないですが、ホールで吹くと

チューバの音が小さいように聞こえるのはこのためです。

どうして吹奏楽ではこういう配置になっているかというと、オーケストラの弦楽器の配置を

そのまま管楽器に当てはめているからです。コントラバスの位置がそのままチューバに

なっているのです。この配置は日本特有のようです。

この並びでは、私たちチューバ吹きからは「チューバがどういう(方向に音が出る)楽器か

考えられてないだろ!弦楽器と管楽器を一緒にするな!」という苦情が出るのですが

長年かけて落ち着いた配置を、チューバだけの都合では変えることができないのが実情です。

学校の吹奏楽部の先生方には、一度でいいのでチューバの配置変えを試みるよう

お願いいたします。

(ついでに言うと、チューバって演奏会の写真で顔が半分以上かくれて残念なことが多い

ので、席がえしてほしいです。)

理想的な場所は、ひな壇の最上段です。音は側面または天井の壁をねらいます。

(当てられる壁がなるべく近い場所)オーケストラのチューバがいい例です。

先生が「ダメだ!」というのであれば、今の場所でなるべく楽器を立てて天井の壁を

ねらうのがいいと思います。天井が高いとあきらめるしかありません。

 


例1



例2



欧米の吹奏楽(ウインドバンド)では、このようにチューバは後列の中央

付近に座るパターンが多いようです。

 

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