腹式呼吸は大事だ、肩を上げるな、腹をふくらませろ、と中学生の時先輩から教わった。
今でもそう言われている学校は多いようだ。
でも、大人が吹くのを見ても、テレビでプロの管楽器奏者を見ても、息を吸う時に腹をふくらませる
ところはほとんど見ない。どうしてだろうか?と思う。
それに、クラリネットの美人お姉さんが腹をボコッと・・・ではイメージが違いますよね?
腹式呼吸がいいといわれるのは、横隔膜を下げて腹を出す吸い方がたくさんの空気を肺に
入れられるから、という理由らしい。
そもそも、吸った息は肺に入るのであって、腹に入るのでは無い。肺に入った空気が横隔膜を
押し下げて肺の下にある臓器を押しやった結果、臓器が下腹に出てくることを理解して
おいてほしい。
しかーし!肺は100%下方向にふくれるわけではない。風船はタテにもヨコにもふくらみますよね?
肺だって同じなんです。ちょっとですがヨコにもふくらんでいます。
いやいや、肋骨(あばら骨)があるのにヨコになんかふくらむわけない、と思うかもしれませんが
息を吸った時は肋骨がわずかながら「ハ」の字に広がっているんです。
ラジオ体操の最後とかでも深呼吸する時、腕を真下におろした状態から少し上げると思いますが、
わき腹に空気が入って肋骨がちょっと「ハ」の字になっているからでしょう。
楽器を吹く時に座った体勢だと、立っている時に比べてお腹がふくれようとしてもふくれにくい。
そしてそのかわりに、わき腹や腰がふくれ、さらにたくさん吸うと、背中や胸の上部がふくれる。
(私だけではないと思うが、手を前に持って行きチューバを抱きかかえると、胸が
ちぢこまるため胸より背中に息が入る)
私がプロの金管奏者をはじめて見た時、ブレスすると背中が異様にもり上がってびっくりしたのを
覚えている。
腹を出すことにとらわれず、腰式呼吸、背式呼吸(そんな言葉があるかわからないけれど)、
胸式呼吸の訓練も取り入れた方が、座って楽器を吹くのには効果的ではないだろうか。
イメージ的に上半身全体に空気を入れた状態で(胸や肩の骨、肩甲骨と連動して)自然に肩が
上がるなら、それはOKだと思います。
意識的に肩を上げて呼吸するのは、ノドに力が入ってしまうので良くありません。
背中や腰がふくらむなんてそんなアホな、と思う人は、リュックに重い荷物を入れ、
荷物が背中全体に密着するようにした状態で息を吸ってみるとふくらむのがわかるはず。
(リュックは腰まで当たる大きめのものの方がよくわかる)