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スペースマウンテンの巨大ドームの前に立った時、今朝見た富士を連想した。 前日の嵐の余韻をとどめて漣立つ東京湾の向こうに白い山が澄み切ったコバルトブ ルーの空を背景に出現した瞬間、私は荘厳を感じた。富士山の下には帝王の玉 座の元にひかえる家臣団とも言うべき茶色の連山が折り重なって伸びていたが、天高くそびえる雪の冠を戴いた美しい主は臣下たちとは比べようもなく優越していた。まばゆいばかりの美は薄霞のベールによりつつましやかさを与えられていたが、それが神韻とした趣となっている。古人が富士山に「日本一」の称号を与えたのも、ここ舞浜では納得できることである ・・・スペースマウンテンの白いドームが富士と形が酷似していたので、上記の連想が働いた訳であるが、横に並ぶ潤の声で現実に戻った。
「いいえ、乗るわよ」
宇宙ステーションを模した通 路にはゴールデンウィークも過ぎた初夏の兆しを含んだ日が差し入り、小さな悪魔の笑いを口の端に浮かべている潤の茶色の髪を金色に染めていた。 「きゃーーーー!!」
私は成り行きを見届けてやろうと頑張っていたが、横揺れで右腰を打ち付けてしまった。痛みを感じながらバーに掴まる手に力を込めつつ相方の様子を伺ってみる。 しかし、隣の座席に潤が納まっているはずなのだが、暗黒の演出ゆえ顔を見ることは 出来ない。ただ感じるのは潤の腕、腰、体温だけである。しかし隣り合わせの体を流れるあたたかな血の脈動は感じ取れる。確かに「彼自身」にも、こうしてジェットコースターで上下もわからないほどゆすぶられている間も確かに流れているはずなのである。いや、この人間の限界に挑むような凄まじい揺れは、彼の葉脈の活動をさらに激しく推し進めてはいないだろうか?私は潤の中心に棲む健やかな生き物を想像す る。桃色のそれは・・・と考えているうちにライドの昇降と回転が一段と激しくな り、上下の感覚が消失していく。エクスタシーに達した時のように頭の中が空白になり、マヒした平衡感覚のうちに、スペースマウンテンの旅は終了した。 人を脅迫するかのようなおびただしい注意書きを読んでいたので、私はライドから
降りたとたん自分の体調を観察したが、ふらつきや吐き気がなかったので、密かに安堵すると共に自分の若さに内心ほくそえんだ。
実際潤は少し青い顔をしていた。元々色白の青年だが、物に憑かれたような表情がなめらかな頬の線に浮かび上がっている。そういえば、彼はジェットコースターが苦
手だということをメールか掲示板で告白していた。 指差した先には白いドームの前にある「パン・ギャラクティック・ピザポート」があった。そこは銀河系で一番おいしいピザを作る店という触れ込みの店だった。
銀河系のファーストフード店「ピザポート」へ入ると、お昼まではまだ間があったので混雑をまぬ がれることができた。内部はカラフルでポップな宇宙ピザ自動マシー ンや用途不明な機械でかわいらしくディスプレイしてあった。潤はすばやく席を取り、私に注文を聞いてレジへ向かった。私は銀色のイスに腰掛けて、レジの列に並ぶ潤の後姿を眺めた。フライトジャケットからブラックリーバイス501の腰が見える。引き締まった臀部が黒いデニム地からも伺え、その下には長い足が伸びている。 さっき、あの細い腰はロケットと称する乗り物の中で左右に上下に振られ、まさにあの時と、彼が彼らしい姿に成長して天馬と化して奔放に私の胎内を駆け巡る時のと同 じ動きをしていたのだ。私も強烈なGを受けて身を固くしているうちに芯の蠢動が始まり、股間を引き締めると快感が突き抜けそうだった・・・ 愛の雫が体の奥族から湧 き上がってくるのが解ったので、私は深呼吸をして気を静めようとした。すると向こうから潤がお盆にオーダー品を載せて戻ってくるのが見えた。
チキンとキノコの三角ピザをつまんで口に入れるとチーズの濃厚な味と獣の肉汁が
口中に広がり、渇れた欲望が満たされるのを感じた。金の縁取りがついたスープ皿を
上品に手前に持ち上げて純銀のスプーンで掬う白手袋を着けた淑女のごとき優雅さで
ピザを扱ったつもりなのだが、内なる下等な思念が薄紙に染み出る油のように透けていたのだろう、潤が驚嘆の声をあげた。
潤は呆れたように言うと、自分で注文したグレープジュースを飲んだ。薄茶色のシャツの間から覗く首は細いが、喉には完全な男の隆起があり、それが動いてジュースが喉を通 過していくのが解る。私はあの彼の喉元に何度口付けしたことだろう。咥えたこともある。その時潤はくすぐったそうに体をよじり嬌声をあげた・・・ また!ここは健全なテーマパークじゃないの!私は自分の邪念をしかりつけ、誤魔化すために潤に何事か話しかけようとした。
「どう?」 今晩の宿はホテル・ミラコスタだった。それは日本発のパーク一体型ディズニーホ テルホテルという話題性のみに留まらず、18世紀イタリアン様式を忠実に再現し、象 嵌を駆使したマホガニーの光沢の豪奢に縁取られた贅沢な空間だった。広々としたエ ントランスの中心にある海獣が水を吐きあげる噴泉や優美なカリグラフィによる黄金 の紋章が荘厳さをさらに盛り上げ、ホテル内も一泊50万円もするマニフィコ・スィー トや古代ローマの皇帝が出現しそうなコリント様式の白い柱が美しいプールとスパなど、自分が日本にいることを忘れてしまうほどの華麗な異国の香りに満ちた別 世界 だった。それだけに料金も破格であり、ディズニーファンの憧れを一身に集めている。パークの周囲に並列するオフィシャルホテルでも充分事足りたのだが、潤との一 夜を過ごすのに一般向けのシティホテルよりは、趣味的にも卓越したクラシカルな宿か、逆にいっそのこと卑猥な装置で本能を直裁に刺激する「典型的なラブホテル」の 方がふさわしいように思えた。 もちろん理由はそれだけではない。実は愉快な計画がこの胸に詰まっているのだ。古代ギリシア・ローマを模範とした人間復興ルネサンスの建築装飾を踏襲したイタリア貴族の離宮を模したエントランスをくぐると、ヨーロピアンスタイルの広くはな いロビーの中心に赤銅色のガレオン船のモニュメントが出現する。天井を見上げれば、各都市国家の中核を形成するドゥオモの丸天井がディズニーシーの各コーストを表現した美女の壁画で飾られているのが目に入る。これらの美的なシンボルは様々なガイドブックでも紹介され、宿泊客以外にもこの「海を眺める」とイタリア語で命名されたホテルを見学に来る者も少なくなかった。 当然美に対する感受性の鋭い潤の興味を引く。潤はつないでいた私の手を離して感嘆した。昼下がりのホテルは人もまばらで、潤は心行くまで日本に出現したイタリアの美を観察できるはずだった。しかし私には彼の好奇心を満たす余裕はなく、部屋へ急がせるために彼の袖を引いてエレベーターホールへせきたてた。 白大理石の壁のなかにエレベーターはあった。優美な唐草文様がついた茶色のドアが左右に開くと、私はすばやく緋の絨毯を敷き詰めた内部へ入り、テラスルームがある5階のボタンに触れる。するとミッキーマウスの声で「上にいくよ!」と応答があり、音もなくドアは閉まった。 「おまえ、なんで慌ててるの?」 私はジーンズをはいていたのだが、潤のしなやかな指先はぶあついデニム地の上から簡単にクリトリスを探り当て、そしてつまんだ。私の下着はパークにいた時から充分に濡れていたので、もちろんクリトリスもぬ
めっており、淫猥な音を立てて潤の指をすべった。 からかうようにささやきながら人差し指と中指が大小の唇の形をなぞって上下する。潤の愛撫はギターの弦をかき鳴らす要領でいつも正確だったが、この時も生地に 隔たれた接触であるのに電流を通したように陰部全体をかき乱し、下半身に快楽の共鳴を起こした。 「いや、やめて、こんなところで」 「5階だよ!」 いつの間にか潤はブラウスのボタンとフロントホックのブラジャーをはずしてしまったらしく舌を乳房へと移動させている。すでに敏感になった乳首が彼の舌で蹂躙されるのは時間の問題なのだが、上と下から攻められたのでは火のついた中心は飢餓 状態に耐えられなくなりそうなので、もう一度潤をいなそうとした。 「だめよ、こんなとこではしたないわ」 「ああ・・・」 「あっ!」 「どう?」 言葉とは裏腹に私の宇宙は彼への要求で聞こえるほどに蠢動を始めたようだった。 潤はすべてを悟っているのか、今度は熱く固い肉の柱の先で腹をくすぐる。すでに先走り液が染み出した笠は腹にいやらしい軌跡を残して動き回る。それに連動して私の澪も激しくなり太ももを伝い始め、腰は小刻みに動いている。潤が私の足を上げさせてジーンズと下着を取り去るのを混乱した意識の中で感じる。 ああ、早く早く入れて、入れて、私の乾きを潤の泉で癒して・・・潤は私の左足を持ち上げた。ああ・・・
股間に熱い笠が触れたかと思うと、太いものが乱暴に侵入してきた。 茶色の瞳に煌きを宿した小悪魔は軽く腰を突き出した。あの巨大な笠が私の深い奥 所を的確に突いたので、その部分に激しい稲妻が走る。とがった閃光は四方へ飛び散り腰全体を網羅し、上下の肉体にすみやかに伝播して全身が快感で包まれる。愛の蜜が次なる潤の運動を期待して更に湧き出すのが自分でも判る。 しかし潤は欲望に敏感な女性の天井を押していた亀頭をわずかに引いた。 「ククク」 めくるめく快感が蘇る。豊潤に溢れていた愛液が肉体の摩擦で卑猥な水音を上げ、その余剰は潤の根元や私の太ももに幾筋も垂らした。すでに膣の肉襞群は立って久しく、子宮への湿った道を押し広げて占領している長大な牡の象徴に、触手のように巻きついて吸い付いて潤を咥え込んでいた。いまや宙に浮いていた右足は、より確実でより深い結合を求めて潤の足に絡みついていた。私の体に入っている潤の根元が私の摩擦と旋回を駆使した運動で揺れはじめた。 「あはは、おまえもすっかりその気じゃん」
「3階だよっ!」貝のように閉鎖されていたゴンドラ内の濃密な甘酸っぱい空気に、 ホテル特有の静けさとよそよそしさが混在した空気が流入してきた。 エレベーターの外には静寂なエレベーターフロアがあり、花のさわやかな香りが 漂っていた。フロアの正面の象嵌細工のテーブルにはチューリップのアレンジメントが白い器に盛られており、そのパステルカラーは幾分照明を落とした重厚な館内にやわらかな印象を与えて調和していた。 「さ、降りようよ」 「立てる?」 「できた?」 潤に支えられながらクリーム色の内装で統一された廊下を歩いていく。廊下も館内の雰囲気に忠実で床のラグが見事だったが、私の意識は自分の芯に集中していた。熱い粘膜はまた潤に吸い付いた状態を記憶して規則的な叫喚を続けている。快楽のオベリスクを受け入れていた膣口も蠢動をやめず、通
行人が見れば私の歩様は不自然に違いない。潤の器官によって敏感になった部分に固いジーンズ地がこすれて痛みを感じた。足を踏み出す都度起こる小さな痛みはすぐに痛痒感になり、新たな刺激になってしまった。着衣時、少し治まったかに見えた情欲がその部分から蘇る。ああ、ああ、
どうしよう。あの道をいやらしい虫が這い回るような・・・その部分は著しい分泌物
を滴らせた。 潤は私の肩に手を回していたが、鼓動が激しくなったのを感じたらしく足を止め
た。 私は潤を受け入れ陶酔に身を任せていたが、一方いつドアが開くかと気が気ではなかった。しかしスリルを伴う秘め事には古代の神殿の秘仏を弄ぶような禁
忌に満ちた愉悦感があったのは確かなのだ。 どこをどう歩いたか記憶がない。私は潤のリードにしたがって歩いただけだった。
階段を上がったような気もした。頭が痺れて神経は下半身にのみ存在し、ただ潤の腕にすがって彼のジャケットの裾を握り締めて湧き上がる欲望に耐えていた。
メディテレーニアン・ハーバーに面した大きな窓には
面取りをしたガラスがはめこまれ、午後の日が差し込んできている。窓の側には4組
ほどの先客が張り付いたように座っている。あの人たち眩しくないのかしら・・・
今夜の私たちの部屋は5階のスペチアーレ・スウィートでも人気の高いポルト・パラディーソサイトのテラスルームだった。そこはメディティレーニアンハーバーを眼下に見下ろし、その向こうにシーのシンボル・プロメテウスの火山を遠望でき、昼のウォーターカーニバルから夜のディズニーマジック・イン・ザ・スカイまで自室のテ ラスから観られるという特等席としてディズニーファンの間では伝説的な部屋であった。 予約は半年以上前から埋まっているので、まさか予約が取れる幸運に遭遇するとは想像だにしていなかったが、予約を任せた潤が父の知人のツテでこの部屋を確保したと聞いた時は当然喜んだが、「テラスルーム」という部屋の構造も私には僥倖に思えたのであった。あの桜の季節の潤の記憶は、私に火のような羞恥と湧き上がる怒気 を蘇らせた。夜桜の下という幻想に満ちた場面ではあったが、屋外で野生の生き物のように臆面 もなく交合するとは・・・私は体の芯に疼めきを感じるのを心の底に押し隠していたが、年下の青年に好き勝手に扱われた屈辱は隠せない。夜空に花火が赤や 青の菊花や柳を打ち上げる最中、テラスという同じシュチエーションで彼を剥いで締め上げて花火のように欲望を破裂させてやろうと思っていたのだが・・・ そんな気も 知らずに潤は私を支え長い廊下を歩いていたが、ある部屋の前で足を止めた。
部屋へ入ると、クローゼットとバスルームに挟まれた通 路があり、その先には広々としたリビングルームとなっていた。壁一面といっていいほどの大きな面 積を取った窓には青と黄の対比色に染めた重みのあるバランスを侍らせたカーテンが垂れ、しなやかなドレープを作りつつ両脇にまとめられており、その優雅さはいかにも洗練された趣味を持つ北方イタリアのブルジョアの私室を再現したかのようであった。その先にはこの部屋が世間に喧伝される要素である広大なテラスがあり、絶景が望めるはずであった。 一瞬部屋の優美さに自意識を取り戻した私は、当初からの目的地であるテ
ラスへ行こうとしたが、ドアを閉めた潤は私の手を捉えた。 「きゃっ」 「潤ちゃん!」 私の生足を割り、間に体を進め、太ももを腕で抱えた潤はためらうことなく開いた股間に顔を埋めた。私は反射的に体に力を込めたが、仔犬の舌のような柔軟さと軟体動物の触手のような淫媚な動きをする舌で大小の陰唇を舐め取られ、蜜を吸い取られる心地よさにいつものように陶然としてしまった。 潤はギターの弦を押して様々な音色を奏でるように性感帯を縦横に刺激して歓喜のバラードをかなでる技を会得している。私は牝の蜜の泉の底に秘めた悦楽の点を熱くてざらついた舌と細い指で刺激し頂点へ押し上げるサービスを心待ちにしてさらに股を開いてたが、予想外の展開になった。 私は突然下半身に巨大な楔を打ち込まれたのを感じた。潤がいきなり侵入してきたのだ。淫水で筋のついた大腿を持ち上げ、笠先の愛撫を経た静寂の潜水を待っている膣の入り口を気ぜわしくつき抜け襞を一気に掻き分けて感覚の泉源を突き上げた。腰から快感が突き上げ声があがった。 「あっー!」 「お、お前の声の出し方は萌えるよ」
「ああっ!」 潤の精をより深く吸い取るために足を彼の腰に巻き付けて、引き締めた膣口を一旦緩めた。
それまで突進と転進を激しく繰り返していた潤は小休止を取らんがため、膣が力を抜いたのを見逃さず身を引こうとした。しかし私は会陰と大陰唇をも使ってそれを阻む。潤の太い茎を左右の唇が挟み上げる。今まで潤を根元まで受け入れていた胎内の奥には真空地帯が生まれ、再び潤の高性能動力機関のついたロケットをブラックホールへ吸い込もうとする。
しかし後退を諦めた潤は苦悶の呻きを漏らしながら体を動かし始めた。彼はあえて奥へ戻り二つに割れた笠の先端を天井へ対し強力な摩擦を繰り返したのだ。今まで潤
を締め上げてほくそえんでいた私の底から再び牝の声が沸きあがってきた。 子宮は潤の何度もの突撃で充分に充血しているが、絶頂まではまだ間があるようだ。意志を持つかのように蠢動していた膣口が開いた瞬間、潤がわずかに休息したの で、私が肘を使って上半身を起こして潤を見上げると、白い額から汗が流れ落ちて桃色に紅潮した頬を伝って、筋張った喉元を通 って鎖骨を掠めて、同じく桃色に勃興し た乳首に到達したところだった。彼の全身は性の色に染まっていた。もちろん私の全身も潤の容赦ない突き上げにより導かれた性の興奮による汗にまみれている。大きく開いて潤を挟む自分の股間に目を移すと、自分の陰毛の中に太い肉が埋まっているのが見えた。 見事に膨張した赤黒い男根が黒々した陰毛の林に突き刺さっている光景は、インドで見たシバ神の神殿の奥深く安置された御神体を連想させた。何百もの体位 で性交する男女神を隠すことなく寺院や塔の表面に彫り付けたヒンドゥー教にとって性とは宇宙そのものであり、踊るシバ神により体現されたヒンドゥーの原理、つまり破壊と再生の源であった。 自分の一物に見とれている私に気づいた潤は先ほどまで保持していた優位
を取り戻 した。 自分の淫乱さを認めたくない羞恥心に襲われた私は両手で顔を覆った。羞恥に燃えるその様子が、潤の欲望を刺激したらしい。彼は再び動き出した。私も合わせて腰を振ったが、潤の律動は先ほどよりも勢いを増して受け止めるたびに悦びが大きくなるのが解った。陰毛についての会話は更なる飛躍へ向けてのささやかな休息をとるため の潤の作戦だったのかもしれない。すでに部屋の入り口から窓の間近まで潤に突き上げられて動いた私は、今はガラスに手をついて潤の衝動に耐えている。水気を帯びた摩擦音とじゅうたんを擦りあがる音をBGMに、二人の息遣いと悶えの声が部屋に響き、それらの淫音は徐々に高まっていった。 焦燥を含んだ快感で下半身は限界まで燃えている。すでに腰の中は潤の動きで溢れ
そうになっている。もうすぐあの感覚が来ると悟った私はついに言った。 「潤ちゃん、餓えてたんでしょ」 先に港に降臨し祭りをダンスや歌で盛り上げ た色鮮やかな仮面や衣装を身にまとったパフォーマーたちが、ディズニーキャラク ターたちが美しく装飾された16世紀の船に乗って港を旋回し、観客に手を降り愛嬌 を振りまきながら退出していく仕組みになっていた。 「カーニバルやってる間、ずっとえっちしてたね」
この小僧は人の心を読むのか・・・と少し焦ったが、そ知らぬ
顔で応える。 「晩にね」 「前は夜桜だったけど、今度は花火の下でやるんだよ・・・」
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