春日先輩となんだか「ウニャウニャ」な関係になってからしばらく経つのだけれど、未だに「春日先輩超カッコイイ!」という歓声には辟易してしまう。
いや、私の大好きな春日先輩が超格好いいのは当たり前だけど……。
だいたい九割パターンその後に続く「すごく爽やか!」という形容詞に同意しかねてしまうのだ。
ううんぜんぜん爽やかじゃないよ。と。
これは私が春日先輩に身体をいじくりまわされるからそう言うのではない。
周りのみんなだってもう少しジーッと観察すればすぐに気がつきそうなのに。

私は気づいてた。付き合う前から。
春日先輩は格好いい、ちょっと軽いところがまた憎いね、なんて言いたくなる憧れの先輩で。
でも同時に……この人は、きっとたぶんすごく強引で、人に言うのもはばかられるような性癖を、たくさん持ってるよ、と確信していた。
まじめにバスケする姿を見てものの三分ちょっとで。

「おーう」

私がランチボックスと水筒を掲げて屋上に出ると、どこか気の抜けた声がする。

「春日先輩っ」
「今日も持ってきたん?」
「うん!これね……この間ほめてくれたやつ」
「ほー」

そう言って隣に腰掛けるなり、許可も得ずに先輩の手はランチボックスを開いて、中に詰められたサンドイッチとフライドポテトを漁りはじめる。
その遠慮のなさは私を先輩のテリトリーに入れてくれている証だから、今さらイヤな気持ちにはならない。

「お味噌汁もあるよ、ほら」
「この組み合わせに味噌汁なわけ?」
「これが一番つくりいいのっ」
「その具なし味噌汁プッシュはなんなんよ……ん、うまい」

あきれつつ春日先輩は水筒に口を付けてくれて、一番の得意料理であるところの具のない味噌汁をほめてくれる。

……一番最初に友達に誘われて練習試合を見に行ったときも、私はこのうっっすい、お味噌超ひかえめ、代わりにだし汁をとにかく濃く濃く取りまくるお弁当の友を持っていた。
他の子にとってはバスケ部に差し入れにいく、というのは、ただきゃあきゃあ言いたいだけのイベントだったようで……。
差し入れにお弁当持っていこう!と言われてきまじめに水筒に味噌汁、大きなランチボックスにサンドイッチをごっさごさ詰めて来たのは私一人だった。
みんな笑うべきなのか困るべきなのか迷ったみたいで。
結局どっちつかずの……フィーリングで言うなら「どっちらけ」な反応をされた。
みんながきゃいきゃい言ってお菓子持ってきてる中なんで一人だけデカデカ弁当箱装備なの。空気読めよなホント。みたいなこう……。
ああ知ってる、こういうムードになるとみんな、「私」をいけにえにして虚仮にすることで連帯感を高めるんだよね……と、体育館裏で一人半泣きになりながら弁当をつついた。

びっくりするくらいおいしくて悲しかった。
だいたいみんなサンドイッチと味噌汁って私が言っただけで中を見もしないから誤解してる。
鶏ササミを漬けてチキンマリネにして、食べやすいように三分の一に切ったベーグルに挟んだサンドはあんまりイモい感じでもないと思う。
おみそ汁だって具は入ってないもん。傷むからなんだけど。
薄く透き通るおみそ汁は、汁っていうかスープと呼ぶにふさわしかったし。
あーみじめ。哀れ。こんなに美味しいのを食べさせてもらえないみんなは、すっごく可哀想。
と半泣きどころが本泣きで全部全部、だいたい三人前くらいを想定して持ってきたお弁当を全部食べきる気概で口に詰め込んでいたときに、
春日先輩がスピーディに通り過ぎつつお弁当をパクッとつまんでいき、

「おっ、うめーも一つちょうだい」

などとふてぶてしく私の前に座り込んだのが……もう、気づくと少し前。
以後すっかり気に入られて飯炊きばあさん……ううん語弊がある、飯炊きレディーに任命されて、私は春日先輩にくっついて回っている。



「んっ……!ちょ、きょ、今日も……なの……?」
「なのー」
「でも……!」

腹八分そこそこになった先輩がところかまわず抱きしめてお尻をさわってくるのも、それ以上のことをしてくるのも、ぜんぜんイヤじゃない。
ひとまず様式美っぽく抵抗するけど。

「ふ、あ……あぁ……!」

座り込んだ春日先輩に抱きとめられて膝立ちになり、自然と反対側に突き出すお尻をむにむに触られる。
息を荒くしながらしがみつくと、撫で回すだけだった手が急に力強くなって、ぎゅむぎゅむ音がしそうなくらいに尻肉を揉んでくる。

「せんぱぁい……おしりっ……おしり、だめえ……」
「いい尻〜。ずっと触っててもぜんぜん飽きない」
「ひ、ひとをおしりだけの女みたいに言わないでぇ……!」

反抗しても手がゆるむ気配はないので、鼻を利かせる犬のようにスンスン言いつつ春日先輩の胸板に顔をすり付ける。

のけつは揉んでてホント楽しいよ」
「か、からかわないで……ん……っ!」
「褒めてんの」

そう言って先輩の口腔に耳たぶが食べられてしまうのとか、へらへら笑う声とか、余裕ありげな顔だとか。
それを見ていると爽やかで格好いい、と言ったみんなにうなずきたくなるのだけど……。

「んやぁ?!ちょっと、だめっ、中だめっ……!」

先輩の手はおしりにはもう飽きたらしくて、お弁当やお菓子を箱からつまむのと同じくらい遠慮のない仕草で下着の中に滑り込んでくる。

「うっ、わ……」

いやとかだめとか言いながら、粘膜が湿っているのが全部知られてしまう。
……指を簡単に呑み込んで、きゅうきゅう痙攣する肉穴の感触にブルンッと身震いした瞬間の春日先輩の顔なんか、そう。

……一目惚れは、お弁当を無心に食べてくれるのを見たとき……ではなかった。
その後に行われた練習試合で、熱心に先輩のことを目で追っていたさなか、ふとシュートの際に春日先輩が上げたかけ声があまりに品のなものだったのを聞いて。

あっ、この人ぜったい優しくない……と、わかった。
私に見せた気遣いとは真逆の、秘めた暴力性……もったい付けた言い回しをするなら「彼の烈しさ」が、その瞬間に透けて見えた。
周りの子はゴールに入ったボールにはしゃいでいたけれど……私は、あれだけしずしずと怖ろしさを見せておきながら、素知らぬ顔して「ヤサっぽい男」に戻る春日先輩から、目を逸らすことができなかった。

「溜めすぎ……」
「た、めてなんか、ない、よぉ……」
「んじゃこれ通常運転?はこんなに濡れちゃうの、いつも」
「わかんないの……ためるとか、ためてないとかぁ……!」
「休みの間は、した?」

ぶんぶんぶん、と首を横に振りながら先輩の胸に一層強く押しつけると、ふぅん……と思わせぶりな返事。

「いい子いい子……ホラ、お兄さんの手においで」

春日先輩はぜったいに逆らわない私のことをわかってて、なんでも命令する。

「はぁ……ん……っ!」

これに逆らわない私も私だ、と思いながら……さしのべられた春日先輩の手のひらの上に、ぐっと乗っかる。

「十分滑るでしょ」
「ふ、うぅあ……あぁ、あ、あ、足、ガクってなっちゃうからぁ……!」
「だーいじょぶ、俺が支えてやっから」

だから、と背中をばしっと叩かれた。

「うぅっ……ん、うぁ……あぁ……!」

先輩が脚の間に手を差し伸べたら、それは先輩の手にしっかりアソコをくっつけて、気持ちよくなるまで揺すってなさいってことで……先輩いわく、腰をへこへこする様子が間抜けと同時にすごく可愛いんだそうで。

「んっ……ん、熱い……の、きもちいい……!」

言われるまでもなく、快感を求めているのだとわかる動きを先輩の前でしてみせるのは、すごく間抜けなわけだけど……。

「せ、んぱぁい……んっ、は、はぁ……はぁ……!」

ヌルヌルになった割れ目を先輩の指や手首にこすって得られる気持ちよさは、おしりを揉まれたり、キスをされたりするのとは全く違うもので、
繰り返すうち先輩の手のほうも私の愛液でどろどろになる頃には、腰の奥からこみあげるもどかしい熱さをどうにかしたい気持ちで頭が一杯になってしまう。

「いいっ、よぉ……せんぱいっ、せんぱ、いっ……!」
「俺も動いた方がいい?」
「い、いいいっ……いじわる言わないでぇ……!」

先輩が動くって言うのは、この状態で指を動かして私をいじめることを示している。
いじめてほしいけれど……それよりも先に、この疼きに任せて自分で腰をもぞもぞ動かして、気持ちのいい痺れが背筋を抜けていくのを味わいたい。

「んん……っ、あ……!」

春日先輩は、こういうときにだけ私の言うことを聞いてくれるのがなおのこといじわるで……。
私がブルンッと震えて、先輩の手のひらの上にしりもちをつくまで、じぃっと待ってくれた。

「ふぁ……あぁ、春日せんぱぁい……」
「いー子いー子……ん、顔上げて」
「わ、あ……んっ……!!」

先輩はキスが好き。
たぶんいやらしいことはなんでも好きなんだと思うけど、キスするときや、身体のどこかを薄い色の唇と舌で舐めるときは、いつもより息が荒くなる。

「ん……ん、んっ……!」

舌を突き出すと、根本から引っこ抜こうとするように強く吸われた。
にゅぶ、にゅぶにゅぶ……と、先輩の唇が遠慮ない仕草で舌を何度もしごき上げられる。
もうやめて、とタップの手つきをしようとしたのに、その手も掴みとられてしまう。
このままやらせろ、と言っている。
春日先輩は、ご奉仕の気持ちや恋人同士の睦まじいこととして舌を痛いほど吸いあげているのではなく、
ただ自分がしたいからしているのでそれに付き合えよ、とたびたび私を押さえ込む。

「うっ……う、うぅう゛っ……!」
「っ……はあ……」

ぞわぞわする。
頭の中に飽和していく変な痺れが恐ろしくなって目を開けば、先輩がじっと私を見ている。
目が合っちゃった……という気まずさを抱くのは私の方だけらしい。
先輩は視線がかち合ってもなお、じーっと私をゼロ距離で見つめつつ舌を器用に絡ませる。
「っん……?!うう゛っ、うひゃっ?!ひぇんぱいっ!」
「んー……が集中してくんないから……もっとこっちがいいのかなって」
「いっ、あ゛っ、そんなぁ……あぁう……?!」

流れ落ちた愛液も汗も綯い交ぜにしながら、先輩の指がぐりぐりぐり……と割れ目を押し広げ、
粘膜の中でどくどく言っている肉芽を見つけるとすかさずつまんでしごきあげる。

「ふ、ぅいぃいっ!しぇんぱっ、しょれ、しょこぉっ……!」
「赤ちゃん言葉になってるって」
「ちゃ、ちゃんとしゃべっ…っあ、ふぅあぁ?!」

先輩の指先が根本をつまんで充血をせき止める気持ちよさ、逃げ場なくつままれたクリトリスが愛液でぬめる指の腹で執拗に撫でつけられる気持ちよさ、私がそれに没頭して意識を飛ばしそうになるといじわるして膣穴にめり込んでくる指の気持ちよさ。

「しぇ、んぱいっ、わたし、い、きたいのぉ……いつもの、いつものして、ね……?」

中に入れられた指が遠慮なく膣壁をえぐって味わっているのを感じて、きっと先輩もしたい頃合いだと想像して……おねだりする。

「策士だねぃホント……しっかり計算してそーゆーこと言えるんだものな……」
「け、けーさんじゃない……!わたし、ただ……あぁ?!」
「あんまし考えてないとこがまた策士つうか……ほらいーよ、もういいから……よっ」
「えッ、うぅうっ……んぃいあぁあ゛……!!」

「よっ」だなんて声だけ聞いたら軽すぎて、誰も春日先輩が私の膣穴に肉茎をぶち込んで、すぐさまぢゅこぢゅこぢゅこぢゅこ……と遠慮なく動き始めたなんて思わないだろう。

「っう゛、あぁああぁあああああぁああ……!!せ、せんぱぁあぁい……!!」

自分の声がすごく動物じみた、美しくないものだってもう気づいているのだけど……先輩が喜ぶから、特に改めようとは思わない。

「か、かしゅがしぇんぱあっ、あ、あ゛あぁああっ!!」
「おま……っは、人の名前くらいちゃんと呼べっての……ぉ」
「せ、せんぱいが、奥っ、どつくから……っん、あぁあぁ……!!」

自分でもちょっと驚いている。
数ヶ月前にはくしゅっと縮まっていた自分の秘処が今は拡げられて、春日先輩の肉茎だってちゃんと収まるようになった。
……それでも自分にとって先輩のものは持て余すくらいで、膣壁の内側は全部伸びきっている感じがする。
肉孔は先輩を受け入れたらもうちっとも余裕がなくて、みっちり詰まってしまう。

「う゛っ、う゛ぅう……う、うごいてぇえ、春日せんぱぁい、もっと動いてぇ……!」

その圧迫の苦しさを忘れるために有効なのは、なんのことはないもっと強く突いてもらうことなのだ。
そうして単純な往復運動を繰り返し、先輩の肉茎のサイズに膣孔が慣れてくると、痛いだの苦しいだのというネガティブさは吹き飛んでしまう。
粘膜の壁は私の呼吸にあわせて、わずかだけれどキュウキュウうごめいて先輩を歓迎し始め、
先輩もそれが嬉しいようで息を荒くして私の腰を掴み、ちょっと憎しみすら感じられる強さで肉茎を埋め込んでくる。

「ぅ……」
「あ、せ、せんぱ、いまの声、ちょっとかわゆっ……うぅう゛う゛ぅっっ?!」
「かわゆくねえつうの……はあ゛っ……生意気だな……」
「うごぉっ、おっ、お、おあっ、あ゛ッッッ!!」

ちょっと怒らせてしまったらしい。
先輩は何度も先端で膣孔をこじるように腰を打ちつけるのに、いつもみたいに内側をえぐりながら外側からクリトリスをひねるのはしてくれない。

「……んっ、んぅっ……はぁ、はあぁっ……!!」

先輩がしてくれないなら自分でするからいいけど……と思って、自分の指を充血したクリトリスに当てて、小刻みに動かした。

「……お前な〜……んっとにたちが悪いよ……」
「うやひいっ?!」

……ら、その上から、私の慎ましい指とは比べものにならない乱暴さで先輩の指が被さってきた。
ぐちゅる、ぐちゅる……と粘っこい音を立てながらクリトリスを揉まれると、頭の中が灼き切れそうになる。
同時に膣孔が淋しがるようにぎゅうっと疼いて、中に刺さったままの先輩を抱き締める。

「あっ、あぁ……わ、わかった、今、どろってなったぁ……!!」
「なったなった、俺もわかった」
「えああっ、は、恥ずかしっ……だめ、だめっ……!」

さらにはそれで、膣孔の奥から何度も愛液が垂れてくるのが自分でわかるのだ。
そうすると先輩はもっと嬉しいみたいで、だんだん余裕がなくなって腰の動きの間隔がどんどん短くなる。
断続的に膣孔をどつかれながら、勃起するみたいに血が集まったクリトリスも擦り立てられる。

「うやひっ、えあ゛あ゛……あァ、せんぱっ、わたし、いっ、あ、あああぁ……!!」
「俺も……っ、てかもういくわ、あダメ、出る」
「あ、もう……っん……はッ、あ、あいあぁあぁあ゛あ゛あぁあぁあ゛あ゛!!!!!」

ゴムに包まれた先輩の熱が大きく脈打った、と思ったら、それを隠蔽したがるようにクリトリスが強く押しつぶされた。

「うあ゛っ、あぁ……あぁ……い、いじわる……ぅ……」

あっという間に絶頂へ追いやられた私は、先輩の早漏をいじる気にもなれないくらい心地よい余韻に浸る。

「よっ……と、ホレ、いつもの」
「あぁ……わ、あー……んぅ……」

私の中から引き抜くなり、先輩は自分の肉にまとわせた薄いゴムを手品みたいにみゅみゅみゅ……と押さえつつ伸ばして引きはがす。

「んっ、むぅ……むぐっ、む……!」

それを結んでポイなんてもったいないことはせず、先輩は私の口許に持ってきて、もぐもぐしゃぶらせる。

「んみゃうぅ……む、うぅむっ、ぐ、ん……!」
「おいしー?」
「おっ、いひっ……へあぁっ……んむ……!」

最初に感じるのは、靴の裏のあれとか、車のタイヤとかのあの……つまるところはゴムの匂い。
でも必死に口腔と舌をモゴモゴさせると、そのいやな感じを抜け、ついさっき注がれた先輩の精液の味が広がっていく。
青臭くて喉に引っかかるけれど、こうやって牧草を食べる家畜みたいにゴムをむちゅむちゅするのを……先輩は見たいらしい。
これが出たんだよー、と見せびらかされたびろびろに伸びきったゴムと中に溜まった白濁を、好奇心でぺろっとしてみたのがきっかけ。
そのときの春日先輩の、こう、なんか家の庭を掘っていたら石油が出てきましたみたいな顔を私は忘れない……。

「ん……きれーになった。キスしよ」
「はぁうっ……!」

精液を全部舐めとって、ゴムの味しかしなくなってしまった頃合いで口許に先輩の指がやってくる。
そこにゴムを吐き出すと、入れ替わりに先輩の唇。
ねっとり口を味わう舌は、ついさっき私が先輩の精液をしゃぶっていたことも楽しんでいるようなのだ。

「ぶ、ぅあ……いやじゃないの……?」
「ん……?いやじゃない、ねぇ……そういや」
「……そういや、なの?」

春日先輩は、自分が変態臭い欲求を抱いているということに、けっこう無頓着だ。
知ってはいて、それが多くの人から煙たがられるとも理解しているようなのだが。
こんなの変態みたいだよ、と言うと、ツンとした上唇をさらに尖らせて、つまんないことしゃべんなよ、と怒る。

「でも……フツウのヒトがしたがらないことを、好きなら、それは、変態って言われるんだよ……」

「ふつーの子」が部活の応援に大きい弁当箱なんか持っていかないのと一緒で。
アゲツラわれて、笑われていじめられて……あ。

、こっち向きんしゃい。お兄ちゃん怒るから」
「あっ、ま、待って……今、ちょっとわかる気がしたから……」
「ダメ。こっち向く」

先輩いつから私のお兄ちゃんになったのさ……と困惑しつつ、ふと浮かんだ想像で春日先輩の考えが理解できた気がしたのだ。
それでも怒られちゃったので、先輩の方を向く。

「俺、こーいうことについては他の奴がどうとか言いたくないの、わかる?」
「……わか、る」

わかりましたごめんなさい、と謝罪ではなく、理解できます、とうなずいてみせる。
先輩はそれで満足したようで、よしよし……と私の頭を撫でた。

「で、でもそれじゃあ……どうして先輩、私ならいいの?したいこと全部、してくれるの……?」
「そりゃ、してイーヨって、の顔に書いてあるから」
「書いてないよ、そんなこと……」
「俺にだけ見える」
「う……そだぁ……」

なんか急に切なくなってきて、疼いた。
体じゃなくて、心の方が。
春日先輩はさわやかでカッコイイ、とみんなが言うたびに覚える違和感と同じだ。

「……どうして、みんな、わからないの……?」

なにがどう、と、明確にはできなかったが、ひとまずつぶやいた。

「周りは、そんなにちゃんと見てないから」

……先輩は思い当たる節があったらしい。返事をしてくれた。

「じゃあ……私と同じくらい、ちゃんと見てくれて、もっといい人が出てきたら、先輩はどうするの」
「んー……?……んー……そこは……応相談かねぇ」
「……ひどい。嘘でも……だけとかぁ……」
「んーな寒いこと言わん。も思ってないっしょそんなん」

……うなずいた。
特に理由もなく、脅かされることもなく、私だけが永遠に必要とされる世界……。
そんなのあんまりに現実味がなさすぎて、想像できないどころか異世界のおとぎ話みたいだ。
幸せでよかったね、なんて想像上の自分に手を振ってあげたくなる。

自分のこと信じてない。
たぶん春日先輩のことも、好きだけど信じてはいないのだ。
ふとそう考えると、逆に今までなにを信じて生きてきたんだろう?なんて思えてきて空虚な感じが恐ろしい。

「……ん?」
「ひわあっ?!先輩っ?!」

そのこわばりを、目の前の春日先輩は言わずとも感じ取ったらしい。
ふと私の下腹を掴んで身体を寄せ、耳たぶをはむはむし始めた。
……ともすればすぐに身体をいじられる陶酔感が優り、些細なことなんてどうでもよくなってくる。
悩んでもわからないなら、たぶん悩むだけ損なのだ……。






春日えろい、春日好きと日々はあはあ言いつつなかなか形にできなかったのがようやく……。
なんだか最近なにを書いてもどんよりムードでこまっちんぐです。
でもえろくかけたろうか?
黄瀬くん夢よりかはえろい……とおもう、たぶん……。