「あっ……」
なんとなく出掛けた店先で、小柄な人影が目に付いた。
が、声を掛けるべきかどうか迷ってしまう。
年末前の祝日とあって、ショッピングモールの中は人が多く、店先だってゴチャゴチャしている。
このまま見なかったことにしたって向こうは気がつかないだろうし、下手に声を掛けて親が一緒だったりしたらどうする。
多分メチャクチャ気まずいことになる。
「……」
想像だけで身震いする。
自分や仲間がアイツにふるっている行いが、他者……それも親に知られるなんて死んでもゴメンだ。
このまま迂回して顔を合わせないまま立ち去るか。
そう思っていたのに。
「あーっ、山崎くん!」
……は実に簡単に、俺の姿を見つけてしまった。
幸い一人で買い物に来ている様子で、子供っぽいダッフルコートを着込んで鼻頭を赤くしているには、なんとなく初めてのおつかい、なんてテロップをつけたくなる。
「あのね、まーくんにプレゼントあげるの……」
エヘヘ、と照れくさそうに笑いながら、が買ったばかりの紙袋を差し出してくる。
「……開けていいわけ?」
「えっ、ダメだよ」
そう言ってサッと、袋ごと手を後ろに回す。
「まーくんにあげるんだもん」
「………………」
いちいちイラついていたらキリがない。
こいつに悪気はないのだ。
俺に対する気遣いもないだろうが。
そう思い直してため息をつき、の姿を改めて眺めると……妙に落ち着かない気分を自覚する。
そこでふと気がつく。
自分は休みの日に女子と会うことなんか初めてで、ましてやそれが人の溢れるショッピングモールでの事となれば、緊張しない方がおかしいのだ。
たとえ相手がこのであってもだ。
「……………………」
……それでの方は俺でなく他の男を想っているんだと思うと、無性にこいつが持っている「プレゼント」とやらを奪い、地面に叩きつけてやりたくなる。
「いや……いや」
暴力衝動を抱いた直後、そんな自分が急に恥ずかしくなった。
だってだぞ。自慢じゃないが成績の悪い俺と比べてもレベルの違うパープリン。
「あ……ああんと、ラーメンでも、食うか?」
……その羞恥心から逃れたいがために、珍妙なことを口走ってしまった。
を連れ立ってイートインコーナーに向かうも、やっぱりこんなのはおかしい、という違和感ばかりが大きくなる。
そこに待ち構えたように原と古橋がいても、覚えたのは悔しさでなく安堵だった。
やっぱりこうなるよな、という奇妙な安心。
四人でカラオケボックスに向かうことにしたのは、原が取り上げたの財布の中に万札が何枚も入っていたからだ。
「チャンお金持ちじゃん。いつもこんなお小遣いもらってんの?」
「ううん、前と、あと前とのぶん」
「へえぇ、じゃ一月一万五千くらい?じゅーぶん金持ちじゃん」
よく話が繋がるな、と呆れながら古橋の方を見ると、律儀にリモコンをいじくって曲を入れている。
「まさか店員が顔見知りだとは思わなかったよ。ちょっと焦ったな」
焦ったな、とか言いながらその顔には表情というものがない。
相変わらずの死んだ魚の目。
「あいつこんなとこでバイトしてんだな」
グラスに指したストローに口を付けながら、そんなことをつぶやいてみる。
カラオケの受付にいたのが、同じ学校の男だった。
花宮と昔からの顔見知りらしい、チャラチャラしたわかりやすい不良生徒。
部員以外は知らないはずの、俺たちと隣の女の関係を察しているようだった。
「安心してよ、誰にも言わないからさ」なんて、この部屋に案内する直前に、ニマニマしながら俺に呟いてきた。
「くそ」
変なモヤモヤが心中にたちこめる。
……と同時に、古橋が入力した曲のイントロが響き始める。
チャーラララ、とマヌケに明るい音と連動して、天井の照明が点滅する。
「古橋、おま、こんなの歌うの」
「いや……」
半笑いの原に軽く頭を振って、古橋はさらに曲のボリュームを上げる。
「うるせーよ!」
「これくらいにしないと」
俺と原の間でホットココアを舐めるように飲んでいたを一瞥すると、今度はマイクを手に取る。
「ちゃんが歌えよ」
「えっ?」
部屋に響く爆音に負けじと、司会者みたいにはっきりした声で古橋が命じる。
「やだ、私、歌ヘタだもん」
「カラオケくらいできるだろう?」
「できるけど、イヤなの!」
「……ふうん」
ムキになって大声を出すが、ふと俺のズボンの裾を強い力で握ってくる。
「…………」
……コイツからしてみれば、単に手近に掴むものがあったから掴んでいるだけだろう。
「お前、何企んでんだよ」
……なのに俺は妙な気分に煽られて、古橋に反抗するような声を上げてしまう。
古橋は、俺のズボンとの手を目敏く見つけたようだった。
「花宮のためにも、それからお前のためにも」
その上で訳の分からないことを言って、いきなりの胸ぐらを掴み上げた。
部屋には適当に入れた曲が爆音で流れ続けている。
古橋、俺、原……という順番がなんとなく決められ、長椅子の上で下半身を裸にしたが身悶えする。
「ふ、ひゅ、ひゅるはしきゅ…ア、がぁ……」
射精し終えるなり俺に場所を譲った古橋は、の頭をプロレス技みたいに抱き込んでいる。
力は見ているよりもずっと強いようで、が何度も古橋の腕を叩いていた。
「……っ」
潤んだ瞳が俺の方を見ないうちに、なんて変なことを考えながら、たぷたぷした太股の間に腰を下ろす。
「お、わ……」
張りつめた亀頭を押しつけて肉を開かせると、白い濁りがドロッとこぼれ出す。
古橋が憎しみさえ感じる責めの最後に放った精液が、俺のカリ首に絡んでくる。
「うえ……きったねぇ」
言いつつも腰を引く気にはならず、指先で気持ち悪い白濁を除けながら……入れていく。
「んうぅううっ…!あァ、またぁ…あぁう…っ!!」
やっと古橋の腕が緩んだのか、は顔を俺に向けて刺激に打ち震える。
の陰毛が脚の付け根に擦れるくらい深く入ってしまうと、もう細かいことは頭の中から消し飛んでしまう。
ただこの肉穴で自分の股間を擦り立て、射精まで突っ走りたい気持ちが大きくなる。
「あ゛〜っ…あ゛〜〜〜っ…こしゅれるうぅ……!!」
バカみたいな声を上げるの口許を、古橋の手が塞いでしまう。
その理由はちゃんとわかっている。
そもそもこんな場所で行為に至ること自体が非常識なのだ。
「古橋、手、おま、手……どけろって」
わかっているのに、なぜか自分との行為を邪魔されているようでもどかしい。
「原、もう少し」
「あいよ」
……扉の隣に座った原が、爆音のボリュームをさらに上げる。
そこでやっと古橋はの口蓋を解放し、促すように俺のことを見てくる。
「やまっ…ざき、くふうぅっ…あっ、あっ、あっ、あっ」
浅いところをぐちゅぐちゅ擦ると、は動物の子供みたいな声を上げて脚を絡めてくる。
左右の脚がクワガタのアゴみたいに俺の腰を挟んでしまうと、それにつられて真ん中の粘膜がギュウギュウ締まる。
「くぉ……てめえ、締めんな……」
その刺激に押される形で腰が深く入り込んで、否応なしに情けない声が漏れてしまう。
「中ぁ、なかっ、あぁっ…あ゛〜〜〜っ!!」
は熱に浮かされたように中出しのおねだりを始める。
快楽にせっつかれていた俺なのに、古橋よりずっと早く射精しそうなことに焦ってしまう。
「もっとしてっ、もっとっ、なかっ、中、なか…こすってえぇぇ……!!」
「だから、締めんなっつ、ってんだろ……!」
あっと言う間に腰の奥からこみ上げた熱が、先端からこぼれてしまった。
「あっふぁ…ああぁ……えへっ…出たぁ……山崎くうん……」
「……っ」
「あはっ?!ああぁあっ!!だめえぇぇっああぁあ!!」
そのまま引き抜くのがしゃくで、の粘膜の上の方で尖っている肉芽を乱暴に指でしごく。
「あやあ゛ーーーっ!!うぐっあっ、ああっ、だめっ、あい、いっぢゃうぅう……!!」
そのまま絶頂させてやりたくなり、指の動きを早めていく。
挿したままの中で萎えていくはずだった肉茎が、再び熱を持ち始める。
「やまじゃきくんだめえっ、ま、また膨らんじゃうよぉお……!」
「あぁ?!何が……?!」
「おっ、おちんちっ……あぁああぁあっ?!んあぁああーーーーっっ!!いっぐぅっ、いぐうぅうっ……!!」
生意気にも「一人一回ずつでしょお?」と言いたいらしいの肉芽を、包皮ごとひねりあげる。
膣穴が俺を絞るように蠢くのがわかって、の意識が散逸したのを狙って、太股を掴んでもう一度摩擦を繰り返す。
「おお、ザキ抜かずの二回目」
「るっせ……っあ、ぉ…」
「んううぅっ……!!」
原の軽口に気を逸らされた隙に、古橋がの背中に膝を差し込む。
膝が腰まで滑り込むと、まるで幼い恋人を抱きすくめるような動きでの上体を持ち上げる。
「てめ、古橋……!」
「こっちのほうがいいだろ?」
「そういう問題じゃなくて…あ、や、めろ……」
冷たい目でこちらを眺めながら、古橋の手がの尻を抱いて俺の身体に密着させる。
「んっく…さ、刺さるうぅ……奥うぅ…刺さるのぉお……!!」
ほとんど対面座位になり、その上強すぎる刺激から逃げようとしたって古橋が許さない。
そんな状況では俺の上着を引っ掴み、二度目の射精を求めるように巧みに尻を浮かせる。
「や、めろ……って、あ……!!」
下腹と腰を器用に回し、俺を責め苛むような動きで高揚していく。
「はっ、あっ、んっ、くふうぅうっ…ンッ、アッン、くあぁあっ……山崎くん、中でぶるぶるしてるぅ…!」
こうなると、逆に俺の方が辱められているみたいだ。
「……おら、そんなに欲しいなら」
舌打ちしながらを下から突き上げる。
「あ゛はぁああぁっ!!あッ、ア゛ーーーーーッッ!!」
限界まで上げた騒音を超えそうな喘ぎ声を発して、が痙攣する。
つられるように痺れた膣穴に汚濁を注ぎ、今度はすぐに引っこ抜く。
「だ、だめっ…でちゃ、あぁ……!」
「っ、うお、あ……」
体勢のせいか、肉茎と同時に二回分の白濁がこぼれ落ちてくる。
汚らしい音と泡立った精液がレザー張りの長椅子に垂れていく。
「なーにやってんの、駄目じゃんザキ」
すぐさま腰を浮かせた原が、テーブルのペーパーナプキンを投げてくる。
何とも言えない気持ちで椅子と、の下半身にナプキンをベタベタと張り付け、汚濁の水分を吸っていく。
「交代」
「あ……ああ……」
うなだれるから逃げるように背を向け、原に譲る。
「…………」
を抱えたままの古橋と、子供の世話でもするようにの下半身を拭う原から視線を逸らす。
無意味にリモコンをいじくって、自分の気持ちを整理しようとする。
と。
「あっが…ああぁあっ、あぎいぃっ!!は、原くっ、痛あぁああっ……んああぁあっ!!」
慌てて視線を戻すと、の股間に深々とマイクが差し込まれていた。
「ちょっ、ちょっ!それっ……!!」
「ん〜〜?」
思わず立ち上がって制止の声を掛けたが、原はどこ吹く風で、手元をぐりぐり捻る。
「痛いなんて言っちゃって。嘘でしょ、こんなだもん」
「嫌っ、あ、ゴリゴリしないでえぇ……!うっぎ…あがっ、お、おまんこ裂けちゃううぅう…!!」
「裂けない裂けない、こんくらいじゃさ」
……原の言葉に信憑性を持たせるように、の膣穴はみるみる粘液で潤んでいく。
「それ……他の客が不憫だな」
「いーっていーって。どうせ消毒すんでしょ」
「んっ、は、ア、だめ、おなかのほうはやめええぇえええ゛え゛え゛っっ!!いっ、い、いぐぅうぁああぁああアアアアっ!!」
「うわ……」
勢いよく噴いた飛沫が、再び長椅子を汚す。
「こら。お漏らしするよーな悪い子は、花宮の彼女失格でしょ」
「あ…ひ、あ……やだ…しっかく、やだあ……」
「なら、頑張れよ」
……原の言葉に泣きそうになったに、古橋が冷たい声を吐き捨てる。
そして一度は萎れていた肉茎をの唇にあてがい、頭髪を引っ張って奉仕を急かす。
「……こんなのに本気になってどうする」
お前も、花宮も。
古橋は暗にそう言っている。
頭の悪い俺でもわかる。
どうしようもない。
要領よく立ち回れる頭脳も、狡く割り切れる非情さも、俺は持ち合わせていなかった。
出来るのは、馬鹿としてこの「おこぼれ」の女の身体に肖ることだけだ。
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ひさしぶりの霧崎第一。
最初は山崎単体夢くらいの気持ちで考えてたんですけど、年末だしみんなでワイワイカラオケなうでしょ的な(?)
二冊目のファンブックが出てから霧崎萌えが加速してますあへあへ。