チャーン、これ頼んだのと違げー」
「えっ?」

そう言って手渡された缶をそのまま押し戻すと、の顔には混乱の色が満ちた。

「オレはマッ缶頼んだの」
「う……うん……?」

もちろんこの女に略称で通じるわけないから、黄色くて一番背の高い缶、と教えたのだがダメだったらしい。
なんでかオレンジジュースを買ってこられてしまった。

「違う、わかる?確かに黄色い缶だけどさ、これコーヒーじゃないでしょ」
「でも、原くんは黄色い缶って……」
「まあね、黄色いねぇ」
「じゃあ……これでいいんでしょ?」
「んん……?」

いいわけねーだろ。
と思ってスコンと頭を叩きたくなったが、どうやらオレにも非があるみたいだ。
黄色い缶黄色い缶と言い過ぎたせいで、目の前の女には「原くんはとにかく黄色い缶をご所望である」と伝わってしまったようだ。
「黄色い缶に入ったくそ甘いコーヒーモドキが飲みたい」という、思い通りの解釈はされない。
赤ん坊を相手にしている気分になる。
幼児相手ならムキなっちゃダメだろう。
……の瞳はグルグルッと、わけのわからないことをいくつも押しつけるなと言いたげに回り、オレへの興味をなくしたらしい。

「それは飲んでいいから。チャンにあげるから」
「うん」

缶を持ったまま部室の中をフラフラしようとするので、すかさず言いつける。
ひとまずどこかへ行こうとする足は止まり、その場に座り込んでプルタブをつかみ出す。

「ああんと、自販機あるじゃん、こうさぁ」
「うん」
「そいで、たぶん届くよな?一番上の段な」
「うん……?」
「ダーッと並んでるよな、缶が。その一番左にある黄色い缶なの」
「う……うん……?」

これ結構、花宮の奴は心が広いと思う。

「一番上の、一番左にある缶。買ってきな。わかった?」
「わかった」

と答えつつもオレの方を見もせずスチール缶に口を付けているので、ちょっとイラッとして財布を投げつけてしまったが。
丁度よくが身を起こしたので、オレの全財産はスカートのあたりにポンと落ちる。

「ちょっとホントにわかってる?次間違えたら花宮に言うよ、オレ」
「えっ……えっ、なんでまーくんに言うの……?」

…………。

チャンは、マークンの?」
「彼女っ」
「うんうん、そーだね。したら、カノジョがダメなことしたら、叱られるのはカレシなわけよ」
「……」
「いつもそうしてきたじゃん。花宮のために頑張るんだろ?花宮がいらない説教を食らうのを防ぐのも、チャンのつとめなの」

あわてては財布を握って駆け足で部室を出ていった。
自分で買いに行った方が全然早いんだけど、これだけ回りくどいことをしているとそういえば本当にコーヒーなんか飲みたかったっけ?みたいな気分にもなってくるし。

「いひゃうっ?!」
「痛って……!テメ、走るんじゃねーよ」

……が、ヒラヒラ手を振りつつ眺めていた先で衝突事故になった。
マークンこと花宮が部室にやってきたのだ。

「ま、まーくんあのね……私今からちゃんと買いに行くから……」
「あん?」
「原くんのジュース」

それを聞くなり怪訝な視線がオレに向けられた。

「これだろテメーは」

そう言って、なんと花宮から求めていたものが手渡しされる。

「あれ?オレ言った?頼んだっけ?」
「来るとき買って来いっつったろが」
「あー言った、言った……かも?あんがと」

ぶすくれた顔で、花宮の視線はに移動する。

「お前、それは?」
「原くんがくれたの」
「ふぅん……?」

そして、またオレに視線がよこされる。
おもしろくない様子で鼻を鳴らされた。もうチャンをからかっていたのはバレバレだ。

「いい子だったから。ねえ?」

矛先をオールドなオレの行いへの怒りから、フレッシュなオレの言葉への怒りに誘導するべくに水を向けたのに、チャンときたらもうオレが視界から消えてるようだ。
マークンのことしか頭にない。

チャンってさあ」

そのまま二人まとめてつつき回してやりたくなり、オレはドンファンなお兄さんの雰囲気を出しつつの肩を抱く。
オレはなんとなく察している。
は「花宮大好き」以上に、もっと本能的なところで、高圧的な態度が自分に向けられるとオドオドしだす。
いつもはボケッとしてるし、そもそも名指しされないと悪意を向けられていることもわからない奴だから明け透けになんないけど。
現に今、オレに抱き寄せられるちゃんはビクビクだ。子鹿みたい。

「キスは好き?」
「んっ……!」

そう言いつつ頬をつかんで唇を近づけると、生意気にむん、と顔を逸らされた。
いやいや、うんうん。予想通りだ。

「花宮ぁ」
わざわざダルそうな動きを作りながらしなくてもいい荷物の整理なんかし始めていた花宮は、オレが呼ぶとやっとこちらを向いた。

チャンがオレとチューすんのイヤだって。どーすればいい?」
「………――」

花宮の目元がピクピクッと痙攣して、それから鼻をフン、と鳴らした……と思うと。

「おら……やれよ」
「んっ……!」

ちょっと予想外だった。 大股で歩み寄ってきた花宮が、の後ろ頭をひっつかんでオレにくっつける。
自然と唇と唇が密着し合う形になるが、それはキスだの接吻だのというか、単にくっついてるだけ。
しかもは頑なに唇を閉じ、ついでに鼻息まで我慢している。
……さすがにここまでイヤがられるとちょっと面白くない。

「ぶは……なあ、そんなに花宮がいい?花宮のキスがいいの?」
「うんっ」

しかも口を離して尋ねるなり、一も二もなくうなずきやがった。
沸き上がってくる苛立ちをなんとか花宮へのニヤニヤに変換して、越しにオレを見る花宮に目を向ける。

「ふーん……」

そう言いつつ上からのつむじを眺め回すと、花宮は何か察したのだろう。
舌打ちしながらの後頭部から手を離し、その場から離れようとする。

「花宮ぁ」

もちろん逃すつもりなんてなかった。
すかさず呼び止めて、オレから離れようとするの脇に腕を入れる。

「わあっ……?!」

そのまま抱き起こされたは、困惑と驚嘆の声を漏らす。
オレの胸元あたりまでの肩を持ち上げると、タッパの違いでは足を半端に引きずる。
そのままぶらーっと、ずるーっと、を花宮の前まで連れていく。

「まーくん……」

今に限っては、の泣きそうな声での懇願はナイスエアーリードだった。



「はあ……え、れえぇえっ……えぇ……」

ウププ。
花宮に抱きすくめられたは、大喜びで舌を突き出す。
花宮の唇が……というかもう鼻の下あたりまでべとべとになるほどに唾液を滴らせ、器用に舌先で舐め、唇で挟み、大好きな「カレシ」にたっぷり愛を注ぐ。
反対に花宮の方は心底ゲンナリした様子でそれを受け流して、どうにかこうにかの気が済むように仕向けたいのが丸見えだ。
それがもう、笑えて笑えてしょーがない。
滑稽すぎる。
花宮が嫌がって首を傾げれば、の頭もつられてそっちへ。
それを避けようと花宮が天を仰げば、当然追いかけるようにがアゴや首筋を舐める。
もうあきらめてハメてあげなよ。と言ってやりたくなる。
チャンのほうはすっかりその気だ。
両脚をバカになった蝶番みたいにパタパタさせて、股間を花宮にぐいぐい押しつけている。
これだけ発情してる珍獣を「かわす」のは難しいと思うんだけど。
なんて考えつつ、花宮の真っ直ぐな鼻筋や唇が涎まみれにされていくのを間近で見ているとどーにも愉快で、助け船を出す気もだんだんなくなってくる。
だいたい花宮がいけないんだよ。「ちゅうしてくれなきゃ泣いちゃう……」なんてアホみたいな言葉でほだされるから。
もっと遡れば、が「まーくんがキスしてくれた」と言うからには、どんな形であれ過去に花宮から口を吸ってやったことがあるのだ。
この女は、嘘をつかない。
……そんだけのおつむがないだけか。
こんなのに情なんか持っても破滅しかないのに。
前は面白がって安っぽいカメラで撮ったりしてたのに、最近は無難にこなそうとしている感じでどーも面白くない。

「んむっ……まー、く……んっ?!」
「あのさあ」

の後ろ頭を掴んで、花宮に向けていた舌を指で引っ張る。

「ひゅあっ、は、はらひゅ、ひゃめへぇっ!」
「どーしてソレを、オレにはしてくんないのん?」
「はへ、え……そりぇ……?」
「だからこれこう、舌べったり絡めてさあ」

そのままびろんびろん、と舌を引っ張ってやりながら、片手でその辺にあったタオルをたぐり寄せる。

「こーしちゃお」
「んっ?!やっ、え、やだっ、真っ暗っ」

手にしてみるとタオルは微妙に湿っていた。汗くさいかもしんない。
でも、適度な湿気は好都合だ。ずれにくいし結びやすい。

「おっと」

即席の目隠しをされたは、すぐに目元の布を取り払おうとする。
その手を押さえつけ、花宮に取って代わる。

「むっ、うあ゛っ、は、原くん……?!」
「あり?わかんだ?オレだって」

の唇に吸い付いて歯茎を舐め回した途端、「これ違う 〜」みたいな声が上がった。

「なんで?今の花宮がしてくれたのかもしんないじゃん」
「おい……」

パイプ椅子に腰掛けた花宮と、その上に対面座位で座り込んでいたに割って入っている。
膝の上でギシギシ暴れられてはたまったもんじゃないだろう。
楽しいからやめないけど。

「違うもん、今のは原くん」
「なんで?」
「味が違う……」

でひゃっ、と笑いついでに唾まで飛んでしまった。

「味だってー、へーほー違うんだぁ、花宮はどんな味がすんの?」
「てめ……おい」

花宮がオレに肘を叩きつけようとしたのがわかったので、の背後に回って避ける。
そのまま浮き上がった尻の割れ目を辿り、思った通りぐじゅぐじゅの陰部を拳で押してやる。

「はあぁっ……や、あぁ、ん……っ!」

下着の上から指でなぞると、自然と口元がにやけてしまう。
びたびたに湿った布が粘膜に張り付いて、形がくっきりわかる。
肉のひだが開いて今か今かとないものねだりをしていることも、頂点でクリトリスが勃起しているのも。

「は、原ぁ、くぅん……ン、あぁ、したい……の……したくなっちゃうよぉ……!」
「アハハ。いいよいいよ、してあげる。だからもーちょいこのまま」
「んっひ?!ふやあぁらっ、しょ、しょこっ、や、あぁあぁあっ!!」

湿った下着の上からなら、クリトリスを爪で引っかかれるのは快感になるのを知ってる。
そのまま何べんも往復して、ぐちゅ、ぐちゅぶ、という音を花宮にもしっかり聞かせてやる。
なんだかんだ言って生理現象に逆らえやしないのだ。
花宮は逆らわずにやり過ごしてなかったことにする術を身につけているかもしれないが、そんなの想定内だ。
今逃げたら言ってやるもんね。
「アレェー、ちゃんを好き勝手されんの、そんなに気に食わなかったぁ?」
って。そりゃもう洋画の吹き替えみたいなオーバーリアクションでからかってやるもんね。

「……ったく……」

花宮は眉根を思い切りしかめて、をぎゅ、と抱きしめた。
ひゅうひゅう、とはやし立てたくなるのは我慢だ。

「まーく、んっ……あ……!」

そのまま乱暴に下着を引き下げ、色白い臀部をむき出しにさせる。

「あ、ん……あ、すーすーするよ……えへへ……」
「黙れ」

うん、とうなずき、花宮が膣に指を差し込むのを待ちこがれながらは口を塞いで鼻で息をする。
もちろんそれにちょっかいを出してイジメるのがオレの仕事だ。
勃起した自分の肉に手早くゴムを被せて、パウチされた潤滑油の封を切りながらの背中にのしかかる。

「あうっ……は、原くんも、する……?」
「そだよん。オレやさしーから。チャン、こっちに入れるのも好きっつってたじゃん?」

……正確には、膣を抉られながら同時に尻穴をこじられると、中の肉茎がぶつかって楽しい、らしい。
これはなかなかないミラクルだと思う。
体質的に向かず変態プレイに淫しきれないニンゲンがたくさんいるらしい中で、
はエロ行為に限って言えばどんなことも苦痛としないサラブレッドだ。
あれかな。クルクルパーなりに遺伝子保存の本能が疼いて、性欲を強めているとか?
……なんて、と自分のしらけた妄想を打ち切りながら、舌なめずりしつつの腰を掴んでローションを尻に垂らす。

「んくっ……冷たっ……ん、んんぅ……!」

すぐさま滑りを指先にすくい取り、尻たぶの奥にあるすぼまりに執拗に塗りこめていく。

「お先に失礼……っと、お……!」
「っぐ、あ、ああぁあッ、は、はがっ……!」

コツは前戯どうのよりもとにかく硬く勃起しているうちに思い切り貫いてしまうことだ。
こんなことを試せるのはこの女しかいないから、他で通用するのか分かんないけど。
みぢみぢみぢ……と皮膚と粘膜の中間の弾力の肛肉が強い拒絶を抱くのは最初のうちだけ。
半分くらい入ってしまえば、あとはローションの滑りを頼りに強引に突き込んでしまえる。

「はは……きっつ、や、いーわ、これ……ん……」
「ふぅっ、ぐ、うぅ……ん……あ、あぁ……!」

膣穴みたいなニュルニュルも、愛液がこぼれてくる感覚もない。
が、異物を受け入れ切れない粘膜がひたすらにきつく締まる感覚は、ピストンもいらない程の刺激だ。
気を抜くと圧迫されて痺れる先端から精液がこぼれそうになる。

「おら、花宮、早く入れてやんなよ……」
「…………」

先走りそうになる欲求をごまかしながら言う。
花宮は舌打ちしながら、抱えられて開くの脚の間に割り込む。

「っつ、あ……」
「んあっ、あ、ああぁああぁ……あ゛ー…っ!」

ずろろろ、と膣壁を花宮の肉が挿入のストロークで擦り上げるのに併せて、の口から濁った喘ぎ声が漏れる。
……大好きな彼氏の肉が、下からの圧迫のお陰でいつもより狭い自分の中に入ってくるのだ。
そりゃ鼻汁を垂らして悦びたくもなるだろう。たぶん。
花宮のほうもなんだかんだ言いながら、すぐに膣へネジ込めるくらいには勃起していたのだ。
ついでに今日はこの間とは違って、オレが支えての体を仰け反らせている。
はさぞ夢心地だろう。
オレだって感じる。
の肉孔が、花宮が入り込んできた分だけ狭くなる。

「うっあ、ああぁあ……うっ、ぐ、あぁ……うれし……まーくん、うれしっ……!」
「喜ぶな……くそ」

チャンは今すぐオレに凭れていた身体を跳ね返らせ、花宮にしがみついて腰をカクカクさせたいところだろう。

そこを邪魔すべきか、為すがままになっておこうかちょっと迷ったが。

「……っ、の、バカ女!」
「……」

花宮のヤツときたら苦し紛れに憎まれ口を叩くだけ。
今日もマグロでいるつもりらしい。
それじゃさすがにつまらない。

「乗ってやれよ花宮も、ほら、お……っつ……!」
「んぐあぁはあぁああ゛あ゛っっ?!」

オレはの身体を思いっ切り抱き締め、そのまま自分の体重でプレス。
いきなり他人の力で前かがみにさせられたの喉から、げほっ、と空気と唾液が抜ける。

「ま、まーぐ、んっ……うぅあ、あぁっ…あだるぅうう……っ!」
「こーすっといーんでしょ、花宮動いてくれないから、代わりにオレとチャンが動いてあげなきゃ」
「う、うんっ……!」

は、今度はオレの甘言に素直にうなずく。
それを聞いた花宮が舌打ちするのもばっちり見えた。
そそ。それ楽しい。
花宮のヤツ、なんでもそつなくこなすくせに……めっちゃくちゃわかりやすい。
もともとはコイツに性欲なんてあんのかなぁ、と思っていた。
スキがないとすればそこくらいだったんだけど。

「いいお返事〜。チャンはマグロ花宮のためにたくさん動いてあげるんだね」
「う、うんっ、ま、まーくん、よくしてあげるからっ……」

……下に見てるヤツから、悪意の全くない「してあげる」発言を受けるってどんな気分なんだろ。
花宮はもう一度舌打ちして、へその下にグッと力を籠めた。

「っうあ゛っ?!あぁーーーッッ?!ま、まーあぁあ、まーぐうぅんっ!!おぐぅううッ!」

前からをペシャンコにするための力が掛かってくる。
きちきちだった肉孔がさらに狭くなって、壁越しにずりずりずりずり……と花宮が摩擦を繰り返しているのがわかる。

「おっ……あ、ヤバ……チャン、オレもう出ちゃうかも……」
「えっはァ?!は、あっ、なんでっ?どーしてぇえっ?!」

ついつい口走ったことに、チャンが過剰に反応してきた。
珍しく花宮から目をそらし、仰け反ってオレの顔を見ようとしている。

「いや、普段はもーちょい、長いんだけど……マークンが頑張るから、ねぇ?」

愉快な気持ちになってきて、なんとかの耳元に顔を近づけてうそぶく。
は……困惑するどころか、すぐにオレの言わんとすることを理解したらしい。

「ア゛ッ、は、原くんも、感じるぅ……?まーくんがゴシゴシって、んッ…おまんこギューって、ぐちゃぐちゃしてるの、わかるぅ……?!」
「……テメ、原、別に俺はお前の為にしてんじゃねーよっ、つ、あ……」

一言の中に三回もオノマトペ入れんなよ。というツッコミは、花宮の声で吹っ飛んでしまった。

「んあっ、あッ、あ、じゃ、じゃあまーくん、私のため?わたしのためにぃッ、あ、アッ……!!」

は目をキラキラさせて悦びを露わにする。
花宮がばつの悪そうな顔をしたが、もう後の祭りだ。

「そっかそっか、なーんか妬けるぅ、よかったねチャン?」
「う、うんッ、嬉しいっ、あ、、うれしっ…ッあ、ああぁあッ、お、おぢりこしゅれるぅうっ……!」

笑いながら腰を引いて、ほぐれてきた尻穴をゆるくかき回す。
花宮のいい加減な動きでも俺の肉茎が擦られるのだから、逆だってしかり……のはず。
今日は早漏の汚名を返上すべく、花宮も一緒に射精させてやろう。

「ほあッ、あッあぁッ、はあっ、お、ひっ、ひっ、ヒッ……ひぃあぁ……あぁお……おぉう……っ!」

驚いて動物じみた声を上げていたが、次第に恍惚に浮かされるようになる。

「ほら、当たる?教えてチャン、マークンの、当たる?」

粘膜の中で亀頭を傾けて、「前」の方に何度も押し当てる。
聞かずともわかる。
ひしゃげる肉壁の向こうに、ガチガチになっている花宮がある。
じゃあなんで聞くかと言えば、もちろん。

「あっ、た、る……うぅうッ、当たってるっ、は、原くんありがと……ん……あ、ま、まーくぅんっ?!」

ぎゅぼっ……と、肉孔がきしむ。

「てめ……は、いい加減にしろ……っ、ての……!」
「んっア、あ、するっ、するよぉっ……私このままイッちゃうみたいっ、気持ちよくなってるぅ……っ!」
「お前じゃねえッ!」
「え、なんなの、じゃあオレ?マークンオレの為に動いて、くれてんのん……?」
「違げ……って、は、テメ、このっ……つあ……ッ!」

……多分この瞬間は、花宮にとって一生の不覚だったに違いない。

「あ゛ッ、あ、出た……あぁ、まーくんの精液出てるぅう……!!」

オレに向けて怒鳴った瞬間に、快楽に身を捩るがいきなり膣を締めたもんだから……。

「あーあ……っとホラ、チャンも一緒にイこ?すぐマークンと一緒にしてやっから」
「う、うん、おねがっ……あっ、いあぁああぁっっ!いぎゅぅううぅうッッ!」

花宮が弛緩して身を引いた隙間に手を入れ、の割れ目から充血したクリトリスを探り当て、手加減なしに指で潰す。
とたんには絶頂に押し上げられ、尻肉は一層強く軋む。

「んぎぃあっ、あぁあ……あ、あぁ、原くんも、出っ、あ……?!」

尿道口から精液が滑って行き、ゴムの先端に溜まる感覚をぼんやり味わっていると。

「あり?あ……?」

花宮が、いつもは邪険に扱うを抱き寄せた。
衝撃でオレは引っこ抜け、その珍しい光景に目を奪われるしかないのだが。

「んっ、は、むぅ……んぅ……!」

……花宮の方からの唇に噛みつき、舌を絡めてその反応をじっくり見ている。
チャンは、さっきの行為よりもずっと感じ入り、愛しい男の愛撫にウットリ震える。

「マジなんなの、え……」

うっかり皮肉るのも忘れて呆然としてしまった。

「……っ、は……」

まるで本当に恋人同士のようなキスを終えて、花宮はジトッとした目でを見つめた。

「まーくん……」
「これがいいんだろ」
「うんっ」
「お前は?」
「まーくんの彼女っ」

そこまで聞いて、花宮の視線がオレに向けられる。

「お前は原にハメられんのと今の、どっちがいんだよ」

ああ……そういうことね……。

「まーくんとのちゅー……」

予想通り迷いなく答えたに、花宮は鼻を鳴らす。

「…………」

小さくなり始めた肉茎からゴムをずるずる引き抜き、口だけ三日月の形につり上げる。

いろいろ言いたいことはある。
突っつこうとすればいくらだって出来た。

が……今は、まぁ、我らがキャプテンに花を持たせてやろう。花宮だけに。

笑えないよねこれ。







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書き上げるまでにやたら時間がかかりました……。
アニメで霧崎が出てくれて一気に仕上げられた感じですグヘ、動く霧崎第一嬉しい。