「何なん、最近」

不躾にそう言ってきたクラスメイトに、花宮はふ、と優しげな微笑みを作ってみせた。ゾワッとした。

「ちょっと困ってるとこ見かけてさ。助けてやったら…まぁちょっと…まぁ、でも、いい子だし」

いちいち感嘆するくらいに達者な演技だ。
「まぁちょっと」と「まぁ、でも」の言葉の『間』の置き方なんてそのまま朗読作家に転身しろよと言いたくなる。

「言いつけは守るから。ちょっとマネージャーみたいなこと、させてるわけ」

そう言ってゆるやかなウェーブを描く口許で花宮が言葉を結ぶと、同級生は興味を無くしたようだ。

まあそーだ。言いつけは守るだろうあの女は。
むしろ個人的にはいつか花宮のほうがダメになりそうで見ていてソワソワするんだが。



「ん……?」

部室のドアを開けると、パイプ椅子の上で屈んで…品のない言い方をするならしっかりウンコ座りした「チャン」が「ふく、ふくうっ」と息んでいた。
いやそれだけならただの奇行なので無視するに限るんだが、
そのど真ん前でしゃがんだ花宮がの股ぐらに指を突っ込んでいて、あたりに血塗れのティッシュが散らかっていたので凝視せずにいられない。

「ほらよ」
「んっ……ふ、はぁ……」

ずぽっ、と、花宮の指先にどす黒い血の滴りと共につままれたのは、なんかクチャクチャした塊。

「あの……ナニソレ」
「あ?」

思わず尋ねた俺に、花宮はにべもない。
生臭い塊をピチャッと床に捨ててこっちを一瞥するだけだ。

「生理だから……」

どうにもリアクションを取れない俺に助け船を出してくれたのはあろうことかだった。

「んっ……それ、入れるとふつーにエッチできるんだけど、自分でうまく取れなくて……」

言葉につられて、床の塊を視線で撫でた。
血を吸って真っ赤に膨れているそれは、元はスポンジか何からしい。

「片付けとけよ」
「うんっ」

は侮蔑しか籠もっていない花宮の台詞に喜々としてうなずくと、生理用品をあてがった下着をぐいっと引き上げ、
そして健気に床の血塗れのティッシュとその「栓」を回収し始めた。
舌打ちした花宮はもうこっちも見ずに部室を出ていく。

「……ちゃんさあ」
「うん?なあに山崎くん」

ああ、なんつうか、どうにも。

「アイツさあ、お前のこと何とも思ってねーよ?」
「……?」
「飽きたらポイされんだぜ?お前が思ってるほどアイツ、優しい人間じゃねーって」
「…………」

はまん丸い目を伏せた。
そこで小さく「わかってるもん」なんてつぶやく程度の女ならば、俺はもうなにも言うことがなかったのに。

「アイツって誰?」
「……あー」

わかれよ。今の話の流れから考えて花宮しかいねーだろ。

「花宮だよ、は、な、み、や。お前が惚れてる男」
「うん……?まーくんがなに?」
「いや、だーらぁ、お前それでいいかって聞いてんの。花宮は遊んでるだけだって」

頭が痛くなってきた。
自分から話しかけておいてナンだが、なんかこう、どうにも調子が狂う。

「お前のこと大事にしようとか思ってねーよ。お前は利用されてんだって」
「それはダメなの?」
「ダメってお前」
「まーくんは優しいよ」
「優しくねーよ」

言いつつもはもう俺の言葉に集中する気もなくなったらしく、ティッシュ拾いの女を再開して集めたゴミはビニールにまとめる。

床のあちこちに血の飛沫があったが、それをどうにかする気はないらしい。

「…………」

……なんだかムカッ腹が立って、内側が血だらけのビニール袋を踏みつけてやった。

「あっ…」
「お前なんなの?バカのふりしてるだけだろ、本当はわかってんだろ」
「……?」
「どーにもならねぇよ、お前も花宮も」

あと俺も。

「……ふふ」

は、笑った。

「まーくんは優しんだよ、がすごくつらいときに助けてくれた。いつも頑張れって言ってくれる」
「……」

頑張れっつっても勉強でも部活でもなくて、粘膜が腫れるくらい道具あてて泣かせたりするときだろが。

「みんなが私に、頑張らなくていいって言う。私だって頑張ればできるのになんにもしなくていいって言うの。まーくんは頑張らせてくれるの」

そのキラキラした丸い目玉に恐怖を覚えるのは、自分の邪な気持ちが写り込んでいる気がしてしまうからか。

「でも……あのお薬はいやだな……」

あれか。いつも飲ませてるあれ。
最初のうちはバカをやった後だけどぎつい色の錠剤を飲ませていたようだが、
途中からは毎日毎日飲ませている。
花宮がこいつに。律儀に部室で毎日、餌でもやるみたいに。

「私、まーくんの赤ちゃんなら産んでもいいのになぁ……」

……やっぱり、自分が「心配」なのはこの女じゃなくて花宮のほうだ。

「まーくんは赤ちゃんほしくないのかなぁ?」
「ほしくねーだろ」
「どうして?」
「人生終わるだろ」
「どうして?」
「…………」

……バカだ。こいつも俺も。

「んな薬飲まねーでもいい方法教えてやるよ」

そう言ってのわきの下に手を入れて立たせ、さっき履いた下着をまたズルンと降ろしてやった。
……もう新しい血液が滴っていて、ハンペンみたいな生理用品にマダラに赤いシミができている。

「はうっ……ん……」

ロッカーを壁にの身体を挟み込み、弱い頭の近くの耳にささやいてやる。

「ガキ欲しいんだろ」
「うっ、ん、ほし、いんじゃなくてぇ、薬がやなの……」
「欲しくねーの?」

陰毛に指を通すと、指先にがりっと引っかかる感触。
乾いた血がへばりついているらしい。

「ど、っちでも、いいの……でも、なんでまーくんが、に遠慮なんかするかわかんないの……」

遠慮って。
血が出るまで尻の穴いじり回したり、頭から小便引っかけたりしてんのは遠慮してんのかよ。

「はぁっ、く、う、ううぐぅ……」
「薬は飲んだふりして捨てろ。んで花宮とやった後は俺とやんだよ」
「んっ……え、どーして……え、あぁ、あぁ……!」

血のぬかるみになっている穴に、指は簡単に沈んでいく。
が、感触はどうにも気持ちがよくない。
経血はまとわりつく傍から乾いていき、指をガピガピにさせる。

それでも滑りを利用して指と指で肉芽を挟んでやると、はびくっと震え上がった。

「うくぅ、うぅ……ん、どーしてぇ……?山崎、くんと、したら、なんで……ぇっ、う?!」

そのまま人差し指と中指の爪の横で挟んだ粒をぎゅいぎゅいしごくと、血の泡がごぽりと膣穴から垂れてくる。

「違う奴の精子が混ざると妊娠できねーらしーよ?薬飲まなくていいだろ」

バカでも信じない、というか信じると例外なくバカを見る羽目になるヨタ知識を適当に嘯きながらまさぐる粘膜は、血脂の匂いがする。
こんだけ盲信しているのに、こいつは俺を始め花宮以外の人間にこうされるのを悪いことだとは認識しない。
そりゃあしょっちゅう面白半分に他人にまわさせる花宮の行動の影響もあるんだろうが。
今だって胎から垂れるぬめりは血だけではなく、粘膜もゆるんできている。

「うくんっ……ん、はっ、ほんと……?ん、でも、まー、くんの言いつけ、やぶっちゃ、ああぁうっ?!」

親指と中指に変えて指の腹で挟み、添えた人差し指で逃げ場のない肉芽を何度も撫でつける。
はつま先立ちになり、ピョコピョコ脚を浮かせながら震える。
あんまり経験の多い方だと見栄を張れない……いや、別に誰にも張らないが……方だが、それでもこんなに玩具みたいに跳ね回る女はそういないと言い切れる。

「でなきゃコーラで洗浄だな。毎日洗ってるからダイジョブって花宮に言っとけ」
「うっ、ふ、コーラ?ジュースの……?」
「ぶっかけた後に中にぶちこんで洗え」
「う、うんんっ……わ、わかったぁ、や、まざきくん、ありがとっ……」

いや、さすがにバカすぎるだろ。
いつごろ流行った都市伝説だと思ってんだよ。
「ありがとっ」と同時に脚を開いたはへらへら笑っていた。感謝のほほえみ。
オヒネリはこの穴にヒネリ込んでください的な。バカか。

「んっ……く、あぁ、あぁ……っ!!」

軽い身体を抱え込んで、の尻の下に土台代わりに差し込んでいた膝を持ち上げてそのまま立ち上がった。
当然は俺に抱かれる形でしがみつく。動物園のコアラか。

「ふっ……く、お、おぐ、あっ、くるしっ、い、いいぃ……!」
「んっ……だよ、花宮にされりゃあイイっつってんだろ、いつも」
「う、ん、ま、まーくんにされると、奥ぅ、ぎゅーってなって、気持ち、いいのぉ……!」

悪気がちっともないのが性質悪い。

「ならほら、俺、どーなんだ、ほら、奥ぎゅーってなんねえのか、よッ!」
「はっう、ううっ、なる、けど、くるしっ、い、よぅ、はぁ、はぁあっ……!」
「あ゛ー……花宮が言ってた、誰 でもイケるよーになんねえと捨てるってよ」
「えっ?!え、ま、まーくんが、えっあ、あぁあっ?!」

どうしてこう花宮の名前を出すと、こいつの股ぐらは痛いくらい狭くなるんだろうか。

「はっ、ほら、奥イキしろって、じゃねーともうお前なんかいらねーって、花宮が言ってたぞ、どー、すんだ、よっ!」
「ふうぅ、ぐっ、ううぁあぁっ!な、なるううっ、お、奥ぅ、おく、で、感じるように、なるぅぅ……!」
「お前も、お前とのガキもいらねーってよ、お前捨てられんだよ、したら、どーすんだよっ」

ぎゅむぎゅむにゅるる……と、エイリアンの皮膚みたいなきしみ方と肉のとろけ方だった。あとは経血のぬめりか。

「わ、わかんないっ、そんなのわかんないよぉっ!」

俺もわかんねーよ。

「やっ、山崎くん、よくしてっ、奥っ、おくっ、おく、ううぅっ、、頑張るからっ、奥でギューってするぅ、からぁ、お願いっ!」
「はいはい頑張れ、ちゃんっ……!」

抱え込んだ尻たぶを両手で持ち上げ、肉に摩擦させるように上下させる。
の身体は上等な肉玩具だ。
絡む穴の吸いつきは、複雑な関係の「おこぼれ」であってもまぁいーかと思えるくらいの感触を持っている。
その内側のボコボコを剛直でつぶして壊すように、身体ごと揺さぶる。

「ふい゛ッ!ぎ、ぎだっ、ぎ、い、いっ、ぐ、うぅうっ……!」

ギューッとの手が俺の背中をつかみ、がたがた震えて絶頂を迎える。

「おっ……は」

一瞬前のめりになって、そのままの頭を背にしたロッカーにぶつけるところだった。
ぐりっ、と、先端が一層奥に誘い込まれるような錯覚に陥った。
その勢いで鈴口から白濁が弾け、ひきつりっぱなしの肉壁の中へ無遠慮に放られていく。

「へあっ……あァ、なか、でて……るぅ……!」
「……は」

射精が終わってなにもかもどうでもよくなるこの瞬間を、頭の中で魔の刻と呼んでるんだが。

「あっ、は……こ、これで、まーくんとエッチすればいいの……あれ……?ぎゃく……?まーくんとしたあと……山崎くんと……?」
「バーカ」
「う……?」

俺が。バーカ。









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銀魂の山崎よりずっと地味なほうの山崎くん夢でした。
地味というか出番が少ない。
霧崎第一好きです
バァカは花宮の専売特許だからバーカだよあくまで!!
あと黒バスはみんなきほんてきにがたいがよいのでといめんえっちとかえきべんがたのしーですね(ひらがなにしてもぜんぜんかわいくないよ)