チゼルのような女

 ――銃兎はときどき夢を見る。両親が死んだときのこと。尊敬する同僚の生気を失った顔。そして近頃はを初めて見つけた現場の光景。
 彼女たちの置かれていた環境は過酷だった。人間として扱われていなかった。薄汚い部屋で四肢を鎖に繋がれて、すり切れた毛布の上に横たえさせられていた。
「五番 
 彼女の名前が明らかなのは、首から札を下げられていたからだ。
 その場では六人ほどの、彼女と同い年くらいの女性が保護された。その中のうちひとり、一番泣き叫んで、一番悲しそうな目をした――まだ、この世というものを諦められていない様子の少女を、銃兎は保護することにした。
 捜査に踏み込んだ朋輩たちを金や過去の不祥事をちらつかせて黙らせ、を無理矢理引き取った。
 少女には出生届すらなかった。本人や同時に保護された者たちの口から語られることを信じるならば、どの子も食うに困った親に、幼い頃に売られていた。なにが暴力による戦争が根絶された世の中だ。ぱっと見の平和は屍の上に成り立っていた。の親や、彼女の産んだ子らを取引していた連中は、死体にたかるウジ虫だった。銃兎たち警察は正義の名の下に、ウジを潰すだけの簡単なオシゴトを押しつけられた烏合の衆だった。



「だいぶすっきりしましたね」
 ――美容院でヘアカットされたに告げる。ここのところ伸びっぱなしだった髪を整えられた彼女を見ると、なんだか嬉しい気持ちになった。も気分がよさそうだった。
 彼女をカットサロンに置き、そのあいだ銃兎は日用品の買い出しをして、荷物と共に迎えにあがった。だが、のカットを担当したらしい美容師が銃兎に向ける視線が、最初に店に入ったときとは明らかに違うものになっていたのが気がかりだった。
さん、美容師に変なことは言われませんでしたか」
「へんなこと……?」
「ああ……その、ようは、なんだ……」
 最初の頃に比べればマシになりつつあるがたどたどしい言動、幼い立ち振る舞い。十七、八歳だとヤミ医者に判断された年代からすれば、化粧のひとつもせず子供っぽいファッションセンス。銃兎は彼女を外へ連れ出すとき、奇異な目で見られないかが不安で仕方ない。

「びようしさんとは、お話しました」
「お話。どんな」
「じゅうとさん、お兄ちゃんですかってきかれたから、かれしですって言いました!」
「ブッフ……!」
 片手に買い物袋、もう片方にの手を握っていた銃とはたまらずむせた。

(俺を十代のガキと付き合ってるロリコン野郎だって思ってたわけだな、あの美容師は!)
 ――否、思われるもなにも本当にそうなのだが。
「……さん、もうあの美容室は仕方ないですが……次から同じことを他人に訊かれたら、親戚ですと答えなさい」
「どうしてですか?」
「いや……その、あんまり彼氏がどうのというのは、大っぴらに人に話すことじゃないんですよ。はしたない、ってやつです」
「ハシタナイ……」
さんと私の関係は、私たちふたりだけがわかっていればいい。ね?」
 は納得がいかないようだった。だが、これはなにも銃兎の社会的地位だけを気にかけてのことではない。良くも悪くも有名な彼にずいぶん年下の恋人がいて、どうやら一緒に暮らしているようだなどと知れ渡れば、面倒なことにも繋がりかねない。
「さて……時間は余裕そうですね。帰って理鶯を待ちましょうか」



「ああ、マトモな食材で作った理鶯の料理は最高だ……」
「おいしかったです!」
「口に合ったのならよかった。これだけポピュラーな材料を扱うのは久方ぶりだったから、緊張したのだが」
(なんで鶏肉やジャガイモの調理に緊張するんだ……)
 ――会わせたい同居人がいる、と告げたところ、理鶯は「それなら小官の料理を振る舞いたい」と言いだした。もうその時点で彼が腕まくりを始めたのがわかった。銃兎は以前理鶯にタランチュラを喰わされたときのことを思い出していた。
 にそんなものを与えるわけにはいかないので、あらかじめ食材は銃兎が買い揃えた。好き嫌いの激しい子なので自分の用意したもので料理をしてほしい、などともっともらしいことを言うと、理鶯はかすかに残念そうな顔をしつつも承諾してくれた。
(しかし、理鶯とは案外相性がよさそうだ。よかった)
 ここのところには、オンライン学習塾をあてがっていた。銃兎が教えるのでは限界があるので、読み書きや計算をリモート授業で習わせた。効果は抜群で、今では小学校高学年くらいの学力はあるように見える。自分の名前も漢字で書けるようになった。銃兎の名前は「銃」の字をときどき間違うが。
 塾講師はよく教育されていて、について深い詮索はしてこなかった。しかし保護者に向けての通信欄にこう書いてあった。「他者と会話や、スキンシップの機会を増やしたほうが、ちゃんのためになるかもしれません」。
 要するに、対人関係を使っての情操教育をしろということだ。それはもっともなことだと銃兎も思った。学びや育児についての知識などないが、普段ずっと家の中にいて、自分としか会話をしない少女というのは、確かに不健康な印象が拭えない。
 しかし、銃兎の知人といえばいかつい者ばかりで、の情緒を育む交流ができそうなメンツはなかなか思い浮かばない。誰彼かまわずというのも気が引ける。考えた末に行き着いたのが、理鶯だった。
「……」
 皿を洗いながら、ちらりと理鶯とを見る。最初こそ背丈の大きな理鶯に臆しただが、打ち解けるのは早かった。理鶯も子供の相手は得意なようで、にこやかに接している。
「ところで銃兎、とはどういう関係だ」
「あ……ああ、話したでしょう、親戚の子を預かって」
は銃兎を、彼氏だと言っているが」
!」
 たまらず外面が剥がれた。が、はびくりともしなかった。怒られるとわかった上で理鶯に真実を告げたのだろう。
「ほんとのことです……」
「なるほど。の言っていることのほうが事実なのか」
「ああ、もう……」
 頭を掻く。こうなってはどうにもならない。
「そうですよ。なんですか、軽蔑します? 理鶯も私をロリコンだとかからかいますか」
「ロリ? ロリータなのだろうか、この子は」
「いや、年齢そのものよりも……歳の差が」
「同意があって、互いに納得しているのであれば、問題はないと小官は考える」
「……そうですね。そう言ってもらえると」
 それはそれで、ちょっと居心地悪いのだが。
「わけあって社会経験が少ない子なので……理鶯のようないい人と会話したりすれば、情操教育になるかと。これからもたまに会ってやってくれると嬉しいんですが」
「かまわない」
 頷く理鶯に、銃兎は胸をなで下ろす。それからそっとふたりの様子を見守る。あまり自分があれこれと口出ししないほうがいいだろう。
 するとは、銃兎の買い与えたタブレット端末を手に、最近よく観ているサブスクのアニメを開いて理鶯にもすすめだした。好きなものを他人に見せて交流を図ろうとするのは子供っぽいが、平和的だ。
 理鶯は差し出された画面を真剣に見、興奮するにときどき頷く。銃兎は少し離れたところで、そわそわしつつも口出しをしないように己を抑えていた。
「……理鶯、面白いですか」
「驚いた。可愛らしい絵柄とは裏腹に殺伐としたアニメだった。敵が多種多様なのに、主人公の武器がさすまた一本なのは過酷だ」
「よくわかりませんが……まぁ楽しんでくれたのなら。さん、そろそろ時間ですよ。続きはまた今度」
「はい」
 頃合いを見てふたりに声をかける。いい時分どきだった。帰り支度をする理鶯を、は少し寂しそうに見ている。
「今日はありがとうございました。この礼はまたいずれ」
「いや、小官も楽しいひとときを過ごせた。はいい子だ。貴殿はよい恋人を得たな」
「いや……恋人……というのは」
「ポリシーがあるのであれば異を唱えるつもりはないが、は銃兎との関係が誇らしいようだった。言い淀まず他者に主張したほうが、彼女は喜ぶと思う」
「……」
 銃兎は変な顔をせざるを得なくなった。誇らしい。自分との関係が。こんな部屋にほとんど閉じ込められて、友達のひとりもいない人生が?
「そうだ」
 靴紐を結び終え、立ち上がった理鶯が懐をまさぐった。
「銃兎、ここへ行ってみるといい」
「……これは?」
 差し出されたのは、手書きの地図だった。
「先日散策した際に見つけた秘湯だ。やや険しい場所にあるが、逆を言えば人があまり立ち入らず、治安が保証されている」
「秘湯……温泉か」
「ああ。いい湯だった。ぜひと入るべきだと思う」
「いいな……ここのところ仕事が立て込んでいて、疲れていますし……ああさん、見送りを」
 リビングから玄関を覗き込んでいたを呼ぶ。彼女は銃兎の隣におさまると、理鶯に手を振った。
「りおうさん、ありがとうございました」
「また会おう。今度は小官の捕獲した食材での料理を楽しんでもらいたい」
「ほかく……?」
「は、ハハ、それはまあ、いつかでいいんじゃないでしょうかね」 苦笑いを隠しつつ、銃兎は部屋を出て行く理鶯の背を眺めた。
は、心から楽しそうに手を振り続けていた。



さん、ほら、手を」
「あっ……あっ、じゅうとさん……」
 数日後、ふたりは理鶯の教えてくれた秘湯に向けて歩を進めていた。理鶯が『険しい』と形容する道だからと覚悟をしていた銃兎だったが、考えていたほどではなかった。
 が、普段運動をしないにとっては、舗装されていない道や上り坂はなかなかハードだったようで、息を切らせながら銃兎についてくる。
(だが……普段ずっと家の中だからな。たまには運動してもらうのもいいな)
 銃兎はそう思いながらの手を取り、歩幅を合わせる。
 ――やがて見えてきた景色に銃兎は驚いた。秘湯という言葉の響きから、人里離れた場所にある小さな温泉宿のようなものを想像していたが、たどり着いた先ににあったものはもっと野性的だった。
 無人のコインロッカーとトイレに脱衣所。まるで寂れた、それもオフシーズンの海水浴場の海の家だ。
「本当にこんなところに、温泉があるのか……?」
 おそるおそると足を踏み入れる。
「お……」
「すごい……本当に、お外におふろがある!」
 歩を進めると、澄んだ空気に湿り気が混じった。湯気を漂わせる見事な露天風呂があった。
「これが、おんせん……入っていいんですか?」
「ええ。しっかり身体を流してからね」
 当然セキュリティなど皆無だったが、土地勘がなければたどり着けないようなところだ。いきなり暴漢や置き引きと遭遇するようなことはないだろう。銃兎はそう判断して、背負ってきたリュックを下ろす。
「ん……綺麗な湯だな」
 念のため服を脱ぐ前に手で湯をすくってみたが、澄み渡っている。今は人気がないだけで、誰かが定期的に管理しているようだ。入っても問題なさそうだ。
 十二月にさしかかり、空気はすっかり冷え切っている。そんな中露天風呂というのは、実に風流で魅力的に思える。
「かけ湯をして、これ……持ってきたボディソープで身体を洗って、また流してから入るんですよ」
「はい!」
 元気よく答えたはしかし、いざ脱衣所という段階になって、己の肉体のコンプレックスを思い出したらしい。
「大丈夫ですよ。私以外誰も見てない」
「……ほんとうに?」
「ええ、本当に」
「……じゅうとさんは、おそいませんか?」
「……」
 銃兎は自分の罪深さを改めて実感する。が、それに飲まれて黙っていても話が進まない。
「襲いませんよ。いくら私がゲス野郎でも、こんなところじゃね」
 そう自嘲をこめて笑うと、はようやく安堵した。身につけていたトレーナーを、そっと脱ぎだした。



「ああ……いい湯だな。さすがに温泉だけあって、部屋の風呂とはぜんぜん違う。疲れが取れる気分だ」
「じゅうとさん……つかれてるんですか?」
「ここのところは他人のケツ持ちに追われてましてね。理鶯もいいタイミングで温泉を教えてくれた。ふぅ……」
「……りおうさん、いい人でした」
「ああ。彼は私の知人の中で、精神性だけ切り取れば一番の善人ですよ」
 この時勢に武装した軍人であることと、ゲテモノ料理が大好きな性分がそれを台無しにしているのだが。
「人間ぜんぶ、じゅうとさんとか、りおうさんみたいな人だったらいいのに」
 の言葉に、銃兎はふいに返答ができずに困った。
「……理鶯はともかく、私は優しくないでしょう」
 そして口から出たのは、彼自身予想していなかった声だった。だが一度堰を切ってしまうと、どうにも止められない。
さんにひどいことをたくさんしてますよ。さっきだって、襲われないかってビクビクしてたでしょうに」
「それは……えっと……」
 そうだ。俺はひどい人間だ。たとえば妊娠を嫌がる――経歴を考えれば当然のことだ――に、自分が取らせた行動はなんだったか。彼女が経産婦であることを踏まえて、子宮に避妊器具を入れさせた。これでもういくらセックスしても子供ができることはないと教えたときのの顔を、銃兎は苦々しい気持ちで思い出す。
 そのあと毎日のように、辛抱強く性行為は快感を得るためのものだと言いながら彼女を「女」として仕込んでいった己のエゴイスティックな欲望を思い返すたび吐き気がする。わかっていたが俺はろくでもない人間らしい。いやわかっていなかった。想像よりずっと醜い精神と欲をもてあます怪物だった。
 だがもいけない――銃兎はそう思う。こんなちんちくりんで色気のかけらもない、好みでもなんでもないはずの小娘が、俺を誘惑するのが悪い。暴力的な衝動を呼び起こしてくるのが悪い。征服欲、庇護欲、破滅願望、いろんなものがごちゃ混ぜになった泥を、掻き出してくるのは自身だ。そうだが悪い。今だって俺は気がつけばの身体を目で追い、急な収縮を繰り返したせいで変にしぼんださして大きくもない乳房やその先の尖り、湯に隠れたへそやさらに下、上気する頬や濡れた髪を見て、たまらない気持ちになっている。今すぐブチ犯してやる。結局だって拒まないんだ。
(って……俺は……なにを……!)
 自分の考えに一瞬ハッとする。銃兎は気がつけば、黙り込んだをじっと見ながら暴力的なことを考えていた。否、それだけじゃない。
(なんでこんなときに……!)
 ――銃兎の肉竿は、がちがちに硬くなっていた。
 なにか予兆があったわけではない。裸のが隣にいるとはいえ、抱いていたのは家族を慈しむ感情のはずだった。それがいつの間にかギラギラとオスの欲望を帯びている。股間が痛い。頭にも血が上っていた。の裸から視線を外せない。
(おかしいぞ……俺は……なんで)
「あ……あの……じゅうとさん……」
 そして、はそんな銃兎を煽るように身をもじつかせた。
「へんです……」
「へ――変、とは?」
 勃起を隠して前屈みになりながら、湯の中でに一歩近づく。
「お……おまたが、むずむずして……おっぱいも、痛い……」
「――え?」
「おふろに入ってから……からだがへんですっ……」
(まさか、この温泉になにかおかしな効能が……!?)
 突拍子もないが、しかし現に今ふたりが身体に変調をきたしている原因について、そうでもないと説明がつかない。
(まさか……理鶯に限ってそんな……いや、もしかすると……)
『ぜひと入るべきだと思う』
(――そういう意味ですか! 理鶯! 余計なお世話だ!)
 性欲のせいで回転を止めかけている頭で、必死に考える。
 きっと理鶯なりに気を利かせたつもりなのだろう。さすがの彼も、銃兎が毎晩を犯して、さらにはその上で「親戚」などという言い訳で押し切ろうとした外道だとは思いもよらなかったに違いない。
 あの身体が大きなわりにベビーフェイスの男が「どうやらふたりの仲はまだ進展途中らしい。恋人同士で合意の上ならば肌を合わせるのは普通のことだ。サポートするので愛し合うといい」と真顔で考えたのがわかった。
 今さら思い至っても後の祭りだった。銃兎がまずしたのは、全身を真っ赤にして震えるを抱きしめることだった。
「あ、ふ、う……じゅうとさん……」
……ん」
「んむっ……ふ……」
 口づける。お互いいつもより体温が高い気がした。粘膜が異常な火照りを持ち、発散を求めて暴れている。
 お互いの舌を捉えて絡め合っていると、余計なことが脳内から消えていく。銃兎は目の前の存在を抱き潰すことしか考えられなくなった。
「んはっ……あ、う……ふ……んっ……♥」
 そして、それはも同じようだった。銃兎にキス以上のことをされると期待して、背中に手を回してくる。一度離れた唇を自分からもう一度寄せて、稚拙に舌を動かして男を誘った。
「クソ……可愛いぞ」
「んんっ……♥」
 どんどんのぼせていく。身体もだが、頭もだ。
「一回上がろう……この湯はまずい」
「は、はい……あっ……」
 銃兎はを横抱きにすると、媚薬温泉としか表現できない場所から立ち上がった。石畳で舗装された床にを座らせ、脱衣所に持ち込んだバスタオルを手にして舞い戻る。の座った場所にタオルを敷くと、そこに彼女を横たえた……が、か弱い女の身を、このごつごつした床に置くことに罪悪感が芽生えた。
、俺が下になる。上に来られるか」
「え……?」
「こうやって……」
 銃兎はタオルの上に座り込み、対面する形でを抱き寄せた。その状態で身体をゆっくり仰向けに倒すと、は言わんとすることを理解したようだった。
「が……んばり、ます」
「く……」
 歯ぎしりする。恥じらいながら健気なことを言う己の恋人が、愛しくてたまらなかった。キュート・アグレッションだとかいう、あの可愛いと思ったものほど噛みたい、壊したいと思う衝動を抱かされる。 「あっ、あんっ……♥」
 たまらず自分に跨がったの尻たぶを掴み、もう片方の手で乱暴に秘唇をこねた。熱く湿った感触が伝わってくる。
「濡れてる……本当に、この温泉はヤバいみたいだな」
「うくぅ……ん、じゅうとさん……おまたが……」
「何度も言わすな。ちゃんと教えた言い方をするんだ」
「お、おまん……こ……ぐちゃぐちゃで……」
「そう……もう準備ができてるな。俺のが欲しいか?」
「ほ……ほし、い……です」
 いたいけな少女に、こんなことを言わせてしまうことの罪悪感も薄れるほどの興奮。
「じゅうとさんのおちんぽっ……おまんこにほしいですっ……♥」
「よし、よく言えた……ほら」
「ああっ……!」
 硬くなった肉茎を、の秘唇に押し当てる。
「そのまま腰を落とせ。できるな」
「うぅ……じゅうとさん……」
 はそわそわしながら、銃兎の胸板に片手をついて腰を浮かせた。
 もう片手を銃兎のペニスに添え、腹につきそうなくらいの隆起の角度を整える。
 幼い顔には不釣り合いな、セックスに慣れた女の仕草。銃兎はさらにぞくぞくした。
「いき……ます……んんんうぅうぅっ……♥」
「お……っ、く……!」
 が狙いをつけて尻を落とし込む。膣口で亀頭を捉え、ぬちぬちとした牝穴に猛りを招き入れた。
「あっ、あっ、入って……くるぅ……うぅっ、ふぁっ、あぁあぁんっ♥」
「馬鹿、今イくな……! 根元まで入れろっ」
「だめ……むり、むり、ですぅ……うぅうぅくうぅんっ!」
「この……感じやすすぎんだよっ」
「あ゛ぁああぁうっ♥ いぃあぁっ、いく、くる、くるううぅぅっ♥」
 文字通り腰砕けになったの下半身を押さえつけ、そのまま自分からペニスをずぶずぶと埋め込んだ。女の底を突かれたは、甘い快感を上書きするような深い絶頂を味わったようだ。
「くっ……は、あぁ、俺もイきそうだった……ああ……!」
 膣壁のわななきを感じ取りながら息を吐く。いつもならここで少し気持ちを落ち着けるところだが、今日は気が急いている。やはり先ほどまで使っていた湯はろくでもないものに違いない。
「あっ、あっ、ああぁっ、ああぁあぁっ……♥」
「はぁ……あぁ、…………」
 彼女の下腹めがけて腰を突き上げるのを繰り返す。肉竿で膣穴の中を撹拌していく。は快悦で喘いだ。銃兎も同時に、ペニスが濡れた柔肉でしごかれる気持ちよさに震える。
「だ、だめ、銃兎さん、でる……でちゃう、でちゃう、ああぅうぅうっ……!」
「くぅおっ……ああ、また……!」
 の蜜穴がこじれる。同時にその上の尿道がふっと緩んで、勢いよく液体をほとばしらせて銃兎の下半身を濡らした。
「また漏らしたなっ……ハァ、どうしようもないなッ」
「いや……いや、ごめんなさいっ……! き、きらいにならないでぇっ……♥」
「なるか!」
 興奮で思わず怒鳴りつけた。
「こんなイキ小便癖のある女……俺以外に面倒見られる奴いないだろっ」
「あ゛っ、あ゛ぁああっ、あ゛ぁああぁああぁあぁっ♥」
「嫌いになんてなるわけあるか……お前は俺が責任持って……ハァ、ああ、持って、持って……あぁ……!」
 ――持って、どうするのか。ヒートアップした脳では、その言葉の先を探せない。
「……っ、とにかく……お前は感じまくってればいいんだよ!」
「ふぁ゛ぁあぁああぁッ♥ あっあぁっきもちいいっ……きもちいい、じゅうとさんのちんぽ、きもちいいっ……♥」
 の腹を外側から押すと、再び絶頂失禁と同時に膣肉が震えた。もう銃兎もこらえられなかった。
「出すぞっ……お前もはしたなくイけっ……!」
「は、はい、いくっ、イくっ、イくぅ、じゅうとさんと一緒に……いいぃいっ、あぁっ、いぁあぁああぁあ゛あぁあっ……!!」
 銃兎の肉竿が脈打った。腰の奥から熱汁がこみ上げ、鈴口からほとばしって膣内を満たしていく。
 同時にも全身でのたうちながら絶頂した。
「くはっ……く、締めるな……!」
「う゛うううぅんっ……♥」
 射精したばかりのペニスを、痙攣する秘唇がきゅうきゅうと揉み込んでくる。
「く……あ゛ぁっ……!」
「んひぁああぁっ……♥」
 その刺激に再度精をこぼしながら、銃兎は己の上に倒れ込んだの身体をしっかり抱き留めた。
「…………」
 困ったことに、まだ欲がおさまらない。ただでさえへの欲情は普段から止め処ないのに、奇妙な湯の効能のせいで肉竿は硬いままだ。
……このまま二回目だ」
「は……は、はい……ぃ……わたしも、おまんこ……まだ、じんじん、してる……から……♥」
 銃兎はまた歯を噛んだ。どこまでも己の理性を破壊しようとするこの少女が、愛おしくてたまらなかった。