快楽になぶられ続けて、絶えずねばねばの液体が身体から出ていく。
けれどもそんな怠さは、私を迎えてくれた嗜虐的な笑顔の前にストンと抜け落ちた。
「んっ……ぐ、ふぁ、あ、ああぁ……!」
「恥ずかしいやつだなぁ。人前で何回イッたの」
私の肉穴をこね回すのは、さっきまでずっとくわえこんでいたのと同じ、機械仕掛けのおもちゃ。
が……それを握ってぐりっ、ぐりっ、と強く押しつけてくれるのは、神威の指。
「はあ゛っ、あ、ああ、お、おぼ、えてない、よっ、う、う、んっ、んぁあ……!」
ぐぷぷ、と気泡がつぶれる音を立てて、細長く硬いだけのおもちゃがさらに奥までめり込む。
奥に入って、私の身体の底を何度も小突く。
「もう奥まで届くよ、すごく柔らかくなってる。よっぽど気に入ったんだ、これ」
「ふぅっ、ぐ、き、きもちよかった、です…ぅ、あ、ああ、ぜ、ぜった、い、気づかれてたぁ……!」
「……ふぅん」
「ふいいっ?!」
神威は床に仰向けになった私の鎖骨のあたりに座り込んでいるから、その表情は伺い知ることができないが、
クスッと笑うのが声で分かった。
肩も、少し揺れる。
「それで散々楽しんできたんだ?知らない奴らと」
「はぁう……?!」
「楽しかった?」
「そ、れぁ、あぁあぁっ?!」
「気持ちよかった?」
「か、むい、あ、わ、私…ぃいぁぁああぁっ!!」
「口答えするなよ」
「ご、ごめんなさあっ、あぁあ?!しゃ、しゃしゃるうぅぅっ!」
「なに「しゃしゃる」って。アハハ」
ツルンとした先っぽが押しつけられる。
神威の指で直接ほじられるよりずっと味気ない愛撫なのに、退屈することはない。
「ふぅっ、ぐ、神威、私ぃ…」
「んー?」
神威はもちろん、私の行動を本当に嫌ってなどいない。
なぜここまで奥の肉が解れているのかもきちんとわかっている。
その上で私をからかって遊んでいるのだ。
「んんぅうっ……!!」
それが……とっても気持ちいい。
「ん…イクの?ハハほらギューって、バイブが遊んでる」
「ふっ、く、うぁ、だ、だめっ、やぁめ、やめぇえっ……!」
唯一自由の利く両足をばたばたさせる。
興奮が高まって肉が軋んだ瞬間、神威はバイブレーターからパッと手を離した。
強烈な快感の一番の理由が消えて、むずがるしかない。
「だ、め、い、きたいっ、いきたいのっ、いっ、ま、手、手、やめないでぇえ!」
「誰に命令してるの」
「めいれ、い、じゃなくてぇ、あっ、あ、ああぁ、お、おねがっ、ぐりって、ぐりぐりしてぇえっ、おねがい……!」
「足は動くだろ?ほらこうやってパタパタしてさ」
「はうっ?!う、あ、やぁ……!」
けたけた笑いながら、神威は私の左右の足首をそれぞれひっつかむ。
そのまま左右に広げた…と思ったら、グイッと閉じた。
虚空に向けてパクパクと、まるで虫か何かのアゴのように。
「いやっ、は、はずかし…っ、やあぁっ!」
「これでイッてみせてよ、そしたらまたしてあげるから」
そう言ってから離された手からして、神威にはもう本当に私をいじってくれるつもりがないようだ。
「はあ、ふ、うっ、くぅぅ……ん、はっ、ひぁあっ…!」
お尻に力をこめて、太股を付け根から震わせる。
そうすると、自分の動きで勝手におもちゃが食い込んでくる。
「うっ、くぁ、はぁ、はぁ、これ、もっと…もっとお……!」
「わースゴイスゴイ、頑張るなぁ」
「んくっ…もう、少しなの、あ、はぁ……!」
背骨を通って、頸椎のところまで絶頂が見えている。
あとはまっすぐつむじまで突き抜けるだけで、脳を焼き切ってくれる気持ちの良さが。
「はぅ、ん、あぁ、い、きそ、なのにぃ……イキたいの、にいぃっ……!」
くっ、くっ、と、天に向けた脚を揺すり、膝を何度も曲げて自分に衝撃を送る。
それでも足りない。
神威が乱暴にしてくれるのに比べれば、こんなのちっともよくない。
「アッハハ、頑張れ頑張れ」
「うぎぃぐ、うぁ、あぁあ、だめ、だめぇ、こない、来ないよぉお……!」
「そんなにイキたい?」
頷く。口に溜まった唾液が煮えるようだ。
「いいよ。ほら」
「はひッ?!」
ぬめりとうごめきで抜け落ちそうになっていたおもちゃが、急にずんっと押し戻された。
その衝撃に唇が開いて唾液がこぼれ落ちたが、気にする暇もない。
神威が手を何度も、おもちゃを押し込むというより私の秘処を叩くように打ちつけてくる。
「いっ、く、いきぃ、あはっ、はっ、はあ゛ッ!!」
「いい子いい子、アハハ」
ひょい、と神威が腰を浮かせて、ゆるんだ私の顔をにっこり見つめる。
だらだら流れるままの涎を、神威の舌先がつうっと掬い取る。
「は、ひ……うれし…うれしいです……」
「ん……」
快楽が波みたいに引いていく心地よさの上に、こんなご褒美までくれる。
「おもちゃは飽きたろ」
「うんっ……ん、はぁ、はあぁ…!」
「アハハ。そんな目をキラキラさせないの」
「それは……んっ、あ、ああぁッ!!」
やっぱり私をぶち殺してくれるのはこの人で、この人に拾ってもらえたのは大きすぎる幸せ。
ちゅぼっ、と、せり出た尖端が肉をかき分けてくる。
唾の後に胃液まで吐きそうなほどおなかの底が押されて、その勢いを受け入れる肉壁は神威の肉茎をとろかして自分の一部にしてしまいたいと訴える。
私の身体は馬鹿で馬鹿でしょうがない。
自分と神威が馴染みきって境界線がなくなってしまえば、この狂おしい快楽だって失うことになるとわかっていない。
「なんだかせわしなかったね、あちこち移動するのも楽しいけどさ」
「はぅぐぅぅっ?!」
神威が私を抱えたまま立ち上がる。
自然と支えのない上半身は床に向けて反り、その勢いでお腹がやぶけそうになった。
「神威、や、やぶけ、ちゃうっ、お腹、押されっ……てる、のぉ……!」
「破けるのかな?このままさ、こうやって、ほら……」
「いあっ、あ、ゆ、ゆさゆさだめ、ゆさゆさしないでぇえぇっ!」
手を添えられた臀部が、ゆるゆると回される。
膣内の神威のあちこちを擦って、逆に私のあちこちも擦りながら。
「裂けたら入れる穴が増えるね」
「あ゛ッッ……はっ、あぁ、そ、れ、それっ、ん、うれしっ…ぜんぶ、私のことぜんぶ、全部全部、使ってぇっ!」
「はっ……ハハ、幸せだよ」
「ふっ、う、うん、うんうんっ、私、幸せっ!」
「馬鹿」
「あぐぅっ?!」
ギュウッ、と、憎いものをつかむ強さで、クリトリスがつまみ上げられた。
「すごい勃起してる…ここに針が刺さったんだよね」
「はっ、あ、あぁあっ、い、いあぁあっ、いあっ、くり、クリだめっ…」
神威の白い指がきゅぷ、と愛液の気泡を潰しながら肉芽をひねってくる。
そのたびに身体が電気に打たれたように跳ねてしまう。
「はっ、針、ヘンだったけど、あの針より、今の、今のぉお、お、おおおぉおっ……!」
「ん……?!」
「いっ、まの、神威の指の方がきもちいいよぉっ、オマンコびくびくしてるのぉっ!」
「…それ…薬打った時も、言ってた、ろっ」
「だって……っあ、あぁあ!ギューだめ、つねっちゃやだぁあぁっ!」
神威がどくどくとうるさい肉芽をなおつまんで、
ぷっくり膨れて真っ赤になった先っぽを指の腹で撫でる。
「ひい゛ッ、いっ、ぐ、うぅうっ……!」
「……あーあ」
衝撃で簡単な絶頂を迎えた瞬間、絞まり上がった膣穴がくわえた肉茎に圧迫されて。
ぴゅっ、ぴゅっ、と、実が潰れた果汁のように飛沫がこぼれてゆく。
「はっ…ご、ごめ、んなひゃ…っ、もらしちゃっ……あ……!」
「仕返し」
「ひぃいうっ?!」
ゆるみっぱなしの私の底を、神威の精が勢いよく叩く。
ひくっ、ひくっ、としゃくりあげるように震えながら熱をまき散らして、それでもちっとも萎えたりしない。
白濁した膣穴を、何度でもぬちゃぬちゃかき混ぜてくれる。
「ふぅ…あ、ふ、うぅ……っ」
「休むな」
「ひやぁっ!」
大きく酸素を吸い込んで弛緩した私の肉芽を、また容赦なくいじりまわす指。
「んんっ、ふっ、い、いれながらクリ、される、と、裏側が、ぎゅーって、される、のぉ……!」
「裏?」
「く、クリトリスの奥っ…オマンコの裏、に、その、ついて、て、神威の、が、押してくれる、のっ?!」
「こう?奥じゃなくて上のほう?」
「はぁあ、あ、あ゛ッ、そ、そう、そお、そこおぉっ……!」
内側……奥、だの、裏のほう、だのと感覚でしか言えない、血管がたくさん通っていそうなところを、神威の肉茎が押す。
そして外側の、しっかり感覚器として勃起しきった肉芽は、指でひたすら押し込まれる。
「逆はどうなのかなぁ…こっち側から押せば中に響くわけ?」
「なかっ…んはっ、はひぃあぁっ!だめ、だめだめっ、クリちゃんつぶしちゃだめぇえええっ!!」
「あっはは、馬鹿だなぁ」
この人は。もう。
「そんなに騒がれたらいじめるしかないよ」
「あ」
ターミナルに停留している艦のロビーで一人佇んでいると、いつぞやの金髪の女性と出くわした。
「あれ、マタコさん」
そう言って頭を下げると、向こうは居住まい悪そうに視線を逸らし…かけて、改めて私を見つめ、うす、と小さくつぶやいた。
会議だか会合だか忘れたけれども、神威は偉い人と会って話をしている最中だ。
彼女の上司もそうなのだろう。
「その……」
壁に背を預け、決まり悪そうにこちらを見る。
その様子は、目つきは厳しいけれども美しい。
「あ、あんまし私はその…アンタらと親睦を深めたりしたくないっつうか……」
「親睦?」
「いや、うん……んん!」
ぶるん、とかぶりを振って、マタコさんはキッを見つめる。
「だ、だからこれは鬼兵隊じゃなくて、私個人の関係ッスよ!」
「ええと……なにが?」
「いや、その、え……と」
そうかと思えば、今度は顔を真っ赤にしてうつむいてしまった。
そのしぐさでだいたいの察しがついて、思わず頬が緩んだ。
「キスってどんな味がする?とか、そういうお話ですか」
「んなっ……!」
「あれ…違う?」
「い、いや、その……」
今度は背中まで丸めて恥じ入ったマタコさんの口から、ボソボソと「きききすのときってどうやっていいいきするんんん…」とか聞こえるが、
たぶん、まじめに生々しい答えを求めてはいないのだろう。
自分に恋慕の感情があることを再確認しているのかもしれない。
「……ふふ」
「わ、笑っ…あ、アンタ、やっぱり私のことからかってるッスね!」
「違いますよ、可愛いなぁって思ってるだけです」
マタコさんはまたなにか怒鳴りかけて、そしてぐっと黙り込む。
なんだか私も気分が良くなって、なんとなく言葉を続ける。
「私には、マタコさんにイケマセンと言ったり、イイデスヨと言ったりする権利はないです」
「……権利?」
「責任を持てない、ってやつです。自分の言葉や身体にさえも。だから私はマタコさんみたいに戦えない」
「……そりゃ、その必要がなけりゃ、別にいいんじゃないスか」
「うん、私の責任は全部、神威が持ってくれるんですよ。だからヘラヘラしてていいの」
「ノロケじゃないスか」
「ばれましたか」
「……アンタ、楽しそうッスね」
「いえ、そうでもないですよ。毎日頑張って膣トレを……」
「……は?」
「だから、ちつとれを」
「は?え?え?何スかそれ」
「こうですこうこれ」
「ギャアァッ!!股開くな!」
ドレスの裾を持って脚をぱかっと開けた私から、マタコさんはぶんぶん手を振って顔を背けた。
「だめですよマタコさんも若いからって気を抜いてたら」
「気…って、それ、別に私はそういう……」
「油断してるともう、近いうちに尿漏れでパンツにシミを作って生きていくはめになるので」
「ちょ、えっ?!」
「ではでは。お部屋に戻ります」
「待てっ!待つッス、アンタその、ち……つ、トレ!とかいうの、ちょ、ちょっと詳しく!」
今日言ったことだって明日にはもう保証がもてない。
はなから考えることをやめている。
刹那主義と呼べるほどにも立派でないかもしれないが、それでいい。
あてはめたり、定義したり、形を残したりというのは、私の役目ではないのだ。
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最初の話を書いてからここまで長かったです地球旅行。
いやもうすでに地球旅行関係なくなってる!ただの変態合戦になってる!!
と思いつつ、いろいろな試みができたりして楽しかったです。
最後までおつきあいくださってありがとうございました……!