!!WARNING!!
今回ばっかりはちょっと本気でひどいので、菩薩のような心の持ち主さんだけどうぞ…。
「まぶし……」
チカッと視界を刺した日光を遮るために、持った傘の位置をずらす。
身軽にぶらぶらするには最適だった地下都市吉原も、今は日除けなにしは歩けない。
…観光も食べ歩きもできずにこんなところをぶらぶらしているのには、もちろん俺以外の意志の介入があった。
……とりあえず形だけでも、お前さんの街なんだから監察してこい、と。
「……」
「ん?どうしたの」
「な、なんでも……」
昼時から盛んなことだと呆れそうなほど、この町は栄えている。
かつてのしきたりこそ消えたかもしれないが、右も左も春をひさぐ女で溢れかえっていた。
「なんだよ、嫉妬?」
「……それは…」
前に吉原でやりながら殺した女がいる、と言ったのを思い出しているのだろう。
隣の奴隷はまるっきり不機嫌そうで、崩した着物が溢れる中では一際目立つビザール姿の女を睨んでいた。
ビザール女の方は被虐の男を連れ回しているだけらしく、の視線に気づきもしない。
とりあえず訪れたはいいがなにをしよう、と考えていたら。
「ん?」
「神威?」
店と店の壁の隙間から、男のものと思われる腕が手招きしていた。
を連れて、そのチョンチョンとこちらを誘う手についていく。
路地裏で姿を現したのは、地球人ではなかった。
「あんたらも天人だろ?今ちょうどショーやってんのさ」
「どんな?」
「ついてきなって」
どうする、と視線をに投げる。
…と、一も二もなくコクンとうなずかれた。
ここで娼婦を眺めるよりはずっといいと思ったらしい。
どうやら元々は木造だった建築に表から裏から鉄板やらトタンやらを打ちつけているだけらしい杜撰な建物は、
広さで言えば座敷一つ分ほど。
その上即席で作り上げられたらしい舞台の上に…これまた杜撰すぎて笑えてくるのだが、ただのシステムチェアが乗せてあった。
社長イスってやつだ。革張りの背もたれと座席に、安っぽいローラーがコロコロ。
「…………!」
が、誰も……少なくともここにいる観客と、横でギュッと身を寄せてきたは気にしていなかった。
「あ…う、あ」
地球産の女。
歳はまだ自分とそう変わらないかもしれないが、使い込まれた巾着みたいな首筋の肌なんかを眺めると老けた印象になる。
素っ裸な上に、膝から下が椅子の肘掛けに縛り付けられているものだから何もかも丸見えだ。
「う、うううう?!」
だらだら涎を垂らして死にかけの鯉のように口を空振りささせていた女は、ステージに男が一人上がるなりびくっと怯え出す。
同時に客席がワーッと湧いて、比較的後ろに位置する俺たちは女の姿を見るのが難しくなった。
その様子から察しても、投げつける野次の内容からしても観客の民度はあまり高くないようだ。
「さてほら、ああなんだっけお名前」
「……い、いや、ああ」
「へえ、「い、いや、ああ」ちゃんかぁ」
そこでまたたちまち大笑いだ。
舞台の黒服は気にせずに、足元に置いたジュラルミンケースから細身のガラスを取り出した。
……注射器だ。
「冗談冗談、つじ葉ちゃん。よく耐えましたねぇ、これが最後の一本だ」
「う……」
「さて皆さんご静観なされよ!涙なくして聞けないあわれな娼婦の語り部だ」
また、漣のように笑い声。
「つじ葉ちゃん言ってごらん、今どんな気持ちだい。最期になにかあるかい」
「……わ……」
「わ、わたし、つじ葉、じゃなくて、サチです、おか、あさん、おとうさん、元気にして、サチのこと、お金、
サチがお、おおおお、おま、おまんこしてつくったお金で、おうち、どうにかなっていますか」
「ああ、ああ。きちんとご両親に伝えてあげるからね」
笑い声。手拍子。
「サチだめな子でした、だめな子だから、これしかないです、自分をうらまないで、サチをうらんで、サチもうサチでいられない、けど、つらいけど」
耳元に手を当てて大げさにうなずいた男は、女の語りによる盛り上がりはもうピークだと察したのか。
たどたどしく言葉を紡ぐ「サチ」の顎を、力強く掴む。
そして震える唇をこじ開けて、ヌルリと舌を引っ張り出した。
「頑張ったねサチちゃん、あれつじ葉ちゃん?どっちがいいのかな?女郎として死にたいかい?女の子として死にたいの?」
「あえ、ああえあっ……!」
「これで約束したげるよ。サチちゃんの清く気高き魂は、きっと男たちの向こう三日のオカズとして役立ってくれるさ…ほら」
「あがっ…!」
ぷす、なんて音がしそうなくらい深々と、「サチ」の舌に注射針が潜り込んだ。
どうにもいまいち理解できなかった。
女はだいぶ痩せて憔悴してはいたが、すぐに息絶えそうには見えない。
だいたいさっきまでは何が行われていたと言うのだ。
最後の一本、とは。
「ねえ、なんなのあれ」
俺とを招いた男に、客席を指さして尋ねる。
男はけらけら笑いながら、それでもどこか鼻息荒く。
「病気持ちだとさ。天人からもらったのがもう全身に回ってんだと」
「へえ……」
「医者にいく金も時間もねーまま客取ってたらあちこちに感染しちまって同僚からボッコボコんされて店追い出されて」
「そうじゃなくてさ、あれ何?なんの薬?」
「ああ…見てりゃ解るよ、時間置いて三本目か…あの女運はあるな。外れちまった」
だからなんなのさ、と問いかけようとした瞬間に、舞台から絶叫が上がった。
同時におおお、と観客全員が沸き上がる。
「はぎ、はぎはぎはぎあああ、ああああああああああ!!」
サチが先ほど両親に懺悔した萎らしい面構えなど想像もできない姿で、一人よがり狂っていた。
「あああああ、あがあああっ、はぎ、はぎあああ、またぎだ、きた、たった、たすけ、て、ああああああああ!」
拘束された手足を椅子ごとガタガタ揺らして、サチが腰を突き出す。
誰がどう見たって解る。あの女は股間に男をねじ込んで欲しいのだ。
じたじた暴れ狂うあまりに、ついぞ椅子ごと倒れてひっくり返った。
「なんで誰も入れてやんないの」
「あん?病気うつるだろ」
「ふぅん……うん?」
ギュッと、が俺の腕に胸を押しつけてくる。
「……っ」
「あはは」
その腰を抱いて、立ったままの股間に手を伸ばす。
「んっ、んぅ……!」
ぐっしょりと濡れた陰部をまさぐる。
指先がピリピリするくらいに濃い愛液が、手のひらまで垂れてくるほどだ。
「ほぇあ、ああ、あ……」
愚かなほどにとろけて間抜けな顔になったを笑ってやろうとしたが、その瞬間にまた大歓声。
「あぎああああ、お、おねが、ねがあ、おねがあああああ!!だ、だれか、だれかだれかだれかぁぁ!」
椅子と一緒にゴロンゴロン転がり続けるサチを、負けじと観客も転げる勢いで笑う。
やれない無駄マンコめ、なんていう罵声が響いて、次にナメした鞭が肌を叩く音。
「いぎいいだ、いだぁあっ、いだ、あああ!」
打たれたサチはそれでも大満足らしい。
鞭の一振るいごとに絶頂を迎えて、苦痛に喘ぎながらもよがり狂う。
とりあえずあの注射がろくでもない媚薬だというのは理解したが、「最期」の意味が分からない。
と。
「ふっくッ?!」
男たちに足で転がされ、鞭でなぶられるままだったサチが、突然ビクッと身を正した。
「来るかっ」
「待ってましたっ」
「ほら早く!早くサチちゃあん!」
途端舞台に上がって彼女をいたぶっていた男たちが引き、みな客席に戻って手拍子ばかりになる。
「何これ」
ぐりぐり。
「や、神威、ああ、強いっ……!」
「何が始まるの」
ぱんぱんぱんぱん、さあ死ね、死ね死ね!
手拍子と一緒に一斉にそんな掛け声が上がり出す。
さっきまで好き放題やっていたというのに協調性の高いことだ。
「はっぐ、う、うううっ……!」
サチの顔色はまるで温度計の水銀のように、ぐんぐんと変化していく。
青くなって、本人が苦しさから唇を噛み首を掴むものだからやや赤くなって、鬱血して眼の下の皮膚がぐぐっと盛り上がっては紫色に。
やがて破裂した容器から漏れるように、鼻孔から血がタラーッと流れ出した。
「なに?なんなのあれ」
ぎりぎり。
「やぁああっ!つねっちゃやあぁあ!!」
口の端から泡立った唾液をこぼしたサチが倒れ込むのと、がびくっと絶頂するのはほぼ同時だった。
「さて記録!」
ピッ、と、やたら大きな電子音と共にまた、黒服の男が舞台に上がる。
「熾烈な病に冒されし娼婦つじ葉、意外な大健闘でしたねえ!三本目5分15秒、なんと当選者一人もおらずですよ!」
全員がそれぞれの母星語で書き込んだらしいマークシートを叩く男を見て、ようやく成る程なぁ、と合点がいった。
ここにいる男たちの目的は嗜虐ではなく、ひとまず吉原で遊ぶ泡銭を儲けることなのだ。
「5秒単位で賭けしてたんだよ、俺ぁ二本目の20秒に全額ぶち込んだのに、あーあ」
「そんなに時間が正確にわかるもんなの?」
「あー、あれな、なんつったっけ?アレルギー?アナフィラキシーショック?一回目の投与だとエロくなるだけなんだけどさぁ」
へらへらと笑って言う男の声を聞きつつ舞台に目をやると、もうサチは片付けられる最中だ。
「二回目以降で血管が詰まって死ぬんだ」
「ふぅん……」
スカンピンだよとへらへら笑うなり、男は手のひらを俺の前に突き出してきた。
黙ってそれを見下ろすと、催促するようにもう片方の手の甲が重ねられてパシパシと音を鳴らす。
「滅多に見れるもんでもないだろあんなん、どうよ」
「どうもこうも見てるだけじゃね。金にも困ってないし」
「いやそう言わずにさ、こうちょっとさ、少し」
どうやら「倍にして返すから貸せ」あるいは「紹介料としてよこせ」の意図らしい。
面倒なことになった、と今は衝立で封じてある出入り口に目配せした。
「神威」
……が、同時にが、俺の下肢に腕を回してきた。
その手がするん、と長杉の上から股間を撫でる。
「あ……」
張り合いのない感触が伝わったのか、それに落ち込むのではなく喜んでいる。
「あの…ねえ、神威、その、私が、ああなったら興奮する?」
「薬打たれて発狂するの?」
「うん、そ、そう、そう……その……ここ、大きくしてくれます……?」
「そうだなぁ……」
馬鹿も極めると愛しい。
この女はすでに死んだものに対抗心を燃やしている。
……俺が知らないだけでコンプレックスがあるのかもしれない、女郎というものに対して。
この女はいろいろ考え込むタイプの馬鹿だ。
「んー……ねえ、貸してやってもいいよ」
「はン?」
こちらの様子を伺ってソワソワしていた無心男に、ふいに話を振る。
「あんた、ここ初めてじゃないんだろ?好きなだけ貸す代わりに、裏方に口利きできる?」
「さてさてちょっと趣向が変わりますが、ハプニングも楽しんでこそ。安寧が約束されたギャンブルに愉しみなどありますまい!」
さすがというか、黒服は突然の飛び入りにも尤もらしい煽りで観客を引きつける。
「さあさあなんと、次に舞台に上がるは見た目こそ健康な女性ですがこの「」嬢、筋金入りの従属奴隷ときた!」
おおお、と、盛り上がりよりも戸惑いの強いどよめき。
舞台に上がった俺と、さっきの椅子に「サチ」と同じ格好で括られたに目が眩む照明が落ちる。
「なんとこの娘、この青年…ご主人様の為なら死んでも構わないと声高に宣言しております」
「……っ、ん……」
すでに情欲露わに、が身じろぐ。
「さて…先ほどは病の娼婦つじ葉、その前は年齢ヒトケタにして玄人を名乗るナツ、さらにその前はえーっと誰だったか」
そこでようやく、観衆はげらげら笑い出した。
「彼女らの命をジワジワと、そして呆気なく奪ってきたこの薬、嬢は主によって打たれるならば五本はいける、と息巻いておりますっ!」
ヒューッ、と、シュプレヒコールが飛ぶ。
その声にも煽られて、はかたかた震えて瞳を潤ませた。
「特殊な賭けとなりますゆえ、これから説明するルールをしっかりお聞きになってほら、こちらに記入していざ全額ベット!さぁさ健気な奴隷の愛を幾らで買いますかねぇ?!」
ワッと沸いて黒服の前に殺到する観客たちを後目に、さっき男が手にしたものと同じジュラルミンケースを引っ張って、の側に立つ。
パカンと中身をあけると、すでに薬液の補填された注射器が…六本。
五本打って応えぬようならダメ押ししろということか。
死んでなんぼとしたいわけだ。
「、どこに打とうか」
「んっ……あ、の…私が決めていいなら、その……乳首、が、いいな…んッ!」
ギュッと、左の乳首を摘む。
「両方に、一本ずつ?」
「う、ううんっ…片方、二本はいけるよ……!」
「アハハ、いいよ。おまえがおかしくなるとこ、俺に見せて」
「うん…!うんうんっ!地球産には真似できない…ど淫乱で、商売じゃぜったいやれない混じりっけなしのっ、私の本気、ちゃんと見ててくださいねっ!」
黒服に目配せすると、ちょうど賭け金とシートを回収し終えるところだった。
ぱんっと照明が俺とに集中する。暑い。
「いくよ」
「んっ……!」
針の先のキャップをはずし、状態を確認する。
これだけ細く鋭利ならば、下手に打たぬ限り傷も残らない。
「じゃ、一本目」
「はぁ、あ、刺してぇ…乳首、に……んッ!んーーッッ!!」
左手で乳房をぎゅうと掴んで、右手の狙いを定める。
針を通して、の充血しきった乳首が貫かれる感覚をしっかり認識した。
「んくっ、う、くうっ……う、くっ……!」
「もぞもぞ動かない。引っ張られて切れちゃうだろ」
「はっ、く…ぐ、うっ……!」
肌よりも粘膜に近い性感帯に、毒針で僅かな穴を開けていく。
「ん…ちゃんと刺さった?奥まできてる?」
「う…ん、うん、うんっ……お願い……!」
そのまま、注射器のシリンダーをグッ、と思い切り押して、薬液を乳首に流し込んでいく。
「はっぐ、う、あ、つめたっ…つめた、いのが…ぴゅうって、ぴゅう…て、入ってくるっ……!」
「へー…冷たいの?これ」
「はぁ、う、うんっ、なんかつめたっ…い、いい……!」
……実に呆気なく、一本目の薬がすべて入りきる。
「抜くよ」
「んっ……!」
つるんと針が抜けきって、観客はどよめいたが…の態度はその期待に応えるものではないようだ。
息を荒くしてはいるが、「サチ」のようにとち狂ったりはしない。
の方は、薬の効果よりも俺の態度が気がかりな様子でこちらをそわそわ見つめてくる。
景気よくサクッといこう。反対側にも一本。
「ふっ…ぐう、ううっ……!」
右に注ぎ終えた針を抜いたとき、は縛り付けられた腕をもどかしげに揺すった。
「か、神威、も、もしかしたら、あの、薬、回ってないかも…あの、む、胸のとこで、止まっちゃってるかも……」
「ん……?」
その言葉に横からの乳房に触れようとすると、一歩引いた黒服がだめだめ、と俺に訴えた。
「ああ…」
客に見せろと言いたいのだ。後ろに回れと。
「ほらほら、これでいい?」
「あうぐっ……?!」
システムチェアの背もたれに回り込んで、肩の上からの乳房をギュウッと掴む。
とたんには全身をゾクリと粟立たせた。
…薬よりもずっと、こっちの方が効いてるじゃないか。
「…アハハ」
その事実に少し心躍っている自分がおかしくて、照れ隠しもかねて乱暴に指先で乳房をつねった。
「んっ、ふうぅ……!」
「このへん?ここに溜まってるって?」
そのままの肌に浮いた汗のぬめりを使って指を滑らせ、乳首を搾るみたいにつまむ。
「あう…あ、熱いっ……」
「今度は熱いの?」
「う、うん、針、ささったとこジンジンして…き、きもちぃ…いい……」
「ふぅん…一本くらいじゃぜんぜんダメなわけ」
「んぅ、ふっ…あ、あふ…神威のゆび、のほうがぁ、クスリなんかよりずーっと気持ちいいよ……ぉ…」
「アッハハ、ありがと。ほらぐりぐり〜って」
「はひぃっ!あ、あァ、おっぱい…ちくびもいいけど…っ!」
忘れるところだった。とりあえずこの肉を揉みほぐして薬を、だ。
そう意図して手のひら全体でぐにゅっ、と胸を掴むと、汗だくの肌はトロリと俺の手のひらの中で形をゆがませる。
「はッ、は、あ、胸、えぇ…んあ゛ッ、すごい、でしょ、にほぉ、二本目、平気だったよぉーっ……」
俺に向けたんであろう誇らしげな声は、前列の客には届いたようだ。
舌打ちする者もいたが、半分程度は反応に困っている。
「自慢の奴隷なんだ」
三本目の注射針を取り出しながら大きめの声で言うと、客の笑いよりもの痙攣のほうが先に伝わった。
「ふぅ、うン…ッ、うれしい、い、いっちゃう…神威の言葉でびくびくなっちゃう……!」
「んん、かわいい」
もっと惚気てもよかったが、次を急かす雰囲気もある。
……俺としても、せっかくお膳立てされたのにここまで平常を保たれると拍子抜けだ。
「三本目、また乳首ね」
「んっ…刺してぇ…!薬かわかんないけど、ちょっとおっぱい、ドクドク言ってる…!」
「そりゃいいや。ほら……」
プスッ、と。
またシリンダーを押し込んですぐさま引き抜き、新しい注射器に持ち変える。
反対の乳首にも、ぢゅっ、と。
瑞々しく張った乳首が、針と薬を押し返してくるほどだ。
「よ、四本、へいき、だった…ぁ、ね、ねっ、私、すごいでしょっ……!」
「どうかなぁ……っていうか、これ」
「ンッ……?!」
シッカリ四本打ち終わると、観客もこの女が使い古された娼婦よりは頑丈だと悟って、高揚が強くなってきていた。
それに見せつけてやるつもりもあったが、手指で触れる乳房の感覚に異変が顕れているのがわかって…ゾクリとした。
「なんか張ってきてるよ、のここ」
「んっ、は、はぁ…は、そ、そう、みたい…な、なんか、ちくび張りつめてるっ…い、いだいっ…焼けそ、クスリは冷たいのに、なんか……!」
「へぇ…しごくとどうかな?」
「んあ゛ッ?!」
人差し指と親指で、しゅっ、しゅっ、と、充血した乳首をはさんでしごく。
すると途端に、の乳首はもう充血なんて通り越して、勃起と呼んだ方がいいようなくらいにそそり立った。
その上本来は母乳が出るべきなんだろう部位から、半分濁った分泌液が溢れてすらいる。
「え、なにおまえ、母乳出るの?」
「えっ?!で、出ない、でないよ、出ないと思うっ、けど、なんか、なんかわかる、ジュワッて出てる……!」
今まで見たことのない反応に、思わず自分も呼吸が荒くなる。
もっと出るだろうか、なんて好奇心が疼いて、強めに乳首を押しつぶす。
「んぎいっ!で、出るぅっ……!」
ぷぴゅっ、と。
汗にしては脂っぽくトロトロの、血液にしては彩りに欠ける白濁が、乳房の先端から押し出された。
客席が沸く。ぱんぱん手を叩くさまはなんだか猿のようにも見えてくる。
自分の中でどうでもいい存在になりつつあるのだ、こいつらは。
そして同時に、のほうもカタカタと痙攣を始めた。
「あっう、うああぁあ、あづっ、あづっ、あづううっ!い、いぎなり熱くっ…神威、神威神威っ、私、胸、ドクドク言ってぇえああぁああ!!」
狼狽の声は、そのまま乳房を思い切り掴んでやると絶叫に繋がった。
「ひいあっ、あ、ああっ、あ、ああぁあ、い、いだくて、いだくてきもちいいっ、いだいいだいいだいっ、痛いの気持ち、いっ、あ、あぁあああぁあ!!」
「うわ、すごいまだ出る」
いつもは手のひらで溶けるように形を変える乳房は、今は俺の手指を押し返すくらいに張り詰めている。
内側から腫れ上がったというほうが正しいのか。
薬はこの毒娘の血肉で一度濾過されて、もう本来の効力と異なる反応を起こしているのだ。
「神威、すごい、これひゅごい、なっ、なんかあぁ、あ、だめ、昇ってくる、全身にじわじわくるの、気持ちいいのが昇りすぎてわけわかんなくなっちゃうっ!」
「いいよ、なりなよ、わけわかんなくなりなよ」
「ふっぐ、うぐぅぁあぁっ!」
加減などしない指先で乳首を嬲りながら、己の唇を舐めている自分に気がつく。
どう言われようが構わない。我慢などしたくないし目の前の存在が欲しいのだ。
「ん……」
「はっ、ひ、んぶッ、ふうぐっ、あ、ん、ふううっ……!!」
唇に噛み付くと、唾液を垂れ流しのも喜んで応えてくる。
荒い鼻息がこぼれっぱなしだ。くすぐったい。
「んひゅい、いい、あ、いあ゛ッ、い、いい…神威、いい、いいですこれぇ…!」
「薬が?」
「やだ、ちがうっ…わかってる、でしょ、はァ、あァ、キス気持ちい、わ、私、薬よりも、神威の手と、ベロがいい……!」
…ああまったく。
「ふぅん。こんなに腫らしてるくせに」
「あっ、ぎ…!う、だ、だって……」
「五本目いくよ」
「んっ、ふ、きて、きてくださいっ、きもちいの、お薬も神威も、どっちもぉ…!」
「欲張りだなぁ…ほら、ここいくよ」
……五本目の針を陰部に向けると、然しものも観客も一瞬パッと、口を噤んだように沈黙に包まれた。
「ほらほら出てきてよ、濡らしてばっかいないでさ」
「はっ、針…そ、そこにお薬さすの……?!」
「そうだよ〜、あと一本だしさ、目立つとこ打ちたいじゃん」
「はう、んぁあぁああぁあっ!だ、あ、今クリだめえぇっ!」
注射器の先端で、グショグショに濡れた秘処をかきわける。
目当ての陰核はすでに包皮から剥けてぴんと勃起しているのに、愛液のぬめりで針が定まらない。
にちゅる、にちゅる、と何度も滑ってしまう。
「ふンッ…はぁ、あふ、ちくちくだめ、だめ…ぇ……」
「ちょっとちょっとご主人様いいの?本当に死んじゃうよ?いいのかなー?!」
ずっとこちらの「被虐漫才」とでも言うべきものにペースを奪われっぱなしなのが癪なのか、黒服の素っ頓狂な声が割り込んでくる。
「いいよ。今死んでも幸せだろ」
「はぁう、ううっ、う、うんっ……!」
「それともここでやめる?やめたらもうこのぱんぱんの胸もほっとくけど」
「えっ!?やだやだイヤ、そんなのイヤです!殺してっ、殺してぇえ!!殺していいから神威の手でおっぱいこね潰してよぉおおぉ!おまんこずこずこしてよぉ!」
沈黙から一転して、爆発したみたいな笑いが背後から上がった。
迷うまでもない。
「よしほらぷすーっと」
「んぎぁあぁああぁああ!!」
もはや筋が立ってすらいるクリトリスに、鋭い針が潜り込む。
間を空けずに薬液を押し込み針を抜き、そしてそのまま指でぐにぐに揉み込んだ。
「あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛ぎぃあああ、きっ、きもぢ、きもぢいいいいいいいよよぉおおおっ!クリトリスもみもみ、くりもみきもちいいいい!!」
がのけぞる。椅子が悲鳴のように軋んだ。
そのままもう、比べるなら乳首くらいに充血と肥大化を続ける肉芽をいたぶってやる。
「んひッ、ひッ、ひっあひはぁあぁああ!!かッ、はが、だだいぢゃやぁあああ、ぢくぢくするぢくぢくいいいいいいぐうあああああああああ!!」
パカンとまっぴらきのの股間にしゃがみこんで、指先でペッチペッチと肉芽を叩いてやった。
「んひいいいいっ!ひぃッ、あ、だめだめいく、いぐ、いっぐ、いいいぐ、うううううっっ!!」
爪の先で一弾きするたびに、気が触れたかのような声と同時に面白いくらい簡単に絶頂を迎えてくれる。
「ほらほら、これ好きだろ」
いつもは爪を立ててようやくつまめるくらいの肉芽だが、もう今の状態なら指で引っ掴める。
ギュッ、と、その指に力を込めてねじりあげた。
普段が必ず気をやるお気に入りの手つきだ。
「えづッ、――――っっ!!」
声にならない声を虚空に吐いて、の体が椅子ごと背中から倒れ込んだ。
「はひっ…ひひ、い、いっひ、ひひぁ、きもち、イイ…よぉ、神威、神威おまんこっ、おまんこ、おまんこおぉおお!!」
「はいはいちんこね、ちんこがいいの?」
「うん、は、はやくはやく早くぅぅう!!!狂っちゃう、おおおおおおクスリじゃなくて、神威のおちんぽ欲しくて焦れったくて死んじゃうよっ、おまんこゴシゴシしてぇええ……!」
それを支えながら…ふと。
「ねえ…五本、平気だったんだけど」
黒服と観客にそう問いかけた。
「おぉ、おぉおお!皆さん見ましたかこれ!ショー記録どころか世界記録かもしれません!献身奴隷嬢、まさかの五本達成ッ!」
黒服は目配せする。あと一本残ってるだろ、と。
「……ねぇ、これさぁ、こいつに打たなきゃダメなの?」
はん?と、黒服の視線。
「せっかくだしこれ、俺がもらうよ」
馬鹿みたいに丁寧に下履きを脱いで、もう自分でも笑えるくらい隆起した肉茎を露出させる。
観客は変な声を上げたが、まあどうでもいい。
「これ男にも効くんだろ?」
その言葉で、ようやく意味を理解したのか。
「ちょっとちょっとご主人サマぁ?!正気?!やっちゃう?!やっちゃうのー?!」
「やっちゃうって。なんでもアリなんだろ?」
自分の体に自分で針を刺すことへの抵抗は、興奮と秤に掛ければずっと軽かった。
臍を叩いてくる肉茎をぐっと片手で押さえ込み、裏筋に針を寄せる。
やっちゃう気だよこの人、なんて周りがはやし立てる声も気にせず、チクンと注射針を突き立てた。
「……お、わ」
確かに冷たい。
針は軽い痛みを伴うのに、それを麻痺させるように薬液の低温が皮下に拡がっていく。
効果はすぐに顕れた。
股間から背筋を通って脳髄に、電気ショックみたいに衝撃が走る。
「あっ…あ、か、神威もおクスリ……?!」
「ほら、一緒にさ」
ああもう、言葉も面倒だ。
「馬鹿になって楽しむもんだろ、こんなの」
「……う、うん、うんっ、そう、そうですよねっ、神威、うっ、あ、あぁあああぁああああ?!」
押し入るなり、反射のように自分の下半身が跳ねた。
「ううっぐ、うぁ、あァ、出た、ああぁあ、すご、すごぉおお、神威の、すご、おおおお、あ、ああぁああああぁあ!!」
なんだかもう性行為というか、酷く感覚が鋭い肉茎も、いちいち自分の先端から迸る白濁も、の胎内を殴っているようだ。
「あ゛っあ゛あ゛あ゛あああああぁああぁあ、お、おぁ、お、おおおおおおおおお!!」
「こ…の、この…の、あっは、はは、なにこれ、はは…!」
「んぐぅ…か、神威っ、きもちいっ、だ、だのしっ、たのしいいいっ?!たのしいっ?きもちいいい?!いいよ、いいよっ、わだひ…ぎゅ、ぎぃゆぅぅうぁ?!」
笑い声まで漏れてきた自分よりも正気を保っているらしいが憎たらしくて、またクリトリスをねじってやった。
「はっははぁああ、はっあ゛、ああぁああぁあああ!し、しぎゅ、しぎゅーに響く、ひびくうううぁああ!」
ああ壊れろ壊れろ、壊れたほうが幸せなのだから。
「おっご、あ、あああぁああいぐうぅうっ、またぁ、いっく、かむい、神威ぃいいっ」
「壊れろって」
「あ゛あ゛あ゛あ゛あーーッ!ひっぎ、いぎゅうううっ!神威、神威いっ」
「壊れろってば」
「ごっお、ごわれ、な、ああい、こわれるわけないいいいいっ、はっが、あ、があぁあ、神威が、お、教えてくれたんでしょぉおおおっ?!」
「ん…?なにを……?!」
「もッ、もう私、ぶっ壊れてるがらああぁあ、これ以上はぁあ、おッおおおお!おか、おかしくなれないのぉおお!!」
ああ…そうだった。
俺もも、狂いそうだー、なんていう疑似的な睦言を愉しむだけで。
「狂いそう」なだけで、別に狂わない。
もう狂いようがないほど狂いきっているからだ。
この女は脳が煮えている状態でもキチンとそれを覚えていたようだ。
「ふいいいぎっ、あ、あァ、ぱ、ぱんっぱん、おなかぱんぱん、ふぎゅ、う、やぁだやだ神威のが漏れる、う、せっかく出してもらったの漏れちゃうぅう!」
「締めてほら…締めろってほら、まだ出る、ぜんぜん出るから……ほら!」
「うぎゅいぐぅう?!ふっぐ、ま、またくりぃい、くりもみきたぁ、神威やさしい、やさしいよぉお…!」
「っ…ふ、は…そうだよ、俺、お前には優しいんだよ、好きだよ……っあ゛」
「んふゆぅうふふ、えっへへ…うれしいよぉ、きもちもいいしぃ、うれしーし、今もう死ねたらしあわせっ、何もいらないよぉ…!」
「ん…じゃあ抜いてもいいの?いらない?」
「んいやっ、いやああぁ、チンチン抜いたらだめえぇ…しっ、死ぬまでぇ、死ぬまでずっぽしはめてなくちゃやだぁああっ」
「まったく、お前は……」
そこで、自分の下肢にじわりとぬるい感触が広がった。
失禁している。もう胎内どころか、下半身そのものに力が入っていなかった。
カクンと折れたように力を失い、は裏返った目玉を戻しもしない。
「ありゃ……」
この中途半端な肉茎をどうしたものか、と拍子抜けした瞬間、客席が一気にどよめいた。
歓声ではない。
スポットライトの明るさをぼやかす外からの光が、衝立の外された扉からたっぷり入ってきた。
そこまでじゃ大人しくしろ、と。
どこかで聴いたことのあるような女の声が響いた。