もうじき到着する惑星は地球の植民も多く、規模の小ささから文化も似通っている。


その中でも特に、宇宙観光ガイドにも乗っているのがスルタンと呼ばれる皇帝が統治して嗜みとして作ったものをモデルにした「ハレム」。
奴隷女を侍らせるためにだけ存在し、毒蛇蝮がウジャウジャ這う中に、特別に選ばれた女性がおもちゃとして遊ばれるためだけに日がな暮らす宮殿。

それを形や衣装だけ模倣し、そこでは「宮女」と呼ばれる娼婦たちは淫猥に美しく踊り、連れ出して部屋に呼べば身を使って一心に奉仕してくれる。



……そんな情報は、頭の上から降ってきているだけで、いまいちきちんと私の頭の中には入ってこなかったのだけれど。
なにより、船から出ない私には関係ないし、その話よりもずっと気を取られるものが今目の前にあって、その先端は私の口の中に入っている。

「んっ……ぶ……!」

ぢゅるぢゅると、咥内に突き出した舌で裏筋を撫でながらゆっくり唇を前後させると、今日はもう五回目の腰のふるえ。

「あぶっ……んっぶ、ぅ、ふっ、んぶっ、ぶぽっ……!」

下品な音を立てながら、もうすぐ口の中にまき散らされる白濁に期待して。

「……ん、は……」
「おうぶッ…!!」

射精と同時にグッと頭を押さえてくる愛しい手のひらに幸福を覚えた状態で、喉の奥の方に一気に射精された。

「おぶッ、んっ、ぐっ……ん、く……んぅ……」
「それで?」

それだけ出してもまだ萎えない。
ほんの少し体積が小さくなるだけで、しゃぶりつけばまたすぐに反り返るほど硬くなる。

「んれろっ、んろっ、ん、れろぉおっ……!」

達したばかりの肉茎の先端は敏感になっているらしく、私から見える神威の膝はカクカクとせわしなく、びんぼうゆすりのように動いた。

ああ…顔が見えないのが本当に口惜しい。
情欲と嗜虐を湛えた青い瞳で、私を見つめてくれないのが寂しい。

「それで?じゃねーよスットコドッコイ。また申し送り見てねえな…ホラ、これ」
「ん…惑星ムスルにおける第七師団艦隊クルーの慰安休息について?」
「棒読みあんがとさん。ようは息抜きだよ。浮いた金を下の奴らのねぎらいに回せっつうこった」
「つまりそのハレムとやらを貸し切って、団員のやつらに使わせるってこと?」
「平たく言やぁそうだ。そこでアンタも顔を出せって話だ」

……そこで、私はほんの少し反応した。
その体の硬直は神威にも伝わったらしく、机に突っ伏していた体を起こして、机の下に潜り込んだ私をのぞき込んでくる。

「んー…俺、金出してまで女を買うのは面倒だしごめんだよ。娼窟にいる女なんて特に、プライドがどうとかうるさいし」

神威が阿伏兎さんにそう言い返してくれて、ほっとする。
そしてさらに慈しむように、神威のペニスを頬の肉で締め付けてきゅうきゅうすする。

「いや、団長は現地に降り立ったら口上言うだけでいい、テキトーでいいんだよ、体裁保つだけ」
「そんなの余計に面倒だよ。阿伏兎やれば」
「だーっ!それでいいなら最初から話題振らねえよ」

話し合いは平行線らしい。
とりあえず私はもう一度口の中に神威がほしくて、ひたすら舌と唇を熱に添わせていた。








「すぐ戻ってくるから、お前は部屋を出るなよ。非常番以外は出払っちゃうから船の中も出歩かないように」

神威の言葉に、私はこくんと頷く。
そんな従順な私の様子を見て、神威はにっと笑った。
それから、いわゆる犬で言う「待て」のような状態にされていた私に、朝ご飯の入ったアルミの食器を差し出した。

口の中に涎が湧くの感じて、それを受け取って床に座り込む。
体育座りのような格好になって、食器をこぼさないように大切に抱えた。

「守らずに外に出たらお仕置き…は、ダメだなぁ。はお仕置きも喜んじゃうからね」

「……う…」

神威はそう言って、顔にぐるぐると日除けの布を巻き付けていく。
そのミステリアスな姿にもどきっとして、ごまかすように食器に入った切り分けられたパンを口に運んだ。

「はぁ…ああ、ん、む……今日も……ふふっ」

口に運んで、小麦の甘みや食感と同時に青臭いねばつきが溢れたことに喜びを隠せず笑ってしまう。

「んチュッ…ん、ぷちゅっ……ん……」

パンの上にかかった粘液が指に垂れたものだから、行儀が悪いとわかっていてもその指までしゃぶってしまう。

ふと私は、神威と出会って初めて食事をしたときのことを思い出していた。






現在の第七師団艦隊の船ではなく、組織の母船内のサルーンでの食事だったのだけれど、
神威と私がついたテーブルには椅子が一脚しかなかった。
それは神威が意図してのことではなく、ちょうどサルーンは満席で、椅子も足りていなかった。
神威はすぐに代わりの一脚を、と近くの人に命じたけれど、私はあわててかぶりを振ってしまった。

…一目惚れ、という事態に陥ったこの人の手を、初めて一緒にする食事の席で煩わせたくなかった。
それに、もともと私が生まれ育ったところは文化がそういうものだったし、自分の教育を担当した者から、
世の中には人間椅子専用奴隷、とにかく質より量で床に裸に敷き詰めて寝かされ、王に上を歩かれて踏まれるだけが仕事の奴隷などもおり、
食事など貰えるだけありがたい、家畜と同等の扱いを心得ておけ、と散々言われていたのもあって。

「私、床で食べますから平気です」

と口にしたのだけれど、その瞬間神威はずっと笑いっぱなしだった顔を初めて崩した。
きょとん、と私を見つめたのだ。
私はドキッとして、同時にどうすればいいかわからなくて。
もしかしてお高くとまっているように思われてしまったのかと焦り、
ひとまずテーブルに置かれていた食前酒を自分のぶんだけひっつかんで床に置き、
そのままサルーンの床に腹這いになってそれを舐めた。
そうすると、ちらちらこちらを見ていた好色そうな人や獣やその中庸の姿をした集団はどっと笑った。
笑いすぎていまいち聞き取れないヤジを飛ばされて、私は真っ赤になってしまった。
……自分が恥ずかしかったのではなく。
自分の行為で神威がかかなくてもいい恥を掻いたと思うと、涙と嗚咽まで漏れてきそうになってしまった。

……が、神威はけらけらと明るく笑った。
にっこりと目を瞑った笑顔ではなく、そのまるで血統書つきの動物のようにまとまった身体に染み着いている嗜虐性をちらつかせる微笑み。
それから椅子に腰掛けて、まもなく運ばれてきたリブステーキやポトフ、バランスよりも豪華さと熱量を第一としている食事を切り分け、
お皿に載せて私の眼前に差し出した。

いただきますと口にして、よく煮込まれた馬鈴薯を一口手で掴んで食べると、またヤジが飛んだ。
けれど、今度は私は恥ずかしくなかった。
お礼を言うために見上げた時の神威の顔が、この上なく満足げだったからだ。
第七師団長さんよう、そんなペットどこで拾ってきたんだよぅ、とからかわれたのに対して、神威はにこにこ笑うだけだった。
それでも上機嫌に食事を次々口に運んでいくのが見えて、私も大分食が進んだ。

そんな私の皿…いや、神威の足下にペチャリと、トマトで味付けされたマリネが飛んできたのだけれど。
「ペットのハニーちゃん、これも食いな」と、笑い声と一緒に。
それに自分たちで「うけた」のか、また爆発したような笑いがサルーンに溢れた。
それから、これもやるよこれもやるよ、と私の皿に次々、肉でも魚でも色々な料理のかけらが飛び込んできて、あっという間にお皿はご馳走の山盛りになった。

……神威は、今度は笑わなかった。
その顔から神威が今求めているものがわかったような気がして、私はかぶりを振った。
それから、「提督さ…あ、ちがう、神威にもらったものしか食べられません」ときっぱり口にした。
だって、そうじゃないか。
自分は神威あてに献上されたものだし、
神威は生まれて初めての感覚を私に与えてくれた。
そんな主人の許可もなく、自分とまったく関係ない人から貰った食事に手をつけるなんて…なんだか卑しかった。
その言葉に神威も満足したのか、身体を屈めて私の頭を撫でた。
その様子を見て、サシモの破落戸たちもこれが笑いものにしてよいものなのか迷ってしまったらしく、気まずい沈黙が広がった。
そのうち一人がなんの冗談だよ、とからかう口調で口にしたのに対し、神威は再び能面のような笑顔を作って。

「見たまんまだけど。あんまりちょっかい出すと殺しちゃうぞ」

なんて言ったものだから…私は、もうとろとろにとろけた。

「サルーンじゃなくて個室に運ばせればよかったね。今はちょうどあちこちの船から人が集まってるから煩いんだ」
「い、いいえ…ぜんぜん……」

そう言うと、また頭を撫でられてダメ押しされた。
私はさらに自分が恋にとろけていくのを感じながら、神威の足にほおずりした。
殺しちゃうぞ、なんて。
好きになった人が自分のためにそんなことを言ってくれるなんて!
ちょっと怖かった。
幸せすぎて、世界のお約束に乗っ取って次の瞬間に私はむごい死に方をするんじゃないかと思ったくらいだった。

そこで神威の脹ら脛と足を包む革靴に料理の飛沫が跳ねていることに気がついて、あっと声を上げた。
神威もそこを見たので、私はためらいなくその汚れを舌ですくい取った。

そこで、いっとき収まっていた周りの騒ぎがまた始まったけれど、気にならなかった。
靴についた汚れを舌の先でこそぎ取りながら神威を見上げれば、その頬はほんのり紅く色づいていた。
食前酒のせいだけじゃないと思いたい…なんて思いつつ私は自分の…これも併せて「献上品」なのだけれど、ドレスの奥の、もう下着で包んでいない割れ目が湿ってぽっかり開くのを感じていた。

「……
「…ん、はい……なんでしょう?」

ぽうっとする頭でそう問い返すと、神威は私の頭を自分の膝に招いた。
……そしてすぐ近づいた神威の下腹部は、痛そうなくらい張りつめていた。
どぎまぎしながらも、まだ覚えたての愛撫を行っていいものかと迷うばかりの私の頭の後ろを、神威がぐっと押さえた。
それだけで、ああ、と私は感じ入りながら、数時間前に私の…靫葛の中身のように他人を蝕む肉の合わせ目を広げていた熱を取り出して、その場で奉仕した。

一瞬にしてサルーンは沸騰し、私たち以外の全員が立ち上がって奇妙なうなり声をあげた。
それでもそんな他人のことよりも、自分の拙い舌と口で神威に気持ちいい感触を味わって貰えるかが大事で、私はぺろぺろと肉茎を舐め続けた。

……のだけれど、そのうち興奮した一人の男がズボンを下げてこっちに迫ってきたものだから、びっくりして固まってしまった。

神威は無言で、それでも名残惜しそうに私から肉茎を引きはがしてズボンに仕舞うと、軽く宙に舞った。

あ、「トカチェフ」だと、空中で開脚した神威のポーズを思ったのも一瞬で、直後に下半身を出した男に飛びつくと、そのまま後ろへ、男の腰から上を仰け反らせるようにまっぷたつ。

ごきっと、金太郎飴のようになっているあの背中の骨が折れる音がしっかり私の耳にも聞こえた。


「は、はい」
「船に戻って、部屋で何か食べよう」


そして、神威が率いているのだという艦隊の空母に移り、道々買った簡単なものを神威がかきこむのを見ながら、私はどうしていいかわからず広い部屋の床に正座した。

「…お前は、面白いね」
「え、そ、そうかな…お、面白がって貰えるなら……うれしい、ですけど」
「…………」

褒められているのかどうなのか、いまいち区別がつかぬまま照れた私を見て、神威は無言で食パンの袋の封を切った。
それを部屋に置いてあった小皿に乗せて私に手渡す。
私は素直に受け取って、やっぱり床に正座したままそれを食べようとした。

ら、突然お皿とパンの上にびちゃりと何かが降ってきたのでびっくりした。
…言うまでもなく、神威の。
私はその行為の意図がつかめず、不可思議な目でちらりと神威を見た…のだけれど。

……その瞳が、本当にわずかに。
暗い挑発の色を持っていたのがわかって…私はただ、うなずいた。

そして無言に催促されるまま、神威の精がたっぷり振りかけられたパンを口にした。
……案外おいしかった。
イーストと小麦のそっけない味に、苦いのかしょっぱいのかわからないとろみがかかると、それはそれで味わいのある食物となった。
それに馬鈴薯を数個と牛肉のかけらをいくつかでは、正直なところ口寂しかったのだ。

満足げに完食して唇を舐めた私の首根っこを、神威はぐっと掴んでベッドにぶん投げた。

さっきの中途半端な欲求がまだ糸を引いていたのか……そう意識すると私の秘処はだらしなく濡れた。
突然押し込まれた神威の猛りも、やすやす受け入れてしまうほどに。


あの瞳はきっと私のことを品定めしていた。
きっとあそこで嫌がるか、仕方なく受け入れるか喜ぶか、神威は反応が見たかったのだ。
……要求されている行為が破天荒だという認識はあったけれど。

それ以上に、死も毒も恐れずに私に触れて、荒々しく自分の「モノ」にしてくれた人にむくいてあげたい気持ちのほうが、途方もなく大きかった。




「んっちゅ…むちゅっ……」

口を閉じていても、噛むたび歯に絡む粘液がくちゃくちゃと音を立ててしまう。
それでもうっとりと食べるのをやめられず、身支度を続ける神威を後目に私は皿の上の朝食を貪る。

私のことを蕩かしてくれる精の固まりを口にできるということと、それを見た神威が毎朝私に欲情してくれることと。

いろんな理由が入り交じって、私は食事の時間だというのにうっとりと秘処を潤わせてしまう。


「ん…はい?」
「食べた?」

うなずく。空になったお皿を置いて、ごちそうさまでしたと手を合わせる。

「やっぱり、出かける前に一回抜いておこうかな」

そう言うと、神威は顔に巻きかけだった布をぐいっと首の下までずらして、私を持ち上げてベッドの上にぽいと投げる。

……とたんに、私の背筋を電流が走り抜ける。
ああ…こうして。

チーパオにも似た私のブラウスを、破きそうな勢いで神威がはぎ取る。
ぽろんと露わになった乳房の先端が尖っていることを知られるのがほんの少し恥ずかしくて、私は身をよじる。

「ん…いい肌」
「やっ、あ、だ、だめですっ……おなかはつままないでぇ……!」

のしかかって、自分の細いのに屈強な身体を押しつけてくる神威の手が、乳房から滑って私のお腹の表面の…皮下脂肪をむにむにとつまむ。
それは裸になるよりもずっと恥ずかしい行為で、いやいやをせずにはいられない。

「美味しそうな身体だよ」

そう言って、鋭い犬歯が乳房に食い込んだ。

「あんッ…!あ、はっ、んぅ…き、気に入ってもらえるなら…う、うれしい、けどぉ……!」
「んー…気に入ってるよ?乗っかったときに骨が当たる身体よりはずっといい」
「んぎ、い……そ、そうです、かぁ……!」

言葉と一緒に、神威がもう片方の乳房をぎゅうっと掴んだ。
揉むと言うよりは、そのまま掴んで肉をちぎろうとしているような強さで。

「はんっ、んぅ…!そ、そこっ…ぎゅうってされると……ん、く、ぅう……!」
「あはは、ここか。中になんかあるもんね、さわっててコリコリする」

乳腺とか、たぶんそういうところ。
力強く愛撫されると痛みと同時に、じんわりと穏やかな気持ちよさが頭の中に広がっていく。

「押すと乳首も立ってくるもんなぁ。ほら」
「あうッ?!」

ピンッ、と。
でこぴんされた。乳首に。

「んはぁ…あ、いたっ…い、あぐ……!」

その衝撃そのものよりも、瞬間的にすごい力で当たる爪の先が痛い。
乳首がとれるんじゃないか、なんていうばかばかしいことまで考えてしまう。

「痛かった?」
「う…ん、あ……え、あ、でも……ああ、なんか……!」

じんじんと腫れる痛みは、どんどん甘く苦しい気持ちよさに変化していく。

「好きなくせに」

耳元で、色の薄い唇が私にそうささやく。
その言葉にぶるんっと震えてかぶりを振れば、美しい髪の毛が頬に触れた。

「好きだろ」
「……っ、う、うんっ……!」

繰り返しの言葉に、今度はうなずく。
そうするとくすくすと残酷な笑い声がして、それから…ほんの一瞬、疑問を抱く暇すらなく。
さっきとは比べモノにならない圧迫感が、胸の先っぽを襲う。

「あぐっ…?!」
「これ、あげる」
「はっ…これ、なに……?!」

ステンレスかなにか。
銀色に鈍く輝く金属製のリングが、まるでイヤリングみたいに私の乳首を挟んでいる。
…その力はアクセサリーなんていうぬるいものではなく、このまま潰れてしまえというような凶暴さで私の先端を締め付けてくる。

「ピアスが普通らしいんだけど、どうにもね」
「んくぅっ…き、きつ、い……これ、きつっ……!」
「お前の身体に穴を開けるのは、なんだか嫌なんだよ」

その色っぽい声に、ぞくりとした。
痛みを一瞬忘れて、神威の顔を見つめる。

「あ、ありがとうございますっ……そ、そんなふうに言ってもらえるなんて…っは、あ、ああ゛あ゛ぁああぅうああ?!」

後ろから抱きかかえられた私は、笑顔を浮かべた瞬間に秘唇に神威をねじ込まれた。

突然の衝撃と快楽に口も回らず、ただ舌を突き出してぶるんっと全身を震わせる。

「あっ、か、は……!」
「はは。イッちゃったね」

びく、びく、と何度にも分けて収縮を繰り返す私の粘膜に包まれた神威は、そんな私にさらに深く入り込んでくる。

「んはひっ…お、奥っ…!ひ、ひきつって、る、のにぃ……!」

ああ、しょせんは口だけ。
本当はひきつって、絶頂を迎えた直後の膣にだめ押しで衝撃を与えられるのも大好き。
そんなこと、神威は簡単に見抜いてくれる。

「一回目……っと」
< 「あ゛ッは、あ、ああーーッ!!」

私の中の熱が突っ張った、と思ったら、中で突然爆ぜた。

「き、きたっ……あっついの、きた……!」

一番奥は、温度なんて感じないから熱いわけないのに。
それなのに私のいやらしく貪欲な身体は、神威の精を熱いと認識するし、その熱を逃したくないとでも言うようにぐぽっと「なか」がうごめく。

「……これ、入れながら引っ張るとどうなるんだろうね?」
「んはっ…あ、そ、それっ……それぇええぇえッッ!!」

ぐっ……と、私の乳首を圧迫したままだった金属を、神威の指が強く引っ張った。

「ちちちちぎれるぅうっ!ち、乳首っ、ちぎ、れ、るぅうっ…ん、はぁあぁあッ!」

もはや快楽に変換するしかない突き抜けるほどの熱い痛みが私を押し上げるのに便乗して、神威の腰がぐりぐりと動く。

の中は…こうやってさ」
「あひッ、ひッ、ひあ、あ、あいッ、あ、あ、こ、こすれぇ、え、えぇええッ!!」
「擦るみたいに動くと、なんかすっごく痺れるよ。あはは」

それは粘膜からむき出しの毒液が、侵入してきた異物を溶かして毒を擦り込もうとしているから。
たぶん普通の人なら、ここいらで身体がもう麻痺して動かなくなっている。

なのに、神威はびくともしないのだ。
私のそんな、埋めようもない肉体の欠陥も快楽の道具としてひたすら愛でてくれる……。

「ごっ、ごめんなさぁっ、いっ、んっ、ふ、ふふっ……い、いっぱい愛液出して洗い流すからぁっ…ああ、でも…愛液も毒だから……はぁ、ど、どうしよ……?」
「まじめに考えるなよ。バカだなぁ」
「んはぁうぅっ!ば、バカでいいのぉっ!!」

愛情のこもったののしりを受けて、私はさらに痙攣する。

「……、ちぎってもいい?」
「あえっ……?」
「ここ」
「はうっ…!」

神威が、金属がちゃらりと鳴る私の乳首をぐりっとひねる。

「ここ、ちぎっちゃってもいい?」

ああ、押しつぶされるだけでも発狂しそうなくらいぞくぞくして気持ちいいのに。

ちぎられるなんてされたら、私はどうなってしまうんだろう……。

「いっ、いいですよぉっ……!ちぎって、ひねりつぶしてぇえっ…私のちくび、いっぱいいじめてえぇっ!」

「……あはは。かわいいなぁ」
「んア゛ッ?!あ、ああ、ああっ、あぎっ、い、あ、ぁあああーーっ!!」

ああ、このまま。
このまま本当にちぎられる、と覚悟を決めるほどの強い刺激。
それを受けて、私の秘処はびくんびくんと震える。

「……っ…二回目、っと……!」
「はっかぁあ?!あ、ああっ……またきたっ…なかだしきたっ……!あっつい、あっつぅいのぉおっ……!!」

どくり、と、またなかで熱が噴き出す感覚。
そしてちっとも硬さの失われない肉茎で、神威はまるで白濁を私の内壁に擦り込むように腰をゆるゆる動かした。
ぐちゅ、ずちゅ、と、とんでもなく淫猥な音を立てて、肉茎にかき混ぜられた精液が膣のなかで泡立っていく。

「あ、いああ……いっぱい…!」
「…こっちの方が毒を中和できる気がするなぁ」
「そ、そーです、そーですっ!だ、だからもっといっぱい出してっ……!」

ギュッ、と、臀部に力を込めた。
その甲斐あって、快楽に開ききった私の陰部はやや締め付けをきつくして…神威を強く圧迫できる。
……すると、まだ残っていたのだろう神威の中の残滓が、ずるりとこぼれるようにまた漏れてくる。

「はうっ、あ、ああ…あ、お、奥ぅ…!」

くっちゅくっちゅと、粘っこい音を伴う浅いストロークの動き。
それはなんとなく、隙間から溢れ出てこようとする精をより奥に押し込もうとしている動きな気がして、恍惚にうち震える。

「も、もっと奥にっ…入って、押し込まれてっ、わ、私のおなかっ……あ、か、神威の…飲んじゃうっ……!」

まあ、いくら注いで貰っても子種なんて私の粘膜に触れた瞬間即死して一匹も卵子には届かないのだけど。
だからこそ、せめてその感触だけは逃したくない。
幼い頃肌に毒を吸わされた時のように、子宮の壁が神威の精を吸ってくれないかな、なんて考える。
そうしたらそれはそれで、私の中に神威の一部が存在していることになるのに。

「もっと…お願い、もっと擦って…!なかっ、オマンコのかべっ…壁のなかにずりずりしてっ……神威の精子でマーキングしてぇっ……!」
「マーキング?へえ…それならこっちだね」
「っ?!……あ、あ゛ーーッッ!!」

膣壁を急に襲った違和感と、その異物がすぐさま逆流して膣からこぼれ落ち、ベッドシーツに垂れていく感触。

「あっ…あ、おしっこ……ぉ…おしっこまでっ……ん、んぅっ……!」

びちゃびちゃと。
私の秘処に刺さりっぱなしの神威が、遠慮などせず私の穴に排泄を続ける。

「うー…結構出るな……まあ朝だし」

そう言って気の抜けた声を上げる神威がなんだか愛しくて、そんな安息、プライベートな瞬間まで自分に押しつけてくれる状況が幸せすぎて、私の目玉がぐるっと裏返りそうになる。

「あくっ、あ、ああ…中、ひ、あ、入ってくる、よっ、か、神威の、わ、私の子宮にちょろちょろって……え……っ!」

すさまじい背徳感に、まるで気が触れたように私の下腹は痙攣した。
同時に気持ちのいい破滅が頭の中身を襲って、一瞬のうちに私は絶頂を迎える。
同時に神威も、ぶるっと身震いした。

「はひっ…ひ、ああ……す、すっきりできました……?」

「……ん、なんだ、もうそんな時間か」

私の言葉は、強く物事を意識してのものではなかったのだけれど。
その一言で、神威は出かける前だったことを思い出したらしい。


「出なくちゃ。あーあ、ちぎり損ねた」
「……っ、その、えと…神威……」
「言った通り、部屋から出るなよ?破ったら…そうだなぁ、今日はもう、続きしてやんない」
「えっ……?!や、破らない!破らないもん!」
「あっはは。行ってくるよ」


扉が閉まって、愛しい人が出ていく。

「…………」

私は胸にはめられたままの金属を、くいっと自分で引っ張った。

「……ん……」

……神威が戻ってくるまでに。
一人で何度絶頂を迎えるのか考えると、寂しさと疼きが身体を支配した。