どんなところにだってヒエラルキーは存在するものだ。
宇宙海賊などという破天荒なものになっても。

作戦会議室、艦載機格納庫、医務室、砲撃室…と、割り振りされ区分けされた部屋の中には、クルー、つまり船員たちの休憩専用の部屋もある。

同じ船員でもペラペラとなれば六人部屋にすし詰めだ。
組織内での地位が上がるにつれて待遇もよくなっていく。
つまるところうちの団長…いや提督?は個室を与えられている。
大人二人乗っても余る寝床に各種収納、シャワーにトイレ付き。



……どうしたもんかね、と、なるようにしかならないと解っていながらため息が止まらない。
…団長は人の上に立つには向かない人物だ。
カリスマ、人を引き寄せるものは確かにあるが、
それ以上に周囲を鑑みない我得を優先する身勝手さ、取引も頭を使うことも「面倒くさい」の一言で蹴飛ばしてしまういい加減さが先立ってしまう。

今のところ阿呆提督が去られた宇宙海賊春雨の実権を握ってはいるが、やはり表には「お飾り」を立てる必要があった。
その裏で自分や周りの人間が慌ただしく動き回っている。



「ふぅ……」

…個室ではなく、別に誂えられた共同浴場の湯船にを身を沈めながらまたため息をつく。
鬼兵隊…という連中とだって腹のさぐり合いをしている最中だ。
心休まるときと言えば、こうして風呂に浸かるときと腹一杯に食事をかき込んだ直後くらいなもの。

自分より先に浴槽から出て、カランで冷水のシャワーを浴びる朋輩になんとなく目配せをする。
すると向こうもちょうどこちらを見ていたようで、互いに目があってなんとなく気まずくなる。

「なあ、阿伏……」

「あれ、貸し切りじゃないや」

……朋輩が気まずさを振り切って口を開いた瞬間に、浴室のガラス戸が勢いよく開かれた。
朋輩はその戸から覗いた二つの人影を確認するなりピッと口を噤むと、ろくに水気も払わずに脱衣所にまさしく脱兎のごとく駆け出した。

「ありゃ…あ、阿伏兎」
「……」

にこにこ笑う団長…いや提督…ああ団長でいい、もう……に、思い切り不機嫌な顔をぶつけてやる。
それもまったく意に介した様子はなく、一糸纏わぬ姿でずかずかと入ってきてカランの前の椅子に腰掛ける。

その一歩後ろから真っ白い一枚の布を、地球で言う「ユモジ」だとかいう下着だか、イスタンブルの卑猥な踊り子の衣装だかわからないが…乳房と陰部だけ覆う形で体に巻きつけた少女が入ってくる。

「……団長」
「んー?」
「個室のフロでやってくんねえか」
「ええ…だってシャワーだけなんだよあれ。湯船どころか座るスペースもないよ」
「…………あー……」

申し訳程度に頭に乗せたタオルに手をやって、もう少し長湯していたい気持ちに別れを告げ…ようとしたら。

「ねえ
「なんですか?」
は別に見られても気にしないよね」
「えっ…え、う……うん、と…私自身は、ぜんぜんかまわない…です」

そう言って、団長と…その奴隷であるという少女が、俺の方を二人同時に振り向く。

つらつら行間を読むに。
「雰囲気を作りたいのでそこで見ててね★」
と言いたいらしい。

「…………はー……」

持ち上げかけていた身体をもう一度、浴槽内の段差に沈めて腰掛ける。
こんなぬるま湯にはたとえ一日中浸かっていてものぼせる心配はないのだが。

「神威…髪、ほどきますよ」
「ん…体からじゃないんだ?」
「うん…髪から洗って、その後に体を洗うのがいいんです。髪を後から洗うと、垂れてきたシャンプーの残りで背中が荒れちゃうかもしれないし…」
「へー……」

そう言って、娘は団長の髪留めをするりとほどく。
すると編み込まれていたせいで波打った髪がふわっと広がって、普段の雰囲気とはまた違った背中に見えるな…などと、どうでもいいことを考えてしまう。

(っておいおい)

思わず制止の声をかけそうになる。
娘がタイルについた膝を前に滑らせて、団長の髪の毛に顔を埋めた。

「ふ……ん、ふっ……ふふ、神威の匂いがする…」

さしてその辺に深く突っ込んだことがあるわけではないが、
確かずいぶん前にあの男は張り見世の売女の伸ばした手が髪の毛に触ったとかで、その手首をペキョッと折ったことがあった。
…別に女が嫌いというわけではなかろう。
神経質すぎるというわけでもなく、そのとき虫の居所が悪かっただけなのだろうが。
だからと言って奴隷一匹にあそこまでベタベタと触れられて涼しい顔をしている団長というのもまた想像できず、
シャワーから湯どころかあの娘の頭から真っ赤な噴水が出るんじゃあとか思ってしまった。

「ん…俺の匂い?」
「うん、汗と、あと…ちょっと生臭い」
「それだけじゃないでしょ」
「あ……えっと、私の匂いも少し…う、うつってる……かな?」
「少し?」
「す…すこし……」
「俺の頭の上に潮噴いたの誰だっけ」
「や、やぁ……!もうしないですから……!」

あー。
あーー。

けらけら笑う団長の髪をブラシで梳くと、娘は優しくシャワーで濡らしていく。
そして立てた膝をかたかた震わせて、内腿をすり寄せている。

「神威の髪の毛は柔らかいし、きれいな色だし…触ってると、なんだかうっとりする……」

たっぷり泡立てたシャンプーを、慣れた手つきで髪の表面と地肌に付けて汚れを擦り落としていく。
その息が浴室の湿気や熱とは別に湿っているのは、団長にだって伝わっている筈だ。
……ああまったくなんでこんなキテレツな状況に大人しく従っているのか。
湯に沈めた、下腹のあたりがむず痒くなる。

さあっと手早く泡だらけになった髪を流しきゅっと手で絞ってから、カランの傍に添えられたリンスに手を伸ばす。

「ああ、いいよそれは」

その手をすっと遮られて、手持ち無沙汰になった娘はきょとんとしたが、すぐさまトロンとした笑顔を取り戻してボディソープを手に取る。

「……は、あ……」

泡まみれの滑る手で触れられているのは、娘ではないのに。
触れられている団長よりもずっと昇ぶった様子の切ない吐息を漏らしながら、娘は背中から手を回して団長を抱きしめる。

「ああ…だめ、だめです、神威……私……」
「あはは、ダメダメ。ちゃんと洗ってよ…今日一日、を可愛がってあげた俺をさ、ねぎらってよ」
「…ぅ……う、はい……」

犬がお預けを食らったみたいだ。
娘は舌をちろりと出してため息をついてから、塗り付けた泡を自分の肌で広げていく。

その、媚び以外の何者でもない淫猥な動きは見飽きたものだ。
接待であれ嗜好であれ、地球のレートで諭吉を二枚ほど投げれば美女も不細工も娘も年増もやってくれる。
歳を重ねるごとに回数も興味も減っていったが、それでも何度目にしたかわからない。

だというのに目の前の行為に視線が釘付けになり、思わず口腔に溜まった唾を音を立てて飲み込んでしまうのは………なんというか。

そんな行為に浸っている二人が顔見知りで、さらに一人は血に匹敵するほど濃い絆で繋がれた同胞の友だからか。
少女の方の吐く息が、切ない声が、か細いけいれんが、その同胞に一身に向けられた破滅的な情欲をくどいほどアピールするからか。

「っ……あ…熱い」
「そこもしっかりね?」

背中越し…なのにはっきり二人の行いが見えるのは、二人の正面に張られたハイドロ鏡のせいだ。
ああだったら目を逸らせばいいのに。
自分はあれこれ理由をつけては、娘が同胞の性器をしごいて射精を促す動きをするのを盗み見ている。

血液が集まって腫れ上がった先端を指の腹でくるくる撫で回し、突っ張った包皮をくいくいと引っ張って慈しむ。

そうしているうちに娘は大きく息を吐いて、立て膝を崩してタイルにへたり込んだ。


「ご、ごめんなさ…あ、う……ああ……」

うわごとのような謝罪を繰り返して、少女がぶるんっと大きく痙攣する。

「……しょうがないなぁ」
「んッ…ひッ、んぅッ?!」

椅子を蹴飛ばして、団長が乱暴に立ち上がる。
そしてそれとほぼ同時に、うずくまった毒娘の股間に思い切った蹴りが入った。

……なかなか気持ちのいい蹴りだな、なんて思う。
本気こそ出していないが、逆に容赦もしていない。
自分に刃向かう者へと同じ動きで、団長は笑いながらいたいけな娘の股ぐらを蹴り飛ばした。

「ちょ、団……」
「ん?足りないの?」

自分の口から出かかった言葉を遮って、笑顔のまま娘に問いかける。

「いや、ちょ…団長ォ」

さすがに見るに耐えられなくなりそうで、慌てて立ち上がったのに。

「はっ……ひ、あ……た、足りないれすぅ……も、もっと…もういっかぁい……」

仰向けに倒れ込んだ奴隷娘は、恍惚に浸りながらそんな滑稽なおねだりを絞り出す。

「あっはは、好きだねぇ電気アンマ」
「すっ、好き……!神威の足っ…あし、ぐりぐりされるのすき……ッ、あ゛、あはあ゛ーーッッ!!」

娘の脚をひっ掴んで、言葉通りレスリングの技をかける要領で下着の上から性器を押し潰す。

「……お、あ」
「ん?なに阿伏兎」
「え、あ……いや」

勃起した。

身も蓋もなく言うとそうなる。
暴力と性欲がごちゃ混ぜになったその行為を、一方的に押しつけるのではなく双方が悦んで受け入れる倒錯した光景に。
枯れかけていた情欲が呼び起こされて、立ち上がった拍子に出したままの下半身にそのまま熱が籠もった。



ぐっちゃぐっちゃと、浴室の湯よりも粘着質な液体で湿る少女の秘処を踏みつけながら。

「よかったね、阿伏兎も興奮してるみたい」
「あがっ…っく、ぅ……え…は、え……?!」

そこでようやく、仰け反る娘の瞳が俺を捉える。
そしてその視線はすぐさま怒張に注がれ、仰向けの肩がびくりと揺れる。

「あっ…え、えっと…だって……ぇ…え……?」
「ねえ、
「んぐぅあッ!」

ぐりっと、つま先で娘の淫核をひねるように潰して、それからいつもの張り付いた笑顔で俺の方を見る。

「このまま十回イッてよ」
「は、あ、あ……あ、じゅ、じゅっかい……?」
「そう。イッたらちゃんと言うんだよ?もし言えないままイッたり、俺が飽きるまでに十回イケなかったら…そうだなぁ……んーと」

今度は薄目を開いて、舌なめずりをしながら娘を見て。

「阿伏兎に突っ込んでもらおっか」
「は……あ、えっ……ええ……?!」
「お、おいちょ、ちょっちょ、団長」

狼狽する娘の股の布地を、足の指で器用にずらしながら。
団長はまたにこっと笑ってこちらを一瞥した。

(そーいうことな……ああ…)

自分の読みに間違いがないなら俺は今、まあ冗談だけどね、そんなことしたらお前でも殺すよ、と脅されている。

そんなことは露とも知らぬのか、それともわかっていて遊びに付き合うつもりなのか。

少女は泣きそうな顔でこくっとうなずいて、ずらされかけていた下着を自分で、ぱちんと外す。
隠れていた乳房と陰部がまろび出て、この少女の身体のどこにも傷らしきものが見あたらないことに気がつく。
……気に入っているというか、大事にしているというか。
団長のそういう心にどういう感情を抱けばいいかはとりあえずわからないが。

「んはっ…は、あ…足、のゆび……ぬるぬる……!」
「ホントに好きだよね。手でされるよりも足がいい?」
「はぁ、あ…ん、わ、わかんないっ……ど、どっちも、どっちも好きっ、好き……は、っ、あぅん……!!」

足の指、爪先でくちゅくちゅと何度も割れ目を往復させて、団長が笑う。
その笑い声に応えるように、毒持つ娘が言葉を続ける。

「神威なら…神威ならなんでも好き、神威が好きっ……!」
「あはは、ありがとう。白目剥きそうな顔で告白なんて初めてされたよ」

鬱陶しい害虫を潰すのと同じ動きで。
ぐっ、ぐっ、ぐっ……と、何度も何度も。
白い足がさらに白い足の間に割り込んで、壊してしまいそうなくらいに踏み通す。

「あっが、ぐっ…あ、い、いいい一回めぇええっ!一回、いっかい、いきますっ、いっ、ぐ、あ、あ゛あ゛あ゛あ゛ッッ!!」

本当に海老みたいに仰け反る。

明らかに暴力的な、愛撫と呼べない愛撫を受けているのに。
娘は涎を垂らし、身体をぐっと反らせて歓喜する。

「ん、いい子……あーんして」
「あっ……ぁ、あーーんッ……!」

ぽっかり開かれた娘の口に、だいぶ上から団長の唾液がトロリと落ちる。

「んひゃぶっ…ひゃ、あ……っふ、んぶ、るぅっ……!」

極上の蜜を味わうように、娘は垂らされた涎を残さず舐め取る。

「すぐ飲んじゃダメだよ」
「んっ…」
「口の中で一杯泡立たせてから……」
「んっ…むぐっ……んくっ、ちゅ……!」

くっちゅくっちゅと。
口の中の粘膜に舌で擦りこむように。
牛が食べ物を反芻して味わい続けるように。

「いいよ、飲み込んで」
「ンッ……!」

愛しい男の許しを得てようやく、その至高の液体を飲み干す。
ゴクンと喉を鳴らして…幸せそうにうっとりと微笑む。
その様子を見て…団長が口角をこれ以上ないくらいつり上げて、ペロリと品のない舌なめずりをする。
その肌にも浴室にいるせいではない汗と紅潮が見られる。
ちゅぷりとぬかるみの音を立てて、つま先が膣穴に沈む。

「はうっ…ん、ぐ……んぅ…は、ああ…指いいっ…指ちんぽっ…神威の足指ちんぽ……!」

とんでもなく下劣な言葉を口にしながら、少女はどんどん昂っていく。

「ひどいなぁ、それじゃ俺が全身ちんこみたいだよ」
「あっ…ご、ごめんなさっ…そ、そういうのじゃなくて…!神威に触られれば…どこだって気持ちいいから、わたしっ……!」
「まぁ、は全身アレだもんね」
「っそ、そう…!私っ、全部オマンコ…!からだじゅう全部、いやらしいの……んッ、は、あぁ……あ、あッ…!」
「こっちの穴も…ほら」
「んあ゛ッ!!い、いあっ…お、あ、だめっ…そっちっ……お、おしっこの穴あぁ……!」

愉しげな主人は、奴隷を自分のモノとして完全に掌握しているのか。
口先の抵抗など鼻で笑うだけで、器用に足先を濡れそぼる割れ目に沿って何度も上下させる。
その摩擦の刺激に娘が震え、快楽に顔がとろけかけた瞬間を狙って…爪の先を、尿道へ潜らせる。

「んひっ、ひぃぁッ、あ、あああぁあッ……ん、はッ、あ、ああ、あっ……いやっ…いい、よぅ……おしっこあな…っ!」

カリカリと。
これも娘の献身の賜物だろうが、端正に揃った足の爪の先端で小水の穴が穿られる。

「あひッ、あッ、ひッ、ひぃぁあぁああッッ!!にっ、にかいめっ!!二回目いきますッ!!お…おしっこの穴はだめぇええッ…あっ、あ、わ、私、すぐ…い、あ、ぐっ……ん、あ、あぁあああーーッッ!!」

団長の口許が緩む。
宣言通りに娘は二度目の絶頂を迎える。
どろりとした瞳で虚空を見つめたのも一瞬、震えが止まるのも待たずに責めを始める団長に娘が泣く。

「かっかかか神威っ、だめっ、あ、わわっ私、漏らしちゃうっ……!!」
「いいよ、どうせ風呂場だし。我慢しなくていいよ」
「ひっ、は、あ…だ、め、あ、み、見られてるっ…から……!」
「ん……?阿伏兎に?」

自分の方を見たりはしないが、改めて意識したのがはっきり伝わってくる。

「気にしなくていいよ」
「いやっ…恥ずかしいのっ……見られたくっ…ない、の……!」
「へー」
「んぐぅうッ?!やッやッやぁあッ!足っ、足ガクガクさせないでっ……オマンコ…ぶるぶるさせないでぇえっ…!」

まるで疑似的に、虚空に向けて交接をせがんでいるようだ。
無慈悲な愛撫から逃れようと、腰を左右に細かく振る。
小動物を甚振るみたいに…目の前の朋輩は、自分の獲物を追い詰める。
左に腰が逃げれば足もそっちに。右ならそっち。
どちらにどう動いても逃げられないのに、少女は必死に唇を噛んでそんな動作を繰り返す。

「あぐっ…う、だめ、もう…だ、め……もれ、る…ぅ……!」
「我慢するなよ。身体に毒だって」
「いッあ、だめっ……さッ、さんかいめっ……さんかいっ、三回目ッッ……い、いっぐ…きちゃうきちゃうきちゃうッ…!神威っ……ひ、あ、あ゛ッ…あ゛あ゛っっはぁああぁああーッ!」

びくっ……と、腰が浮く。
同時に勢いよく、堪えきれずに噴き出した飛沫が舞う。

だだ漏れになった迸りを浴びながらも、団長はくすっと笑う。

「可愛いよ……

そして心底胸を打たれた様子で…どこか恍惚すら感じる声で、囁く。

「あーあ」
「はっ……ひ、あ……わたし……う…!」

羞恥に耐えがたいのか、少女が涙ぐみそうになった瞬間に、団長はふと優しい声を出す。

「漏らしちゃったね」
「っ……だ、だって……!」
「責めてるんじゃないって。俺は恥知らずで淫乱なお前のことが好きなんだよ」
「……え……?」

その囁きを貰った瞬間に。
少女の顔から羞恥の色が引き、代わりに頬が薄い薔薇色に色づく。

(本気に薔薇色になるホッペタってなあ)

「…ほんと?……すき……?」
「うん。好きだよ」
「………は……ふ」

頬どころか耳元まで赤くして、少女が微笑む。

「やんッ…?!」

たっぷり飴を与えた主人は、少女の脚を掴んだままぐりんと回転させる。
素直に順応した身体はころんとうつぶせになり、つややかな背中と臀部を晒す。

「そら」
「んッ?!はうッッ……?!」

娘の脚は離さず、その体勢にさせてなお、足で弄うのをやめない。

うつぶせの臀部に強く足を押し付けて、脚を支えていなければ蹴り飛ばしているに近いような強さで何度も少女の股間に衝撃を与える。

「んあっ……あ、ああ…あ、あっ…あ、い、あ…それっ……いい…!な、なんかぁ…腰っ……骨盤っ……下半身全部にズンズンくるうぅっ……!」

はッ、と、刺激に喘いで口の端から舌を垂らす。
その蕩けた顔を見て嗜虐心をよりそそられたのか、団長が従順な奴隷娘に命じる。

、顔面モップって知ってる?」
「がん……?」

……うまく思考できない。
ただこれから目の前の朋輩と奴隷が行おうとしようとしていることに…胸が躍った。

「俺はしたことないんだけどね、ココに入ってきた頃とか、弱いヤツはよく余興でやらされてたんだよ」
「ん……う…どうするの……?」
「さっき漏らしちゃったでしょ?どうせだしほら…舐めて綺麗にしなよ」
「あ……」

その少女の小さな声が、怯えや嫌悪でないのは簡単に理解できた。
震える。
思わず湯に浸したままの熱い下腹に手を伸ばした。

「はぁ……あえっ……れ、ろぉ………ッ……」

薄紅色の可憐な舌が、浴場の床の上をつるんと滑った。

「…………っ……」

身震いした瞬間に、団長の青い瞳がこちらをジッと見つめていることに気が付いて…中途半端に反り返る熱から慌てて手を引きはがした。

白く艶めかしい少女は、ペロリと白いタイルとその上に溜まった湯水、自分が排泄したものの残滓を舌先で掬い取っていく。

「は…あ、んっ……ん、れぇ……れ、るッ…ン……ヂュッ……ん、ぷ……」

ぶるんっと。
今の体勢なら、少女の臀部が快楽に戦慄くのがはっきりと見て取れた。
それをただ見つめる同胞の視線も、愉悦を孕んだものだ。

ただ自分は……その倒錯しきった様子から目が離せずにいた。







「はか…ひっ、ひ、ああ……ああ、あぁぁ、じゅっ……じゅ、じゅっかい……じゅっかいめ……ぇ……くる、きますっ……いぐっ…いぎますぅッ……!」

娘がそう宣言したのと同時に、団長はトドメを刺すように押しつけた足に力を込めた。

「んはあ゛ーーっっ!!あ、ッ、あーーッッ!!」

ぷしゅ、と。
勢いよく栓を開けたサワーみたいに、飛沫が散る。
それはすかさずぼたぼたとタイルに落ち、娘の震え混じりのため息と混ざって収まっていく。

「あっはは、いい子いい子、ちゃんとできたね」
「はひゅっ…ひ、は……ああ、うん…か、神威の……いうこと、だから……ああ……!」

しゃがみ込んだ団長に背中を起こされて、娘はもう一度「おこり」のように震えた。

「いじめすぎちゃったかな?」

言葉とは逆にまったく省みる様子などない声なのに、娘はふるふるとかぶりを振る。

その様子に特別興奮を煽られたのか、ぷるぷると戦慄く唇を団長は噛みつくように奪う。

「んっ…は、むっ…ぢゅッ…る、ん……んぅ…」
「……ふ……ん、そうだ、…」
「は……う?」
「いい子だったから、一つだけおねだり聞いてあげるよ…何かある?」

娘は少し逡巡して…それからモジモジと恥ずかしげに身を捩って。

「あの…私の…胸、おっぱい……踏んで…ほしいです……!」

おいおい。
どこまで頭がおかしいんだよこの二人は。

そんなふうに醒めた考えとは正反対に、これからどれだけ狂気の色が滴る状況を見られるのか。
どこか期待して湯船の中で懲りずに熱を持て余している自分がいる。

「へえ」
「あ…わ、わたし、の……」

笑顔を張り付けたままの素っ気ない返事は、さらに浅ましい強請りを要求してのことだと、目の前の女はわかりきっている。

「私の…こぉ…ぉんな、おもちゃにされるためにある、いやらしい胸…か、神威の足で踏んで遊んで……っ!」
「踏むだけでいいの?」
「はンッ…!ふ、踏んでぇ、足でいっぱいこね回してっ……乳首も、足の指でいっぱいつねって…ッ!」
「ふーん……」

そう言って、自分の胸をぐいと持ち上げて見せた仰向けの娘の頭の方に移動して、団長はタイルの上に胡座をかく。

「こうかな」
「ふひあぁッ?!」

まるで間接で相手の首を極めようとするかのような体勢で、期待に震える娘の首を自分の股間に据わらせる。
そして柔軟な動きでそのまま、頭の方から乳房に踵を振り落した。
柔らかい肉に鋭角な足が食い込む。

「はひっ…ひ、あ、あぐ…うぅう……!」

また…歓喜の表情だ。

「お…おっぱいの根っこ…乳首の奥っかわぁ……お、押されるぅ…ぐにぐにっ…ぁ、痛ぁッ……!い、たい、けどぉ……!」
「やめてほしくないんだろ」

その問いに、一も二もなく強くうなずく。

「ここもちゃんと勃起してる…あはは、どうしようもないね、は」
「んひッ……あ、ぅ、ああ…そ、そう、どうしっ……ようも、ないのぉ……!」

痛々しいほどに尖った乳首を足の指で転がされて、甘い声を漏らしながら娘が喘ぐ。

「私……神威がかまってくれないとどうしようもなくなっちゃう…ッ!うあぁっ…いぁ、あ……っん……!」

睦言をつぶやきながら、娘は眼前の肉茎に舌を伸ばす。
仰向けのまま…顔中自分の唾液でベタつかせたまま、愛する主人の快楽を願っている。

「神威っ…神威もよくなって…!わらひのっ…お、ほかに使い道がない口オマンコでっ…いっぱい……んぐぅぉおおッ?!」

娘が口上を言い終える前に、慕われる主は健気な喉に怒張を突き込む。

「ああ…いいよ、この体勢だと奥まで入るね」
「んぐごっ…ぐぉっ、おおっ……おっぐ……う、んぶッ……!」

殺す気かよ。
そんな呆れ混じりの制止の声さえ上がりかける異様な光景だ。
仰向けで伸びきった喉奥に、逆に嘔吐さえも許さない密度で杭を打ち込まれ、それでもまだ足りないというふうに身体を押さえつけられてもがくこともできない。
しかもその押さえつける足は、自分の乳房を不躾に踏みつける…他人から見たら拷問でも、きっと目の前の女にとっては被虐の頂点にあるのだろう快楽なのだ。
快感と苦痛と単純な窒息と。
全部が全部ない交ぜになって娘の中でひとつの淫蕩な天国を描いているのが、傍からでもわかる。

それでも人間の肉体の生理現象からは逃れられないのか、終ぞ嘔吐の音と苦しみからの仰け反りを持って、少女が限界を訴える。

「おぶふっ……ぶはッ、はッ、は、あッ……あ゛ッ…はぁあぁああ……!!」

肉茎が離れると同時に、逆さまの少女の口から噴き出した胃液が、なめらかな肌を蹂躙する。

「ああ…詰まっちゃうか……ん……」

語尾にハートマークでもつきそうな口調でそう言って、団長が体位を変える。
すぐさま娘の顔に唇を近づけて、鼻腔に流れ込んだ胃液をちゅるりと啜る。

「ん…ん、チュッ……ん、ふぅ……は、…?苦しくない?」
「はっ……え、あ……」

鼻腔をちゅるちゅる吸われて、それでも足りないと言うように唇から頬から動物の毛繕いのように舐めつくされて。
娘はこれ以上の幸せはないという顔で、微笑む。

「………っ、……っ」

……団長の顔が引き攣って、それを抑えるように自分の犬歯で自分の唇をギチリと千切りそうなほど噛む。

それを見て、この自分よりもまだ随分若い男は、悠長に高い所から娘を責めて愉しんでいるわけではないとようやく理解する。

自分でもどうしていいかわからない滾りが身体の中を血液と一緒に暴れ回っている。
血肉の欲求ではない。
もっと不定型な、それこそ自分が口にするなんて笑ってしまう……愛とか恋情とか、そういう類の。
目の前の致死毒娘が可愛くて可愛くて、愛しくて愛しくてたまらない。

そんな感情に突き動かされて、なかなかに参っているようだ。


ふとした間が淋しくなったのか、自分の股間に自分で手をやる娘のいじらしさになんだかグッと来て、また息を呑む。

「……ねえ、阿伏兎」
「はん……?!」

そんな瞬間に名前を呼ばれたものだから、間抜けな声が出てしまった。

「阿伏兎もほしい?」

なんだったか。
こういう。
今自分が向けられている感情は……そうだ。

「あげないけどね」

自分だけの飛び切りの玩具を見せびらかす子供の、優越感だ。


それに付き合ってやるのもまた先輩の役目だなんて自分に言い聞かせて。
結局俺はただこの若い二人の、倒錯した性欲の交わりを齧っていたいだけかもしれないが、それでも笑ってみせた。


「……ねえ、
「…なに……っん…!」

娘の身体を背中から抱き起し、くんっと反らせて覚束ないままに床に足を付かせて、耳元でささやいている。

「今、お前の目の前にいる男は…何をしてると思う?」と。


娘の顔が途端にまた羞恥の色で塗りつぶされ、その視線は俺をハッと見ながらも泳ぎ続けている。


「言ってみてよ。わかるだろ」
「……っで、でも……え…わ、私……んっ!」

戸惑う娘が、突然びくっと震えて直立不動になる。

後ろから、臀部に団長の熱を宛がわれているせいだと半歩遅れで気付く。



もう一度しっかり呼ばれた名前が、何かの呪文になったように。

「あ…阿伏兎さんは……わ、私と…神威、のことっ……見て……ああっ……!」
「見て…なに?」
「おしりっ…おしりに熱いの……当たる……ぅ…!」
「離していいの?これ」
「だ、だめっ!え、えと……私たちのこと、見て……アソコ、大きくしてるっ……!」

その言葉を聞いてどういう態度を取るべきか迷ったが、まあ。
上を立てることもまた部下の仕事の一つだなぁなんて思いながら。

「あ……あ、しごいてるっ……しごいてる、のッ、私と神威のこと見て……大きくして、自分の手で擦ってる……!」
「どう思う?」
「どう……って…?」
「……阿伏兎のも、欲しい?」
「っ……!!」

少女はぶんぶんと、横に。
どうしてそんなことをとでも言いたげに、頭を振る。

「か、神威しかッ、あ゛ッ……あ゛ーーーッッ!!」

ずるずると。
熱と猛りを持って、少女の身体を熱い杭が貫く。

そしてそのまま、膝の裏に手を回して身体をひょいと宙に浮かせてしまう。

「いっ……い、あ…だめ、わ、私重いからっ…おろしてっ……降ろしてぇっ……!」
「ダメ。ああ見えてあいつ諦め悪いんだ…ちゃんと見せてやらないと、お前のこと狙うかもしれないよ?」

その言葉はもちろん、そんなことが為されたら、という俺に対しての牽制も兼ねている。

「っ……あ、阿伏兎さん……!」

太腿をがっちり二の腕で挟まれて、なにもかもすべて開き切った少女が。

「みっ、えて…ますか……?!わっ、あぁぁあッ、た…っし、と、か、神威っ…がぁ……っ!」

もう十分だ。
もともと自分はこれに対して闘争心を燃やしていたわけではない。
けれどもそれで満足しないのは……俺ではなく眼前の二人だ。

「ふっ、ふつーの人がぶち込んだら毒が回っちゃう最ッ低の廃品回収オマンコ…ッ…神威が有効活用、ん、してっ、く、れてッ、るんですッ……!!」

そう口にすれば、二人が繋がり合った場所からさらに粘液がこぼれ出す。
屹立しきった肉茎と、まるでそれを包み殺そうとするかのように蠢く膣穴の隙間から…白く濁った愛液が。

「いッ、いい、今だってぇえ!こ、このまま私っ…湯船にしばらく浸かってたら…あ、阿伏兎さんでも、死んじゃうかもしれない……ッ!」

全身に回りきって、纏うことになった致死毒を恥じているのではない。
憂いでいるのでもない。
自分と肉の愉悦に浸ることができるのは、今ここにいる愛しい男だけなのだと改めて自分の口から発して……興奮を高めている。

「……っは…うん、アハハ……今もね、すごい痺れてるよ」
「あゥんっ……ごめんなさぁッ…い、私のオマンコ……神威が好きでっ、す、吸い付いちゃうのっ……は、あ、あぁあ……ッ!」
「ほらこうやってズルーって……」
「んっふぁあぁあ?!ぬ、抜けっ、抜けるっ……おチンポずるずる抜けるっ……!」
「それでほら、また入れると……ッ……」
「あ゛ッ!あッ、ああはッ、入ってきたっ……なかっ…擦って入ってくる……ぅ!!」

ぶぢゅりぶぢゅりと、互いの体液の気泡が潰れて交じり合い、また性器に纏わりついて粘る音。

「大好き、神威っ……は、あ、あぐっ、大好きっ、おっ、あ、はあ゛あ゛ああぁああーッ!!」

「おじょーちゃん、団長」

ふと…口をついて出た。

「幸せか?」

団長が一瞬、刺すような視線でこちらを射抜いた。
それから作り笑いもせずに、半開きになっている毒娘の唇に舌を差し込む。
すぐに絡まり合う口腔と舌同士を互いに味わいながら、娘の方がこちらを見た。

「幸せですっ……ふン、んぶっ……は、ど、どうせ長生きできないし…んっぢゅ、ぢゅるッ……ふ、他に行くところもないし……わたし、ああ……!」
「……
「幸せなのっ……今、すごく幸せなんですっ……!こぉんなぁ……ああ、毎日っ、毎日っ、あ、愛して、くれて、私にッ……んはぁッ……!!」

その瞳は何よりも純な色を湛えているような気さえ、してくる。

「お、おっおおっ……!おぉ、お、女のぉっ!女のよろこびっ…教えてくれるの……っ!!」
「……あ……ッ……」
「子供は産めないけどっ、使い捨てだけどっ、神威と出会えてぇッ……あッひ、ひっぎ……あ、あ、だ、だめ、あ、あいっ、あ、あぐっ……!!」
「…もう、お喋りはいいから………ほらッ!」

半ば怒鳴りつけるみたいに言って。

「はひっ、ひッ、あぁ、あああ、あ、うんっ、神威っ…神威、私いっちゃう…っ……!」



二人の身体がそのまま痙攣するのを、ぼうっと見つめていた。
弛緩して崩れ落ちる身体を抱えて、その耳元に。
いわゆる口パク、声にならない声で。


俺も幸せだよ、と、同胞の友が囁くのを。



ああ…どうにかならないもんかねえ、なんて思いながら、聴く。