……朝食を取ったあとは、一度だけ部屋に戻った。
そのままベッドに寝ころぶと、もう部屋から出たくなくなってしまうと思って、二人して変にかしこまりながら微妙な空白時間をやり過ごした。
それから、ごく親しい人に渡すためのおみやげを見に行った。
おみやげ屋さんだけでなく、東南を意識した輸入ものの洋服やアクセサリーを扱っているお店なんかもいくつも並んでいる通りをぶらぶら歩く。
「ほええ、カッコイイけどこれ着てかぶき町は歩けないね…」
「たりめーだよ…どこのフィリピンパブの人?って思われるだろ」
そうは言っても、今は私も銀さんも着物じゃないけれど。
銀さんはどこから引っ張りだしたのか、ぐるぐる渦巻きにじゃすたうぇい柄のシャツに半ズボンだし、
私も動きやすいように家にある数少ない洋服の中からTシャツと短パンを持ってきていた。
「……ねえ」
「ん?」
お店の並びの、自動販売機の陰にすすっと入り込んで。
「…銀さん、ちんこ立ってる…?」
「あん…?!」
銀さんが、あわてて自分の下腹あたりを見る。
その…なんというか。
さっきから二人で手をつないで歩いているのだけれど、視線に入る下半身が、なんだか徐々に大きくなっているような気がした…のは、気のせいではなかったようだ。
「ぷくく」
「ぷくくじゃねー!おまこれ、いつから気づいてた?え、俺勃起丸晒し?」
「え…わかんなかなったの?自分で…その、たってるって」
「あ、いや、そん、ああ、いやね、立ってるのは……でもさァ普段これくらい隠れるから」
「そっか。いつもは上に羽織があるもんね……」
そう言って、私は無言で銀さんのズボンごしの股間を触る。
「ここで大きくしちゃったら、もう歩けないね」
「……」
「えへ」
私がさらに、なでなでと子供の頭を撫でるような手つきでズボンをさするのを銀さんは止めない。
そうしているうちに「なんか大きい?」状態から「なぜ股間にテント張ってるんだこの人」状態になって、これでは本当に人通りのあるところを歩けない。
「……銀さん?」
そんな状態になっているのに、銀さんはいつものように私をとがめたりしない。
…それどころか、私の顔をジッと見つめてにやりと笑った。
「ぎ…んん?!」
疑問を口にしようとしたところで、銀さんの手がグイッと、私の頭を胸板に押しつける。
ぎゅう、と、物陰で私たちは密着する。
はたから見たらもう、バカップルどころじゃない。
「ほいほい、しゅっぱーつ」
「え…ええっ?!」
銀さんが私を抱きかかえたまま、ホテルの方向に歩き出す。
私は押されながら後ろ歩きする形で、銀さんの前側をちょうどぴったり隠すみたいになりながら、たどたどしく歩かされる。
「ま、まだおみやげ買ってない…」
「いーってそんなん。お前もマジメに選んでなかったじゃん、いーのいーの、いちいち関係ねえやつに幸せわけてやる必要ねえ」
どかすか歩いて、ホテルのエレベーターに乗り込んだところで、銀さんが私の身体をすっと離した。
…その瞬間に、なんでかじわっと涙が溢れた。
「…あれ……」
「……おい」
「あれ…あれ」
「お、おいぃぃ?!ちょ、どーした?!どっか痛いのか?」
なぜだかわからないのに、後から後から涙が溢れては頬を伝って流れてくる。
自分でもわからない涙を、銀さんはもっとあわてた様子で捉える。
「ちょ、待ちなって…泣くにしたっておま…へ、部屋についてからにしろよ!」
そう言って、エレベーターの中には誰もいないのに、私を隠すみたいに抱きしめる。
「…う、く、うぅ……」
「……あ、あーー、ほ、ホラ、ドア開くから…」
部屋に戻って、ベッドの上で銀さんに背中から抱きしめられながら、私は自分自身の涙の理由を探っていた。
「あーと…その、疲れたか?」
「ち、がう……」
「銀サンなんかした?」
「してない……」
なんで涙が溢れたのか、せっかくのこのひとときにこんな悲しい気分になっているのか。
それをぐるぐる考えて…ひとつたどり着くとすれば。
「ぎ、銀さん私のじゃないんだもん……!」
「は?」
「だ、だって、私は銀さんのだよ、殺伐としたかぶき町で心から信頼できるのって銀さんくらいしかいないもん、銀さんが好きにできるもん!」
「チャン?」
「でも違うじゃん、銀さんはそうじゃないじゃん、この旅行だってなんかいいわけいっぱいして来たじゃんっ!」
と二人で温泉旅行っすぅ、とは、銀さんは言わなかった。
仕事で世話になった人のアレがコレで…とか、知り合いに言い訳してようやくここに来たのだ。
それを言われた方が完全に信用しているかは別として、体面上銀さんはそういうことを人に言って回らなければ、
私と二人の温泉旅行だって楽しめないのだ。
「いや、それは」
「なんで二人ですぱりぞーと行ってがんがんせっくすしまくってきます!って言わないのぉ!」
「言えるわけねーだろそれは!」
ぱこん、と銀さんが私の頭をはたく。
「おまわかる?俺があんまり無責任なこと言ってまわると、俺じゃなくてお前の評判も落ちんだよ?ロクに稼ぎもねーオッサンと無責任に恥ずかしいことしてるやつだってヒソヒソ話されちゃうんだよ?!」
「いいもん」
「よくねえっ」
「いいもん、いいもん、銀さんなんて私を傷物にしまくって周りに白い目で見られまくって、責任とってお嫁にもらうしかなくなればいいんだよもう!」
「ああっ……もォォオオ!!」
ばふっと、銀さんがベッドに仰向けに倒れ込む。
「ぷすん……」
「ぷすんておま…」
銀さんとは反対に、私はうつ伏せに、まるで土下座でもするようにベッドに突っ伏した。
「……」
「…………」
「…ああ……並みいる銀さん狙いの女たちに、この旅行の様子を撮って送りつけたいっ!」
「……」
銀さんがむくりと起きあがった。
「いいの?していいの?デジカメで撮りまくって送りつけちゃってもいいの?!」
「いいわけねーだろ」
パン。頭の後ろをたたかれた。
「じゃあ泣き止まないもん!バカ!!」
「……あー」
銀さんがいい加減私のわがままで出来た泣き顔にも辟易していることが分かって、半ば意地で流し続けていた涙も限界だと悟る。
それでも何か落としどころを見つけないと、気持ちがすんなり収まってくれそうにない。
と。
そこで、昨日銀さんが私をさんざんいたぶった「羽根」が、枕の下にはさまっているのを見つけた。
「…………」
それを無言でささっとたぐりよせ、じとりと銀さんをにらむ。
「…銀しゃん」
「しゃんん?」
「じゃ、じゃあここでね、銀さんもここでしか出来ないような、かぶき町でやっちゃうともう恥ずかしくて外歩けないようなこと、してっ」
私のそんなお願いに、銀さんは顔をしかめた。
「もう十分してんじゃん」
「し、してない!あれは私に恥ずかしいことさせてるだけ!」
「……」
なに言ってんのこいつ、と呆れ気味な銀さんの上に、身体を乗っける。
「銀さん昨日……これ、私も使っていいって言った」
「ん…あ、お前それ……」
すぐに起きあがって、私の手から羽根を奪おうとした手をかわす。
「……わ、私、銀さんが身体もじもじさせちゃうとこ、見たい…」
「お前、ゲームの時といい最近セクハラジジーになってきてねーか」
「銀さんのがうつったの」
しばしそのまま、ベッドの上で見つめあう。
……少しして、銀さんはばふっとまた、仰向けに倒れた。
今度は足をぶんと投げ出して、顔だけ腕で覆って。
(…あ、つまり、つまりつまり……)
いいよもう好きにしろよ、ということだと理解して、私は一気に高揚した。
くすっと漏れそうな笑いを抑えて、銀さんのズボンに手をかける。
「ていうか…いきなり下かよ」
「い…いいの、本能のおもむくままに……」
かーっと顔が火照るのを感じながら、銀さんのおしりをくっと浮かせて、ズボンをなんとか下ろす。
そうして出てきた肉茎がまだ硬さを保っていたので、なんだかうれしくなりつつ銀さんの顔を見たけれど、
その表情は腕でしっかり隠されていて、伺うことが出来ない。
「…………」
そーっと、その顔が私の動きも見ていない、と確認して。
羽根の先っぽで、するうっと肉茎の裏筋をなで上げた。
「おっ……?!」
「あ、すごい、びくって…」
銀さんの根本を握って、また。
何かの褒美としてたくさん撫でるみたいに、上から下に、下から上に、その温かくて突っ張った表面を、何度もなぞる。
「ちょっ…お……」
銀さんの内腿が、痙攣するみたいにびくびくっと震えた。
「…はあ……ね、気持ちいい、これ…?」
「……」
返事は返ってこない。
また腕で顔を隠して知らんぷりだ。
「ねえ、よくないの?」
「……っ」
「…じゃあこれは?」
「うあっ?!」
つぷん、と、羽根の先を鈴口に差し込んだ。
とたんに銀さんが飛び跳ねて、私の顔と自分の股間を交互に見つめる。
「あ…痛かった?ごめんね」
「痛、って…おい……」
なでなで。
慌てて鈴口から羽根を離して、亀頭をくるくる撫で回す。
まだ快楽を示す露は漏れてきていない。
羽根のさらさらした感触は、このつるりとした部分にとってはどんな感覚なのだろう。
「…えへへ」
「楽しいか……?」
「うんっ」
「ノータイムで答えんなっ…っつ、あ」
また、隙を見て先端を鈴口に移動させる。
いきなり突き込んだのが痛かったんだたぶん、とポジティブシンキングして、今度はゆっくり、刺さらないように柔らかく差し込む。
「今朝は私にちゅーした穴…ふふ」
「や、ちょっと、あの?あんまり…」
根本をぎゅっと握り直すと、押し出されるように先走りの滲液が溢れた。
同時にあの、何とも言えない、私の性欲をかき立てる匂いも。
「いっぱいほじって出すからね……」
羽根の先でぐちゅぐちゅと、掃くように滲液をすくう。
すくってもすくってもあふれるその液体を、飽きずに何度もほじり出す。
…そのたびに銀さんの内腿がびくびく震えて、嗜虐心とはまた別のものでぞくぞくしてしまう。
「おま、そこ…あ、あんまほじるとアレ、アレだよ?銀サン違う世界の扉開いちゃうって」
「いいよ…べつに、そしたら私がめんどーみるもん」
「いやそーじゃなくて……」
まだまだいける、と、私の中の悪魔がささやく。
今日はまだ、これより先に行っても大丈夫。
「銀さん…本当はむずむずするんでしょ?」
そう言って、羽根ではなくて、握った手の方を上下にさする。
「てめ…っ」
「ほんとは、私の…お、オマンコに、もう入れたくて、でもダメだから、なんとかしようとしてるんでしょ…?」
「おい…!」
銀さんの片腕が私の手をはたきにきたのを、もう片方の手ではたき返して撃退する。
そして、ぷっくり膨れた先っぽと、包皮が少しだぶつく境目の部分を、肉茎がちょっとつぶれるくらい強く握った。
「あ、うお、あっ…!」
「ほら、もう出ちゃうよ……!出ちゃうよね?私におねだりしないと、しごくのやめないよっ」
滲液が私の手元まで垂れてきて、ちょうど滑走剤みたいになっている。
にちゅにちゅとねばっこい音をさせながら、私はさらに摩擦を続けて……。
気づくとなんでか、宙に浮いていた。
「あ……え、あ?!」
「……」
「あの…え、えと」
ベッドの上。
二本足で立つとスプリングがきしんで、ぎしぎしと音を立てて不安定なそこに。
銀さんは仁王立ちになり、私のわきの下にしっかりと両腕を差し込んで……。
20センチほど空中に浮いた私と目が開うと、にやにや笑った。
「気ぃ済んだか」
「え…えと……」
私が視線を逸らしたのは、敗北宣言と同じ。
銀さんは荷物でもかつぐみたいに私を肩に寄せ、自分の背中も壁につける。
ギシッ、と、一際大きくベッドが軋んで、慌てて私は銀さんに強くしがみつく。
「はいはい、脱ぎ脱ぎしましょーね」
「え…こ、このまま…?下ろしてくれないの……?!」
どうやらそうらしい。
私のズボンはボタンとファスナーで着脱するものだから、手間取る…と思っていたのに。
銀さんは器用にそれを片手ではずし、下から引っ張って私の脚から引き抜こうとする。
「ちょ、引っかかる…お前ふともも……」
「いやー!太いのわかってるから、い、いい、下ろしてよっ、自分で脱ぐから…!」
「いーって…穴ぼこ出りゃあ用足りるし」
「穴ぼこっ?!」
その物言いに、だんだん普段の銀さんと私になっている…と感づくが、それがどうということもない。
この人に遊ばれるのが好きなんだから。
…銀さんが私を「おれのもの」と思ってくれていればいい。
私が銀さんを「わたしのもの」だと思うのは、やや望みが高すぎるのだ。
「ほらぐちゅぐちゅ言ってら…てめえは俺をいじるだけでびっしょびしょだもんなぁ」
「ん…や、あぁあ…え、このまま、い、いれんの?!」
ベッドの上で立ったまま。
こんな不安定な状態のまま…なんていう戸惑いも、散り散りになる。
銀さんの肉茎の先が私をつつき、言われたその通り、ぐちゃぐちゃになっている割れ目を探り当てる。
「ま、まってぇ…こ、んな、ぎしぎし言うのやだ、座って…じゃなくて、横、寝て…ん、あ、あふぅぁあぁあっ!!」
抵抗もむなしい。銀さんはもう口だけ、逆らえない私を十分解っていて…そのまま入り込んできた。
「あぐっ…う、あ、押されるっ…ぎ、銀さん、奥、に、刺さっちゃう……!」
「刺してんのっ……は…」
「な、なんでさすの、なんでひどくするの……っ、あ、やぁぁっ!」
銀さんは、私のおしりをしっかり支え、その腕で容赦なく全身を揺すってくる。
「ひっは、は、あ、あんっ、や、あ、あ…奥、おく、ぎゅうってなるぅぅ……!だめえ、だめだめええっ……!」
涙が溢れる。
ついさっき考えたこと。
人間に平等に価値があるなんて嘘だし、そんな考えそもそも私は大嫌いだ。
私と銀さんを比べれば、銀さんの方が価値もなにもかも大きいに決まってる。
それをこんな、それこそ若いというだけ、家柄も、もはや純潔も潔白さもないくだらない小娘が独占しようなんて思い上がりなのだ。
「…う、う、うわーーっ!!」
「てめ、また泣くかっ…おらッ」
「んはあぁっ?!あ、あッ、あーーっ!い、いあっ、お、おく、ぎゅーってしないでぇ……!やだ、やだやだっ……!」
「ほらいい子いい子…ああ、ったく……なぁ」
まるで本当に、母親がぐずる赤ん坊をあやすように私の体を小さく揺すって、銀さんはそのまま私の首筋に噛みついた。
「んあっ…あ、い、きぃ…!」
「んー……!」
噛まれて、それからちゅうっと強く吸われる。
「ぎ、銀さん、あと、あとついちゃうよぉ……!」
「は…っ、つけてんの!」
「んはひっ、ど、どーして急に、そ、あぁ、そんな、う、うれしいこと、すんのっ……!」
脱がないと見えないところになら、時たまつけてくれるけど。
服を着ていて露わになるところにキスマークなんて、銀さんはつけてくれない。
「てめーもつけろ、は、ほら、噛めよっ」
「ん、んぐっ……ん、んぶっ…ぢゅ、ぢゅるっ…ん、んーー……っ!」
口許のすぐそばにある、銀さんの肩を押しつけられた気がして、私はもうほとんど言うことを聞いてくれない頭でそれでも考えて、思い切り首筋に吸いついた。
「んっ、んっぢゅ、ぢゅーーっ……はぁ、あ、ン…ちゅ、こ、ここも……!」
首筋に大きな鬱血あとが残ったのを確認して、肩にも吸いつく。
そうすると銀さんも、私のほとんど背中の方のうなじに歯をたてる。
お互い吸って吸われてで変な感じになったところで、銀さんがふと私の額にごつん、と、自分の額をぶつけてきた。
「おめーはすぐそーやって拗ねて…足りないか?俺そんなに放任主義?」
「ち、ちが…」
「どーーせお前、「わたしは銀しゃんを独占する権利なんかないんだぁ〜」とか思ってんだろ」
「……ぁ、う」
「バッカだねェほんっっとにおまえ……」
そう言って額を離すと、銀さんはぶんぶんかぶりを振った。
「んあっ…あ、や、ひっ…や、な、中、中でまたぴゅーってきてるっ…あ、朝といっしょおぉ……!」
「コレが証拠にならねーか…?!」
「しょっ、しょーこって、なにがぁ…あ、あくぅ、ん、中、あ、どんどん、下、たれちゃう、お布団、汚れるぅ……!」
「イライラするくれー禁欲して、こーやって笑えるくらい余裕がねーのは、どぉーでもいいことなんですかねえ?……っ、あ」
私が何か言おうとすると、それをお預け、とでも言うようにぐりっと腰をひねられた。
「はぁうっ…う、んはぁぁあぁーーっ!!」
「てめえが、ぁ、あー…!もぉ!ほんっとに…は、てめえ、もう、銀サンずるいことばっかり考えて、のこと……!」
「な、なんっ、はぁ、あ、あっ、あっ、あ、あ、ああ、ああぁ……!」
「だいたいてめーいっつもヒニンお薬飲んでるもんつってな、お前のことだからいい加減だろ!毎日時間バラバラに飲んでたりすんじゃねーの?!」
「あ、あ゛ッッ…だ、だっ、な、そんなん…!」
「そんなんもー100パーじゃねーよっ、でもな、銀さんもぜってー中出しやめてやんねー!」
「んはひっ、あ、お、おっきくなってる、あ、これ、ぎ、銀さんっ……?!」
いつもの…と思うより早く、どくん、と膣壁がくわえこんだ肉茎が動く感触。
「なかっ…で、出てる…ん、は、ひ、銀さん、イッ、た……?!」
体勢のせいなのか、放たれた精はすぐにベッドシーツに落ちる。
隙間から。私と銀さんの隙間。
「はひっ、や、やだ、た、垂れてるぅ……よ、あ、んぁ、あ、あぁぁっ?!」
そんな、私と銀さんの体液が混ざりあってもうわけがわからない肉の中を、銀さんはなお萎えもしない肉茎でかき回す。
「んひ、ひッ、あ、や、あ、ね、ねちゃって、へ、へん、な、かんじっ、あはぁあーーっ!」
粘着質で、鼻をつく匂いだけで濃いとわかる精液が、私の中で泡立っている。
「何発も出しゃあいつか命中すんだろっ」
「め、めいちゅーってな、に、にんしん…?!の、こと……?!」
びくっと、反射的に体がこわばってしまった。
銀さんはそれをほぐすように、私のおしりをグニグニと揉む。
「だ…だって、そ…ん、なの、は、あぁぁああっ?!」
「ダメだよ?ダメに決まってますよ?後先考えずにンなことしたらなァ、絶対泣くっての、絶対みんな不幸になんの!」
「そ、そう、だ、よ、だから…わたし……っ」
「でも……な、うら……ほらっ!」
「あぐぅ…?!お、奥、だめ、今、奥、や、やわっこくなってるから、き、気持ちよくなっちゃうからぁ…!」
「なれよ」
「んはぁひっ、あ、い、く、のっ…い、いっちゃう……あ、あぁ……!!」
私がぷるぷる震えだしたのを見て、銀さんがさらに私の体を強く揺する。
ずりずりと、何度も肉茎が私の内側を余すことなく擦っていく。
「だめ、いく、いっっく、く、あ、あきっ、ひ、あぁぁあ、いっん、い、くぅ、う、うぅぅううぅううっっ!!」
おなかの底から、痙攣と同時に浮遊感が這いあがってきて…頭の中に、気持ちのいい何かがまき散らされる。
「はひっ、ひ…あ、ああ……」
「は、でもな、お前も俺もぜってー不幸になるってわかっててもな、ずりぃことばっか考えんの、そればっか考えてんの!」
「んひっ…や、やめ、あ、ま、まだガクガクしてるからぁあっ…や、だ、だめっ……!」
絶頂の余韻をひきずる私を、銀さんは解放してくれない。
まだおなかの底を突き上げるほどに熱い肉茎で、私のことをとことんいじめ倒す。
「…そんだけ、あー、惚れ込んでんのに、あーー、もう、これ以上許しちまったら……あ、やべ…は、出る……」
「ま、また…あ、またでる、の…?!」
「あ…?イヤか?ガッついてる上にガキな考えの男はイヤですか?あーそうですか」
「ち、ちちちがう!そうじゃないっ、そーじゃないよっ、だ、出して、だ、だから、出していいよっ……!」
私のすぐ耳元でささやかれる、銀さんの声。
それを聞いていると、もう一度快楽の蜜が滲み出てくる。
「お、あ…またてめ、締めんなっ……!」
「ぎゅってするから、ぎゅってぇ!全部、全部ぅ……!」
おしりに力をこめた瞬間に。
また、今度は一際大きく……私の中で、銀さんが弾けた。
ふやけるほど温泉に浸かり、夕食を済ませて…最後の、いや、たった二日なんだけど…の夜。
「……ん…」
銀さんよりも早くベッドに入って、そのまま無言で、銀さんがくつろぐソファに背を向けていると。
「…………」
「…ん」
銀さんがのそのそとベッドに入ってきて、私を後ろから抱きしめようとした。
ので、それから逃げるように丸くなって、ベッドの端っこに移動する。
「…あの」
「………ん」
「ちゃん…えと、呆れてる?」
「……なんで」
「だからその…ぎ、銀さんが言ったことホンキで…いや、ホンキなんだけど、真に受けてさ、ほらアレだよ、あの、もうこんな男とはね……その」
なにを言おうとしているのかわかったので、すかさず起きあがって枕を投げ…ようとしたら、その手ごとつかまれた。
そのまま思い切り抱きしめられて、布団の中に二人でもつれ込む。
「……えへ」
「んだテメ…笑ってんじゃん!」
「えへへへへへ」
「あーーーあ!もォォ!!」
「楽しかったねっ、おんせんりょこー!」
「まあ…」
「やっぱり明日はおみやげ買おうよ。ここの名物。食べられるものね、誰にでもあげられるのを、いっぱい買って、いろんな人に、いっぱい配るっ」
「だああ…!わかってねええ……!」
人間、満たされすぎると不安になったりするものだと誰かに聞いた。
贅沢病だ。
私は…贅沢もので、幸せものなのだ。
**************
遅くなってごめんなさい、ようやく完結させられました。銀さんと温泉旅行!
夏のうちにアップできなかったら本当にどうしようとかいうことも結構本気で考えたほどにわりと自分の状況がせっぱつまっていたせいか、
内容がたぶん、今まで書いた銀さん夢の中で一番げろげろに甘くなったんじゃないでしょうか。
それを好んでもらえるかは置いておいて…。
ここまでお付き合いくださってありがとうございましたー!!