土用の丑の日。
冬の脂ののったうなぎもいいけれど、夏の夜に涼みつつ食べる蒲焼きもまたよし。

……と言っても私はうなぎを上手にさばけないし、蒲焼きにもできないので、
「大江戸マート」で銘店(らしい)の鰻重の予約をしておいた。
ずっしり重たい袋を受け取って、自分にしてはそこそこはりこんだ方の金額を支払う。

すると、お釣りと一緒に福引きチケットも貰えた。

「一位はスパリゾート二泊三日ペアチケット……あはは、いってみたーい、すぱりぞーと」

半ば笑いながら、スーパーの出入り口でチケットを渡して、がらがらとくじを回す。

ころん、と、金色の玉がひとつ。

そうそう、どうせそんなうまくいくわけないんだから…………え?


「出ましたァッ!!」

からんからん、と手にしたベルを鳴らしながら、法被を着たおじさんが叫ぶ。

「出ました!一等!最新スパリゾート二泊三日お二人様チケットォオ!!このお嬢さんが当てましたよーー!!」

おおっ、と声が上がる。
通りがかりの人までわざわざ足を止めて、その場で拍手をくれた。

「あ……あて、ちゃった」





ターミナルからバスに揺られて、江戸には及ばないけれどそこそこ土地開発も進んだところまで。
自然と観光の調和を目指しているのです、とたどり着いた温泉旅館…いや、その呼称は正しくないか。スパリゾート…のおねーさんは言っていた。

南の国を思わせるつくりのトロピカルパッションな内装に、そこかしこから野生味溢れるお香の匂いがする。
不慣れな銀さんはしばしば鼻をむずむずさせていたけれど、そんなこう、自分たちにいまいち合わない!
という不満は、開放的な露天風呂を目にした瞬間に吹き飛んだ。

……さすがに貸し切りではない。ほかのお客さんもちらほらいるし、そもそも男女でお風呂は別々。
でもまあ、そんなことから離れてゆっくり湯冶に身を浸すもよし。


「あーあああ、きもちーです……」

そして私と銀さんは平行に並んだマッサージ台でうつ伏せになって、腰から肩から二の腕から、按摩さんにモミモミされている。

ちなみに男の按摩さんもいて、銀さんはいつも以上に死んだような目に半開きの口で、黙ってガチガチマッチョの腕に揉まれている。

「……あちらの、彼氏さんですよね?」
「え?!」

私を担当してくれているお姉さんが、肩をグッと揉みながら私にささやいた。

「いいなぁ、彼氏と二人で温泉旅行」
「ふ、二人って言っても…え、えへへ、いっそ混浴だったら楽しかったかも、あ、あっはは!」

照れ隠しにそう言った私に、お姉さんが笑いかける。

「宿泊のお部屋は見ましたか?」
「いえ、荷物だけフロントの人に置いてもらってます……」
「そっか。ここのお部屋、全室内風呂つきなんですよ。基本は温泉入りの普通のお風呂だけど…203と、603だけ内風呂露天になってたはず」
「ん…603……?」

そこ、私たちの部屋だ。

「まぁ露天風呂って言っても、がんばって引っ張ってる感じで広さはふつうのお風呂くらいですけどねー。
でもシャワーもついてるし、ある意味使い勝手いいかも。手前味噌ですけど、すっごく気合い入ってるんですよ、この施設。
社長が元浪人なんですけど、町興しにすごく熱心で。
ある時実家のリフォーム工事してたら石油と温泉が同時に沸き上がってきて大金が転がり込んできたものだから浪人なんてぽいぽーいって辞めてね、天人じゃなくて地球人が安心できる施設をいっぱい作ろうって……」

お姉さんの話はここちよい呪文となって、私の耳朶を揺らしては眠気をたたき込んでくる。
うとうとしながら私は、自分の幸せをかみしめた。

……そんなものだから、いつの間にか銀さんがこっちをジト目で睨んでいることなんてまったく気がつかなかったし、そもそもわからなかった。



「ほ、ほんとにすごい!これすぐ外ちっさい露天風呂になってるよ!!ねえ!」

部屋に移動して、マッサージのお姉さんの話通りの内装に感動する私とは反対に、銀さんはダブルサイズのベッドの上でむっつりしていた。
いつもの着物に黒いズボンではなく、ホテルに用意されていたパジャマみたいな短パンとシャツだから、
その短い裾から伸びた素足がいつもと違って、なんだか見ていてむず痒い。

「むかつく」
「え、なにが?」

そう言ってベッドに飛び乗った私を、待っていたと言わんばかりに銀さんが押さえ込む。

「わ、う、く、くるしっ、重たいっ……!」
「てめーさっきはよう!知らねー奴の前であんあん変な声上げやがって」
「はぁ?変な声?あげてないよそんなの」
「あげてたろーが!おら、ここ!こうやってさぁ」
「うわっ、ちょ、あぁあ?!や、やんっ…お、押さないでよっ……んあ、ちょ、ちょっと……!」

押さえ込んだ私の肩胛骨の裏側を、銀さんの大きな手がぐりぐりと押す。

「ホラその声!」
「さ、さっきのマッサージのときの?だって、あれは…しょうがないじゃん……!」
「しょうがなくねー!俺ァ見たんだよ、俺の背中揉んでた筋肉ダルマがなァ、てめーの方チラチラ見てそわそわしてんのッ!」
「わぶぅっ…」

ぽいっと、ベッドのはしっこに投げられる。

「…………」

銀さんは機嫌が悪そうにしているけれど、別に危機感を抱かない。
……なんというか、私の中の「あ、怒らせちゃった」というレーダーに反応しない。
怒っているというよりも、むしろ。

「…銀さん、浮かれてるんでしょ」

ぽつっと言うと、露骨に視線を逸らされた。
図星だ。
私と初めての二人旅行、誰の目もはばかることなく存分にだらけきっていい環境というものに、目の前の男は浮き足立っている。

「あっははは、やだ銀さん可愛いなぁ」

言いながら、銀さんの足下にすり寄る。
微妙にすね毛がちらちら見えなくもない足の上に頭を乗せると、銀さんはがりがり頭を掻いた。

「私も浮かれてるよ、そもそもこんな贅沢自体身の丈に合わないカンジするし」
「あー……なんかさぁ……」

なお照れているのか、私の頭に手をやってぐりぐりしてくる。
と。

「ん?」
「どしたの」
「あれ、ここ引き出しなのか」

ベッドの下の部分は、ただの板に見えて収納スペースらしい。
偶然腕を引っかけて引き出しを開けてしまった銀さんは、驚きながらもその中をのぞき込む。

「あ…?なんでこんなん入ってんの」
「こんなん?」
「これ」

そう言って、銀さんは私の目の前に、ぷらんと黒い布を突きつける。
一瞬、ドキッとしてしまった。
耳にゴムをかけるタイプの、シンプルなアイマスクだった。

「しかも二つあんだけど」
「え?そ、それは…ふつーに、あの、別にいやらしいカンジじゃなくて、ふつうに寝るときのためじゃないの……?」

そう言うと、銀さんはこっくりうなずく。

「よし。とりあえずつけて寝ろ」
「今?」
「おう」
「…なんで?」
「いや、別にいやらしいカンジじゃなくて、ほら、昼寝昼寝。昼から風呂入って按摩されて、寝るにゃあ丁度イイだろうがよ」
「……」

わかった、と言って、銀さんの手からアイマスクを受け取って横になった。
……もちろん、銀さんの言い分を信頼したわけじゃない。
むしろあの口調はいやらしいことしか考えていないことが見え見えだったのだけれど。
それに乗ってあげるのも悪くないかなぁ、という気分だ。
気分だー、というか、せっかくのふたりっきり。
そういうことを期待しない方がちょっと変というか。
夜を待たずして、大好きな人が私にいやというほど触れてくれるというなら、わざとらしい罠にくらい平気でかかってやりたい。

「わ、本当に真っ暗…見えなくなるね」
「明かりも見えねー?」
「うん、真っ暗。これ電気消してるのと変わんないよ」

横になってマスクをつけると、視界は真っ暗に。

「…ふーん…」

興味なさげな銀さんのつぶやき。それは逆に、今のこの状況にワクワクしてます!という心を丸出しにしていた。

「……っ、う…」

ほんのわずかに、私の唇の端から吐息がこぼれ落ちてしまう。
その直後にかあっと恥ずかしくなったが、一度こぼれてしまうと、
自分の中のいやらしい気持ちをせきとめていた箍が飛んでしまったみたいで、ふう、ふう、なんて、私はわざとらしいくらいの熱い呼吸を続けてしまう。

「おい…」

そしてその呼吸は、こうして銀さんから咎める声がかかるのを待っていたのだ。

「お前、なーんでそんなハァハァしてんの?」
「だ…だって」
「いやあ信じられないわー。縄酔いって聞くけど目隠し酔いは聞いたことねーもん」

自分の中に、ぴこんっと選択肢が浮かんだ。まるでゲームの画面みたいに。

1、「そんなことないもんっ、これは銀さんのせいだもん!」と、目隠しを取っ払って飛び起きる
2、「だって…それは…」とあいまいに濁し、ベッドの上で身じろぎするにとどめる。

……うん、2だな。
頭の中でそんな逡巡を経てから、私はもじもじと身じろぎした。

それは正解の選択だったと、直後に知った。銀さんと私の「興奮」ゲージが上昇…ってゲーム脳か。私。

「んはっ?!ひあ、ひああああ?!」

「やーっぱこれ、安眠用じゃねーって」
「な、なに?!い、いまの、なに…?!」
「あ?アイマスクと一緒の引き出しに入ってた」
「だ、だからなにが…い、あぁッ?!ん、はぁっ、や、やっ!」

そう言って、するうぅっと、私のおへそから胸の間までを、下から何かが撫でる。
銀さんの指ではない。
かと言って、以前拒絶したようなおもちゃの類でもない。
なにやらとてつもなく柔らかい感触のものが、私の肌の上を滑っては変な気持ちを呼び起こす。

「ひぁっひ、や、やめ、えぇっ……!く、くすぐった、いのっ…!ん、は、や、やはっ、あはっ、ふぅぅンっ!」
「くすぐってーの嫌?足とかぴっくぴくしてんじゃん、股もこんなガバーッて開いてよぉ」
「わ、わざとじゃない、わざとじゃない、か、勝手に開くのっ…こ、こしょこしょしないで、や、あ、なぁあっ…!」
「んーこれなー、なんかハネ?羽ペンみたいなやつ、鳥の羽根一本だけ、「至福のひとときを」って書かれた袋に入ってた」

おいいい!!
淫らな気分から少し離れたところで、私はこのホテルの設備に綿密に携わっているとかいう元浪士社長に突っ込みを入れた。
あんた力のいれどころ間違ってます!そんなの絶対スケベな目的でしか使わないでしょうが!

「ふ、ぃ、く、くすぐったいのはダメ、わ、私弱いの、だ、あ、くひゅうぅうう!?」
「くひゅうってお前……」

ごろんっと裏返った私の膝の裏を、柔らかい羽根の先がくすぐる。

銀さんはすっかりそれに気をよくしたらしく、ご機嫌な声を上げつつ私の半ズボンを脱がしにかかる。

「ほらほら、気持ちよすぎてチビッたりしねえうちに脱ごうな」
「き、きもちい、んじゃなくてっ…く、くすぐった、ん……!」

がっしりした腕が私を押さえ込み、ウエストゴムのズボンは簡単に取り払われる。
露わになった下着もなんのためらいもなく指をかけて下ろして、包むものがなくなったお尻にすぐさま、
またくすぐったい刺激が降ってくる。

「や、やひっ、ひ、や、やぁあっ!やめ、てぇえっ!」
「んー?けつって案外くすぐったくなくね?お前演技してね?」
「え、んぎ、じゃないっ……やめて、こしょがさないでぇえ……!」

お尻のくぼみを、羽根の先でくるくると撫で回す。
それ自体のむずむずするような感触にも震えたし、
暴れさせた脚がふと銀さんの股間に触れたときに…そこ、がもう、勘違いではないとわかるほど硬くなっているのを知って、私はじわじわと追いつめられていく。

「……ん」
「ひ、いあ、だ、だめっ!」

抵抗むなしく、押さえつけられる。
私の足をかぱっと開いて、羽根を持つ銀さんの手は肉の合わせ目にたどり着く。

「んっ…く、ひ、ぃ……!」
「…お前、やっぱ演技じゃん。くすぐってーとか」

見えないけれど、絶対いやらしくてドキドキさせられる顔で私を見てるのだ、この男は。
私の秘処がねっとりと、這わせられた羽根に愛液を絡ませてしまう様子を、ねっちこい笑みで。

「だ、だって…んぅ?!ちょ、や、やめて、こちょこちょやめてぇ!」
「これどんな感じ?やっぱくすぐってえの?」

そう笑いながら、羽根の先がつーっと、私のねばつく割れ目を下から上に、上から下にと何度も往復する。
わずかにくちゃくちゃという音を立てながら、指ほどの強さも、舌ほどの熱さも持たない不思議な感触が秘処を支配する。

「や…ひ、あっ……あ、や、ん、あぅ……!」

かたかた震えながら、私は頭を振る。
このままでは「いつも通り」に銀さんのなすがままだ。
……せっかくこれだけ広くて、誰の目もはばかる必要がないところを訪れたのだから。
だから……ほんの少しは、冒険だってしたい。

「正直になれって、なあ」
「く、ふっ…な、なるぅ、から……ぎ、銀さんっ」
「あん?」

目隠しを自分で取り払って、私の後ろに回り込んでいる銀さんの方を振り向く。
……その顔はやっぱり、予想していた通り、私をなぶるときに見せるいやらしい、けれども動悸が早くなるもので……。
ごくっと固唾を飲んで、私は言葉を絞り出す。

「す、素直になって…い、いっぱいやらしいこといったら…あの、え、えっと……あとで、わ、私にも、それ、やらせて……?」
「それ?あ、これ?羽根?」

うなずく。

「なにお前、銀サンのこといじりてーって?」

また、うなずく。

「んー…の頑張り次第、な」

いつもなら「ああん?ダメに決まってんだろ!」で一蹴されそうなことを、今日はこれだけ譲歩してくれる。
…銀さんも、この旅行でいろいろ遊びたい気持ちが大きいのだ。
そう思うと、愛しさとうれしさが混じった明るい快楽もあふれてきて、私のいりぐちはさらに開いてトロトロになる。

「んじゃ言ってみ?これ、ココどうだ」
「はッ、ああ……ッ!」

言うなり、銀さんは羽根をつん、とクリトリスに軽く乗せるようにする。
そして私が震えながらも刺激に耐えると解ると、羽根の先端をくりくりとひねるようにして、包皮の剥けかけたその突起を虐める。

「ひぃあ、あっ、あ、ん、い、いいっ、いいです、ぅ……!」
「なにが」
「は、はね、クリトリスぅ、こしょこしょされんの、い、いい、きもちいっ……!」
「へー…あ、なんかぷくぷくしてきた」

興奮して、どんどん陰核にもその周りのひだにも血液が集まっていく。
そのさまを銀さんがじっくり見ているのだと思うと、それだけで私は虚空に舌を突きだしてしまう。

「や、ん、やめたらやだっ…!も、もっとくりくりして、わ、私のち、ちっさいちんこ…!もっとナデナデしてえぇ……っ!」
「……お前なぁ」

あきれるような口調を作ってはいるけれど、今の言葉で銀さんは興奮を煽られたのだ。
一瞬詰まったような喉と、ぶるんと震えた手のひらからそれがわかる。

「あ、ぎ、銀さん興奮したぁ…おっきくしてる、んでしょ…わ、私のアソコくちゅくちゅするの、好き…ッ、ん、はぁ、ぉ、あ、あぉぁああっ!」
「うるせーバカ、生意気言うんじゃねーよっ」
「あっひ、ひひゃ、ひゃあぁあッ、だ、だめぇ、羽根きもちい、くりくりされんのいい、いいっ、いいよ、銀さんっ……!」
「っ、あ、あーもーてめーはァ!」

与えられる快感でこみ上げる羞恥心を塗りたくって、正直な気持ちと矯声を上げ続ければ。

ぐるぐる視界が回った、と思ったら、ズボンを脱いだ銀さんが真上にいた。

「あ、き、くる、の……?」
「……っ、あー、限界だろ、もうお前……」

ぶくく、なんてちょっと吹きそうになる。
……確かに私だって、もう欲しいくらいに熱に炙られている。
だけど、それは銀さんだって一緒だ。
私の視界に入る銀さんの肉茎は、触れていないにしては驚くくらいに大きい。
入れたいのは、銀さんの意志。
……それなのに、ここで私に責任転嫁しようとしてる。
きっとそれは…銀さんのプライドとか、そーいうの。

そういう…私からしたらくだらないのになあ、なんていう意地っぱりがなんだか愛しくて、ふにゃりと笑ってしまう。

「うんっ、うんうん、私もうげんかいっ、羽根じゃなくて、銀さんの、欲しいよっ……!」
「だろォ?……うら、入れ……ん、お、おぉっ…?!」

その意地っ張りに応えてあげた瞬間に、もう十分に芯まで解れた私の入り口に銀さんがつっかかる。
あとはずるんと、腰を進められれば奥まで入ってくるだけ。
それがわかったから、臀部にぐっと力をこめて、自分で銀さんを呑み込んだ。

「か、はひっ…入るっ、ん…!」
「お前…な、ァ、あ……あー、あーー、ちょ、ちょっちょ」

そのまま腰を浮かせて、入り込んできた熱をぎゅうぎゅうと締めあげれば、余裕のない声が聞こえてくる。

「おまっ、積極的すぎ……」
「せ、せっきょく、的なの……ん、きょう、も、あした、も、ん、いっぱい、したいから、はッ、さ、されっぱなし、いやだからぁ……っ!」
「…………ッ」

浮かせていた腰の下に、力強い腕が入り込んでくる。
私があっ、と声を上げているうちに銀さんは私を抱き上げ、自分の身体の上に落とし込んでしまった。

「あ、ぐっ…さ、ささ、る…これっ…!」

銀さんに抱きつくのが精一杯で、身体を浮かせるすべもない。
自分の体重分、しっかり身体が落ち込んで、自分で自分の一番奥を押してしまう。

「ぎ、ぎんさんやだ、やだ、かたかたする、ふ、る、震えるうぅっ……!」
「っ、は、あ、それでいーんだって、お前は…んっと、エロいこと考えっと俺よりアレなんだから…しがみついてろ」
「う、うん、離れ、ない、ん、は、あかっ、ひ、あはっ、あはあぁあっ!!」

ゆっさゆっさと、まるで抱き上げた子供をあやすみたいに銀さんが身体を揺する。
その感覚に思考を持っていかれて、もう私はただただ涙混じりにあえぐだけだ。

「あー、くそっ…禁欲とか、は、慣れねえことするもんじゃねーな…んっとに……」
「きんよく…?そ、れ、あ、はぁあぁあっ!やっ、は、ゆ、揺すらないでぇっ!ガクガクだめ、がくがくや、ぁあぁああっ!!」
「悪いかよ、あー…今日ってか…ここン来るためにな…いろいろため込んでたんだっつの……!」
「や、やだあぁっ?!そ、それうれしいよっ?!うれしっ、うれしくて、あ、や、やだ、私きちゃ、うっ、ま、だ、やだ、やなの、に……っ!」

銀さんが意地とか見栄を崩して、本音をこぼしてくれる瞬間が。
私にとって、なによりの喜びなのだ。

「や、まだ、まだ銀さんとぎゅーしてた、いのにっ、も、もうだめ、もうだめ、だめっ、あ、あぐっ、あ、あかっ……あ、いっ……く、ぅ、うあ、あぁああぁあああっ!!」

我慢もむなしく。
私はすぐに足の指をひきつらせて、真っ白な世界に一瞬飛ばされる。

「あ、はひっ……ん、ぐぅあ?!」
「てめ、イッたな?イッたな…よし、おら、出すぞっ……!」

私がくたりと、銀さんの肩にもたれかかるのを待っていたかのように。
熱がとてつもない勢いを持って、私の中でふきこぼれ出す。

「あっ…あ、あつ、い……よ、銀、さん……!」
「……そりゃ、な…は、あー、二週間分だかんな……」


なにげにすごいこと、言ってない……?
そんなことを思いながら、私は充足して…いっとき意識を、銀さんに預けた。








*****
大江戸温泉記念…じゃないんですが、
銀さんとふたりっきり旅行でハメをはずしてハメまくり!(ああああぁ?!)みたいな…のを……。

今回はいつもと比べて短めというか、
いつもが長すぎるんだよボケって感じで。
で、長くなってしまう原因はなにかというと、やりたいプレイをひとつの話に詰め込みすぎてしまうんですね。
それをなんとかしようと思って……えーと、銀さんとおとまり、これ、あと二回ほど続きます……よ、よろしければおつきあいください!