……つまらなかった。



仕事ではないが、目的のない散歩でもない。
万事屋の三人がお出かけすると言うから、深く考えずに私もついてきた。

たどり着いたのは、地下都市吉原桃源郷。
かつては封鎖され完全にアンダーグラウンドだった場所。

そこに陽の光をもたらしたのが銀さん……そして今、私たちが陣取っている茶屋の主である花魁様……日輪さん。
……という話を新八くんと神楽ちゃんから、ついさっき聞かされた。
それに関しては、やっぱり銀さんってすごいのね、とか、一歩退いたところで感動してしまう私なのだったが。

どうにも……いまいち落ち着かなくて、退屈なのは……。

吉原の番人、月詠……と短く名乗った女の人が、
さっきから銀さんに対して恋心を隠しもせず向けているからだ。
……いや、もしかしたら隠しているつもりなのかもしれない。

それでも、キセルをくゆらせて壁にもたれる鋭く美しい瞳は、銀さんに話しかけられれば大きく見開いて瞳孔が揺れた。
言葉一つ一つに大きく反応して、まるでウブな女の子だ。

……どうして銀さんは、突っぱねないんだろう。
もっと冷たくしてやればいいのに。
あの人が銀さんのことを好きなのはわかってるんだから……俺にはこいつがいるんだぁ、って、私のこと呼んでくれてもいいのに。

そんな嫉妬にまみれたことを考えて、ぶんぶんと頭を振る。
……今までだって嫉妬をしなかったわけじゃない。
けれどそれは表に出すと、ただの可愛くない女になるということを知っているから。
私はただ、笑うのだ。ちゃかすのだ。

けれど……どうしてか。
どうしてか今日は、そんなふうに受け流せない。

それは和気藹々と、まるで万事屋の三人のメンバーに入ってもおかしくない、というような空気で月詠さんが受け入れられてるからか。
それを見守る日輪さんの視線が「しあわせになりなよ……」なんて言ってるように見えてしまうからか。


私って可愛くない。
ていうか、もうこんな状態だと自分だけ仲間外れな気がするし、そもそも自分が本当に銀さんの彼女だったのかも怪しくなってくる。

だから。



「あーあ、お熱いですねえ」

私は嫌みったらしく、銀さんと月詠さんの交差する視線の間に割って入った。

「つき合っちゃえばいいのに」

ねえ?と言って、月詠さんを見て微笑む。
彼女はそんな私をぽかんとした顔で見て……それから急に、真っ赤になってうつむく。

「銀さんもさ、こんなにキレイでえ、スタイル抜群の美人さんなら大歓迎だよね」
「おい」
「もー見ててじれったいんだもん!付き合っちゃいなよ二人とも!」

けらけら笑う。
なんだか涙がにじんできて、あわてて上を向いて顔を拭う。

「わ、わっちはこんないい加減な男のことなど……べ、べつに……」
「わーツンデレだツンデレ。ひゅう!美女ナイスバデーの上にツンデレ!向かうところ敵なし」
「し、知らんっ……!」
「ひゃー、あはは。お幸せにー」

言っているうちにだんだん、自分の銀さんに対する気持ちが汚れていくような気がした。
だからもうどうでもよくって、最後には舌打ちまでしてやった。

「チッ……ったくよ、私がいらねえならそう言えや」
「…………おい」
「あーあ、めんどくさっ。私帰るわ……じゃ」

そして言うなり、茶屋から出てダッシュ。



予想はしていたけれど、呼び止められたり追いかけられたりもしなかった。



……ああ、そんなもんだろう。
もういい。もうどうにでもなれバカ。
私も銀さんも月詠さんもみんなぐちゃぐちゃになって壊れればいいんだ。



とぼとぼ歩いてかぶき町まで戻ってきて、自然と自分の足が万事屋に向いていることに気が付いてハッとする。
かぶりを振って、自分が下宿しているそば屋に向かう。
そのまま二階の部屋に行こうとして、そういやおなかが空いたと思い直す。

「やまかけ…ください…」
挨拶もなしにそう言って店のカウンターに突っ伏した私を、女将さんは咎めもしなかった。
それどころかため息を吐かれて、仕方ないねなんて言われてしまった。
私いま相当ひどい顔なんだろうなあ。とか。

「はいお待ち……あ、いらっしゃい」
「おう、ちわー…天ざる頼まぁ」
「っえ、ちょっ……!」

私の席に湯気の立つ丼が置かれるのとほぼ同時に、聴きなれた声。
そして声の主はどすんと私の真横の席に座り、横柄にふんぞり返った。

「…ちょ、銀さん……なにしに……」
「なにってそば食いに。お前それいらねーの?」

そう言って銀さんが私のやまかけそばに手を伸ばしてきたので、その手を思い切りはたいてやった。

「今から食べるのっ!」

言って、ずるずるずるーとそばをすする。
普段一人の時にしかしないような下品な食べ方になっている。
が、それを気にしている余裕なんてなかった。

なんで。

「天ざるお待ち」
「おー」

複雑な気持ちで破裂しそうになる私を無視して、銀さんがそばをズルズルやりだす。

しばし会話もなく、ズルズル、ずるずる、ズルズルと。

ろくに噛まずに完食した私は、ごちそうさまと同時に小銭を置いて席を立つ。

「俺もごっそさん。お代はこいつが持つ」
「はあ?!なに勝手なこと言ってるのっ……自分で払ってよ!」
「まあそう言うなや、出せって」
「ちょっ……」

私の手からがま口をひったくった銀さんが、じゃらりと追加の小銭を勝手に置く。

「んじゃけーるべ」
「どこに!」
「お前ん部屋」
「え、や…やだ、ついてこないで!入らないで!」

ほかのお客さんの手前、大声で喧嘩も出来なかった。
私はあっと言う間に銀さんにひっぱられる形で、お店の裏口にある階段から部屋に連れ込まれた。



で、部屋に入るなり畳に転がされた。

なにするの、と抵抗しようと身を起こした瞬間、間近にしゃがみこんだ銀さんが私の両頬をばしんと叩いた。

「かわいくねー」
「……!」

痛みとその言葉にびくっとして、同時に涙がこぼれかける。
が、私の涙などお構いなしに、銀さんはもう一度、私の頬をパンとはたいた。

「お前なんなの?なに人前でかわいくねー真似してんの」

「……っ!!」

悲しみ一直線だった気持ちが、その言葉にあおられて反抗的な色を持つ。

「……かわいくないのが嫌なら捨てれば?あのお姉さんなんてすごくかわいいじゃん、銀さんのこと……っあッ?!」

言い終える前に、勢いよく頭を押されて床に倒れ込む。

「まだそんなかわいくねえこと言うの」
「……っ……」

その声は、なんだか怒っている。
怒りたいのはこっちなのに。
仲間はずれにされて、銀さんとほかの女の人のあやういところを見せられて。

「あ…あんなこと言う私より、ほかの……あ、痛ッ!」

臀部を強い痛みが襲う。
銀さんが、私のお尻を思い切りひっぱたいたのだ。

「い、いたい…やめっ、ちょ、ちょっとやめてぇっ!」

そして私を押さえつけて、着物の帯をぐちゃぐちゃにほどく。
下着一枚になった私の臀部を、さらにもう一度ばしんと叩いた。
痛さのあまり声も出ない。たぶん本気で叩いている。

「や、やめてっ、どうしてこんなことするのっ……!」
がかわいくねーから」
「それは……ッ、あ、痛ッ!」
「「いたっ」じゃねーよボケ!俺の方こそ心がいてーよ!なにが悲しくて……ったく!」
「いっ、いだぁあっ!」

また、ばしっと。
きっとお尻はもう真っ赤になっているだろう。

「なァァんでェ、彼女にィ、違う女をー、あてがわれそうになるんですかぁあ?!」
「いッ、いたっ、だ、だって銀さんだって、ま、まんざらじゃなさそッ、あいたっ!!」
「そりゃアレか?俺はお前と一緒にいたら、誰かに話しかける時は常に不機嫌じゃなきゃいけねーの?」
「ちっ、ちがう、けどっ、あ、つッ!」
「なんで今更くだらねー嫉妬なんかしてんの?」

くだらねー嫉妬。

その言葉に……痛みではなく、精神的なもので涙が出た。

「し、嫉妬、するっ…するよっ!いっつも心配なんだもん!いっつも置いてかれそうなんだもん!」
「…………」
「相手が女じゃなくても、男でもおっさんでも嫉妬するのっ!私の銀さんを持ってかないでほしいの!」
「……ほー」
「もう理性もなんにもなくしてっ、ふたりっきりでどこかに閉じこもって暮らしたいよっ!私と銀さん以外消えちゃえばいいんだぁ…もう、もうわけわかんないっ……!」

言っていて、本当にもうわからない。
暗い興奮で頭がパンクしている。

「………………」

パァン。

「あいっ、痛っ……も、もう叩かないでよっ!」

「いーや。叩く。わかってねーちゃんにはわかるまでお仕置き」
「わかってないって……あ、あぐっ?!」

お尻にひたすらたたきつけられる手のひらは、容赦というものがない。
もうお尻が倍以上に膨れ上がっているような感覚がある。

「わかるまでやめねーからな…おらっ、言って見ろよ」
「い、いう……なにを……?」
「かわいくねーことした分だけ、かわいいこと言ってみなッ」
「あうッ?!あ、言う、い、言うからっ、だからたたかな、い゛ッ?!」

かわいいことってなに。

「で、でも、か、わいいことって……!」
「わかんねーの?じゃあなんでお前嫉妬するの?」

それは。

「そ…れは、銀さんが……好き、だから……」


………あ。


「ぎ、銀さんが、大好きだからぁ……!」

ばしっ。

「銀さんよりいい人なんて、この世に絶対いないからぁ!」

ばしっ。

「ほ、ほかの女になんてあげないのっ……銀さんは私のものだもん……!」

パシッ。

「ほ、本当はぁ、銀さんに一番ふさわしーのは、わ、私だと思ってるから、だからほかの人が、銀さんのそばにいるとぉ、い、いやなの!」

ぱしん。

「銀さんの手は私をなでるためにあるんだもん!腕は私を抱きしめるためなの、めっ、目は私を見つめるためなのっ!」

ぱちん。

「ひざは私の頭を乗せるため、だけにあるしっ、おっきい身体は私を守るためにあるっ、の!」

ペチッ。

「声は私に、かわいいな、って言うためにあるしっ……お、おちんちんは私がまんぞくするためにあるんだもん!」

ぺち。

「だっ、だから、ほかの女の入る隙間なんてないの、銀さんは私のもので私は銀さんのものなの……!誰も入ってこられないの!」

「……わかってんじゃん」

「戦うものとか、そういうのいらないっ……私を、置いていかないで!」

どうしてか数日姿を消したと思ったら、ひどい怪我で帰ってこられたときの、あの疎外感。

銀さんはきっとすべてを…なんでもかんでもほっておけないのだ。
もちろん私だって、その「ほっておけない」ものの中に入っている。
……でも。

「寂しい思いをさせないで……!」

私はわがままだ。醜いんだ。可愛くないんだ。

……でも……でも。

「ばっかおめ、俺がいつ寂しい思いさせた?」

銀さんがそれを受け止めてくれるから、私はもっと…傲慢になる。

「させた!バレンタインのときに私仕事で当日いけないけど次の日あげるねって言ったの忘れてた!知らない人からの義理チョコ喜んでた!」
「いや、俺アレはチョコが食えれば幸せだから…」
「仕事にかこつけてほかの女の子たちとプールで遊んでた!ゆるせない!」
「お前アレは……いや、お前の水着をね、野獣どもに晒すわけには」
「ドッキリとはいえ他の人とプラネタリウムでデートしてた!ずるいずるいずるい!」
「や、俺はハメられたんだよ!」
「ドッキリとはいえ他の人と同棲とかしてた!うわきもの!」
「だーーからぁ、アレハメられたの!被害者俺!」
「たっ、たたたたまさんにネジ買ってあげたり猿飛さんに眼鏡あげたり……形に残るプレゼントなんて、まだ私……」

「だアァァもォオオ!!悪かったですよ!寂しかったんだな?は銀サンにギューしてもらえないと不安なんだな?」
「……うん」

「ホラ、ギュー」
「むぎゅう……」

畳の上で、銀さんに思い切り抱きしめられる。
今までくすぶっていたことをすべて口にしてしまうと、どうしてこれくらいのことで悩んでいたのだろう?とさえ思えてくる。

……でも。

「……銀さん、私のこと…好き?」
「あん?」
「す、好きなら…どれくらい好き?」

自分でも思わずブリッ子だ、と引かずにはいられないことを口にしてしまったが、もう遅い。

というか……その直後に銀さんの表情を見て。

あ……私、地雷踏んじゃった……と、悟った。



「よしよし。これからおめーへの愛がどれだけ深いか見せてやる」
「……ど、どうやって?」
「まずそこに正座しろ」

とりあえず言われた通り、銀さんが指差した位置に正座する。
……微妙に、さっきまで叩かれっぱなしだったお尻がじんじんする。

「って、ぎ、銀さん!」

銀さんがベルトをがちゃがちゃやりだして、羽織の下のズボンのチャックを下ろしたので…思わず飛び上がる。

「いいか、これから絶対に動くな」
「……え、で、でも、あのそれ」
「俺がなにをしようと絶対に触るな」
「……ど、どういうこと……?!」
「ほーら」
「え、ちょ、えええ?!だ、出さないでよそれ!」

ズボンの下のトランクスの窓というか隙間というか。
そこから銀さんが、自分の肉茎をぽろんと露わにさせた。

「わ、わけわかんない!」
「ハーイお客サン、見ててくださいねー」

いやらしくにやにやと笑いながら、銀さんがそれの根本をつかんで、私の方に向ける。
距離も私に思い切り近づけて、息がかかりそうなくらいだ。
文字通り目と鼻の先に…まだ硬くなっていない銀さんがある。
頭がくらくらした。

「なんとコレ、触らずに大きくなっちゃうんですねえ」
「え、ええええ?」
「試しにお嬢さん、ちょっと息をかけてみ」
「…………よ、よくわからないんだけど……?」
「いーから。フーッて」

……。

「ふ、ふー?」

熱い飲み物を冷ますように。
ゆるーく、銀さんの先っぽに息を吹きかける。

「ふ、ふーー!!」

と。

「あ、わ、ピクッてした……」
「だろォ?俺触ってもないぜ」
「え……あ……う」

……だからって……これ、なに?
この状況は一体……なんなのだ?

「で、驚くことにコレはお前の呼び声に反応するんだ」
「はぁ……?!」

……また少し、目の前の銀さんがぴくんと揺れる。
ああ……私、またほだされそうになっている。

は大きくなったコレ、好きだよな?」
「…………」

言葉にしなくても、首を縦に振らなくても。
私のいつの間にか熱がこもる視線は、肯定の意として銀さんに取られる。

「…ほんとに、声だけで……?」
「やってみ」

ごくん、と唾を飲み込んで。
また、息がかかるくらいの至近距離になって…それでも唇が触れないように気をつけて。

「お…大きく…なあれ」
「プッ」
「え、わ、笑わないで……!え、あ…あれ?」

ピクッ、と、また。

「ほ、ほんと……?お、大きくなーれ、大きくなーれ……」

自然と甘ったるくなってしまう声で、そうささやきかければ。
目の前の熱の固まりは、ぐんぐんとその身を持ち上げていく。

「ど、どうなってるの……?!」
「どーもなにも。俺のセンサーはお前のムラムラに反応するようにできてんだよ」
「う、うそっ……!」

……でも、触れてもいない、ただ見て囁いているだけで変化を見せる様子を目の当たりにすると…それも嘘でもないのでは、と思えてくる。

「……お、大きくなって…?もっと大きく…私の一番好きな大きさに…なる?」
「なるなる、ホラ見ろ」
「わ、わわ…ほ、ほんとになんで……?!」

ぐうっと。
まるで蛇が状態を起こして威嚇するような位置にまで、銀さんの肉茎は持ち上がる。

「う、うれしいけどよくわかんない……どうしてこんなになるの…?!」

自分の、座り込んだ足に隠れた股の奥が。
ぎゅうっと熱くなるのを、感じながら。

「あー、いや、ネタバレするとな」

銀さんは一息ついて、私の頬をくいっとつかんだ。

「お前がコイツ見ながら、ああ銀サンとパコパコしたい!って顔してっから、それ見ると勃つんだよ」
「そ、そんな顔……し、してない……」
「してないの?あ、じゃあいらないねコレ」
「え、い、いらなくない!いるっ!」

そう叫んで足を崩すと、銀さんが屈んで私の顔をまじまじと見る。

「アレだよオメー、水着の女に囲まれても、他の女の乳ワシ掴んでも反応しねーのがさぁ、の顔見るだけでフルボッキですよ」
「ふるぼっき……」
「つまりは心だろ愛だろ、銀サンのでっかい愛なんだよ」

ええと。

「で、でも……わ、私も、銀さんの声とかだけで、こ、興奮するよ?」

「……」
「む、むしろ、顔見ただけで…なる、かも?…えっと、だから、私の愛のほうが……」
「……へえ」

そう言ってから笑って、銀さんが私の頬をぺちぺちと叩いた。

「見せろよ。お前が銀サンの顔と声だけでぐしょぐしょになるとこ」

口の中に溜まった唾液をごくんと飲み込んでから、うなずく。



「み、見える……?」
「おーおー、丸見え丸見え。バッチリ見えるわ」
「う……う」

元から銀さんにぐちゃぐちゃにされていた着物を脱いでしまってから、ごろんとうつ伏せになった銀さんの前にかがみ込んで。
自分の秘処を…ぱかっと指で割り開く。
息が届きそうで届かない、ぎりぎりのところに銀さんの顔がある。

「は…ん、は……」
「お前さ、びらびらキレーだよな」
「き、キレイ……?!」
「なんつうの?太ってねえんだよなー。薄くてちっちゃくまとまってて、ホントまだガキみてえ」

そう言って、銀さんの指が伸びてくる…と思ったら、その指はほんの少し手前で止まる。

「あ……ああ…!」
「触ったらダメだもんなあ」
「……う……」

そうなのだけれど。
一瞬、銀さんがこの、微妙に疼きだした粘膜に触れてくれるかと期待してしまったから…落胆する。
そして、ぶるりと背筋が震えた。

「お前アレ知ってる?あのホラ、デコに指近づけられると、触ってないのにデコがむずむずする〜ってヤツ」
「あ…聞いたことある……」
「アレやってみ?ホラホラ」
「え、ええっ……?!」

そう言って、銀さんの指の先がさらに少し近づいて……まだ、包皮ごと小さく縮こまったままのクリトリスの直前にやってくる。

「これ、ちんこと同じ構造だって言うじゃん?自分で触らねーで皮剥いてみ?」
「で、できないよっ!そ、そんなのできないってば……」

……口ではそう言ったものの。
銀さんの視線と、触れそうで触れてくれない指先。
それから、私をなぶる低い声。
それらを受けて、私の下腹部にはなんだか…重たいような、心地よいようなものが下りてきている。
腰の奥がずくんと疼いて、拡げたままの性器も奥から震えた。

「あ…う、ああ……」
「ホラ」
「あ、ああ……?!」

銀さんの指先が、猫でもじゃらすかのように左右にくいくいと動いた。
それでも私の敏感な芽には触れはしない。
触れないけれど……その指先の動きはどこか淫猥で、私はまるで直接触られたかのような錯覚を受ける。

「んぅ、く…ああ……!」

どろり。
自分の膣穴から、ねばり気のある重たい愛液がこぼれ落ちたのがわかる。

「お、出た出た」
「は、い、や…は、恥ずかしっ……!」
「おおすげえ、糸引いてら…」
「う、うそ?!」

あわてて少し身体をずらして確認すれば、濁りかけた愛液は確かに糸を引いて、畳の床にまで届きそうだった。

「は、ああ……う、く…」
「頑張れって、銀サンの声と顔だけでコーフン出来んだろ?」
「で、できるけど…く、クリは剥けないよぉ…!」
「あん?クリってなに?」
「〜〜っ!!」

この男は!
私を徹底的になぶって遊びたいのだ…!

「く…クリトリス…!こ、ここ!銀さんがいつも、ちっさいちんことか言っていじめるとこっ……!」
「ほォほォ」
「ここは…いじってもらえないと、で、出てこないよ……っ」
「いじるってどんな風に」

にやにやといやらしい笑みを浮かべながら、私のことを見上げる。
その視線に恥ずかしくなるどころか、ドキッとした私はもうきっとかなりおかしい…とか思いながら、かぶりを振る。

「銀さんが、い、いつも…してるみたい…に……」
「皮ごと指で押しつぶしたり?」

そう言って、銀さんの指先が、ぐっと押す…ような動きをする。

「っ……ぅ、う……ん……!」
「ワキっちょから指ではさんでグリグリしたり?」
「〜〜っ、う……う、ん、そ、そう……!」

銀さんが親指と人さし指で何かをつまむ動作をする。
それは、それはもう茹だった私の頭の中では…銀さんが口にする通りのしぐさにしか見えなくて。

「こーやって、垂れてる汁塗りたくって撫でまくったり?」
「んあっ、あ、ああ……!!」

銀さんが、垂れ続けて糸を引いたままの私の愛液を指先にすくい取る。
私の性器には触れないけれど…ぬるりと照る私の粗相が、銀さんの指に絡みつくのは…言い表せないくらいにいやらしいものとして、私の目に映る。

「は、ああ……さ、触って…!銀さん、さわってぇ……!」

思わず、そうねだる。
このじれったさと、ずくんずくんと疼く下腹部をどうにかしてほしかった。

「んー、ダメ」
「ど、どうしてっ……!」
のちんこが勃起するまでダメ」
「だ、だからぁあっ!ダメなの、触ってくれないと…だめなの……!」
「フーン…いや、でもちょっと頭出てきてね?」

かぶりを振る私をよそに、銀さんが首を傾げて私の秘処をさらにのぞき込む。

「おー……やっぱ出てきてるって、ホラもう剥けそう、ぺろんって」
「う…あ、うう……!」

そんなことを言われても、自分ではよく見えないし。
そもそも本当に包皮からクリトリスが剥けているのかもわからない。

「で、できないよ…うう、も、もういじめないで……!」
「しゃーねー…ふぅっ!」
「あ、ああああっ?!」

少し自分を落ち着かせながら懇願したところで。
銀さんの息が、突然割れ目に吹き付けられる。

「おっ、出た出た。剥けたわー、おめっとさん」
「いあ、あう……?!な、なんで…?む、むけた……?の?」
「剥けたって、ほらぐりぐり」
「んあ、あッ、ちょ、ちょっ……!」

銀さんが手を伸ばして、今度こそ……私の陰部に触れる。

「あっ…あ、ああっ……!」

待ちかねていた刺激に、私は全身を使って歓喜する。
股の間の小さな尖りから与えられた刺激が、波紋のようにじわじわと全身に広がって、皮膚を粟立たせる。

「おーおー……気持ちよさそうだな」
「うん、うんっ…!き、きもちいい……!気持ちいいよっ……!」

恥も外聞もなく。
銀さんが指の先で私のクリトリスを弾くたび、私はいやらしい声を上げてよがる。

「…んーと」

そう言って一度指を離した…と思うと、銀さんはゴロンと、腹這いに横たわっていた身体をうつぶせに回転させる。

「ぎ、ぎんさん…?」
「んー?」
「な、なにを……っあ、あぅんッ……!や、やんっ!」

そんな体位になって、下から私の陰部を覗き込むようになった銀さんの意図を掴めずに不安がる私の割れ目を、太い指が何度も縦に往復する。
にちゅにちゅと粘液まみれのひだを掻きわける音を響かせながら、指は無遠慮に胎への入り口へ続く穴を探り当てる。

「んく、ゆ、指っ……は、あ、ああ……!」
「おー…入る入る」
「ひ、いあ、ぎ、銀さんが入れてるんでしょ……!」

そのままずぶずぶと、人差し指が私のなかに埋まっていく。
わずかな……痛みにはならない圧迫感に震えながら、私はぎゅっと目を瞑る。

…そして、目を開いた拍子に視界に飛び込んできた光景に思わず声を上げた。

「ちょ、ぎ、ぎぎ銀さん?!なにやってんの?!」

銀さんは私を弄う右手とは逆の左手で、自分の…さっき私に見せびらかして、そのまま出しっぱなしになっていたと思われる肉茎を支えていた。
そしてまさか…と息を呑む私の考えを読んだように、人差し指と中指、それから親指でつまむように…その屹立した熱を上下にしごく。

「や、やだちょっと…銀さん……!」
「あん?」
「な、なにやってるの…?!」
「え、いや、オナニー」
「〜〜〜っ!!」

かあっと、今まで以上に赤くなった私の表情を見て、にたぁ、とその顔を緩ませて。
さらに見せつけるように、手首を小刻みに動かす。

「な、ああ……な、なんで…ん、あぁッ?!」
「いーや、いいズリネタがあるから」
「ずり……や、やだっ、そ、そういうんじゃ…あ、うっ……んあっ、あ、あいっ……!」

私の中身などとうに知り尽くした指が巧みに動き、言葉を封じさせてしまう。

「いいじゃん。見せろよ、のどろどろまんこ」
「そっ、んな、あ、は、はずかしい…!恥ずかしい恥ずかしいっ……!」
「さっきお前、銀サンのちんぽはが満足するためにあるっつったじゃん」
「……う…い、言った……」
「じゃ、のまんこはなんのためにあんの」
「……っ……!」

ああ…わかってる、わかってる。
結局どうなったって、私は…この男に……心地よく束縛されてしまう。

「ぎ、銀さんが……まんぞく、するため……」
「へぇー…」
「銀さんが、さわって、いじって、しゃぶって……い、今、指が入ってる穴は、銀さん専用の…エロ穴……!」

そこまで言うと、ヒュー、と銀さんが口笛を吹いた。
そしてくちゅっと、愛液の気泡が潰れる音がして、指がさらに奥に入り込んでくる。

「ああ……わ、わかる……!」

自分で思わず、そう口にしてしまったのは……銀さんがきっともう…絶対、私をからかうネタにすると思ったこと。

「んー、すっげー匂うわ……スンッ……おお、生理前?」
「ちがっ……!」

わざとらしくふんふんと鼻をひくつかせて、私の秘処の匂いを嗅ぐ。
言われるまでもなく、私も自分で感じていた。
だんだん汗ばんできた肌と、秘処から垂れてくる粘液が…女のそれ、としか言いようのない匂いを放っているのを。

「あー…いいわ、お前、いいわ……」

ほんの少し……銀さんのその声は上擦っている。
その理由は……せわしなく動く、銀さんのもう片方の手だ。

「あ…い、痛くないの?そ、そんなに強く握って……」
「あ…?お前何勝手に見てんの」
「んなっ?!そ、目の前でやり始めたの、銀さんでしょっ…!」

そうやって私をからかいながらも、私を弄う手も、自分を慰める手も止めない。

「イエーイ見てるぅ〜?ピースピース」
「えあ、ちょ、ちょおっ……ん、ぅッ?!あ、ああ、や、指っ……!」

銀さんは、自分を握った方の手で…ピースサインを作った。
器用に親指と小指、薬指で作った輪で肉茎をしごいたまま、人差し指と中指だけで、横向きのピース。

「そ、そんなことしなくていいよ!み、見てる!見てるから!!」
「へー、見てんだ」
「……み、てる」

銀さんが、一度私の膣から指を離す。
それは……私のその答えが、正解だった…というのを表しているような気がした。

奇妙なピースサインをやめて、銀さんは手と指全体でしっかりと肉茎を掴む。
ギュッと、見ているこちらからしたら少し痛いんじゃないかというくらいに。

「どーなってる?お前専用ちんこ」
「わ、私専用って……あ、え、えっと……」

……いろいろやって来たけれど、そういえば。
銀さんが自分で自分を慰めるところなんて見るのは、初めてだ……。
改めてそう思考すると、自然と口の中に溜まってきた唾液をごくっと飲み干して…自然と熱っぽくなる視線で、銀さんのそれを……見つめる。

「だ、だから…痛くないの……?ちょ、ちょっと…押し潰れてない……?」
「これくらいした方がいい」
「そ…そうなの……?」

私の言葉が…喜びを隠しきれないと知ると……銀さんはにたっと笑ってから、また私の性器に指をくっつける。

「……ん……ぎ、銀さん……」
「あん……?」
「き、きいてもいい?」

くっちゃくっちゃ。
いつの間にか、私の膣からだけでなく、銀さんの肉茎からもそんな音がする。
先っぽから溢れた汁が、銀さん自身の手で屹立全体に広げられる。
そして銀さんは、その滲液をまるでローションの代わりにするように、手つきをスムーズにしていく。

「なに……を、考えて、し、してる……の……?」
「……知りたい?」

意地悪な響きを持った問いかけだったけれども、私はこくんと素直にうなずく。

「んー……今、銀サンのちんぽどーなってる?」
「え…?あ、えと……ぬるぬる…てかてかしてる……」
「なんで?」
「……っ、ぎ、銀さんの…先っちょから出た、透明なの、を……銀さんが、手で広げるから…」
「んで…?」
「そっ、それで、ごしごし…っ、ゴシゴシって……銀さんの手が、あ、う……銀さんのちんぽ、いっぱいこすってる……」

言いながら…自分の声が、自分自身の耳朶に響く。
そして興奮が痛いくらいに身体中を痺れさせて、視線がそのまま釘付けになってしまう。

「ああ…やらしい、なんか、へん……!ヘンだよ、こんなぁ…私、め、目の前に銀さんのがあって、銀さんの目の前にも私のがあるのに…」

欲情と一緒に突き上げてくるこのむず痒い感情は…そうだ。

「だめっ……だめ、一人でしちゃだめ……!わ、私の!これ私のっ!」
「おわ」

がくっと、ずっとしゃがんでいた脚を急に動かしたところで体勢が崩れた。

「あ、あわっ…おぶっ!」
「おあっ、お、てめっ……!」

キスしてしまった。
先走り汁まみれの銀さんの、その……肉茎に。

ぷつんと自分の中に張っていた何かが途切れて……ああ、もう突っ走るしかないと私に伝える。

「んっ……れろっ……!んぶっ…これ私の、私の…!銀さんのちんぽはわたしの…!」

その、身体の中で一番熱い皮膚に触れれば、舌先にしょっぱい味が転がり込んでくる。
さっきまで何度もまぶされて、すり込むように銀さん自身が何度も何度も手で塗りたくった…粘液の味。

「あ、あげない…私のっ、ちゅぶッ……ん、ふ、んむぅっ……!誰にもあげないの…」

舌で表面に…別にあんな薄い液体、こびりついてる…という言い方も適当じゃない気がするのだけど、まあ…気持ち的に。
銀さんの肉茎の表面にべったりとついた先走りを、舌のザラザラでこそぎとるように舐める。
私の唾液まみれにして、本当に…もう他の人が触れないように、なんてばかみたいなことまで考える。

「てっめ……おらっ、待てェェ!」
「わひっ?!ちょ、ああ……!」

私の目の前に今、銀さんのがあるということは…つまり、銀さんの目の前には私のがある。
びたん、と、興奮しきった粘膜を、銀さんの平手が叩いた。
汗ばんだ手と、濡れそぼった粘膜がびちゃっとくっつく音と感触。
興奮が強くて、全身火照っている今の私は…そんなふうにされても、気持ちよかった。

「んあ…あ、ひ…い、ぅ…それ、や……ぁ」
「あ、痛かった?ゴメンネーほらモミモミ」
「あッちょッ?!ひっ、あ、あぁッ、あッ…!」

さっきは私を叩いた大きな手のひらで、私の足の間のぬかるみを全部包んでしまうと、本人の言葉通り…まるで揉み込むみたいに、手をむにゅむにゅ動かされた。

「や、あぁ、あ…あ、あっ、ん、ぁ……!」

性器全体がひとまとめにされて、開いてきていた割れ目もむりやりくっつけられて擦られる。
充血した粘膜も肉芽も、茂みと外側の陰唇に挟まれてもみくちゃにされている。

「んっあ…あ、や、ん…あ、あ、ああ、あ……!」
「おーおー…気持ちよさそーにしちゃって……」

銀さんのからかうみたいな声も、気持ちよく耳に入ってくる。
…その、自分の皮膚ごし…というか。
じかにむき出しの粘膜に触れられるのとは違う、やや距離を置いたもどかしい刺激に、私は浅ましくお尻を突き出してしまう。

「よっ……と」
「うあひっ……!」

銀さんはそんな私のお尻をビタンと叩いてから、私のわきの下に手を入れて身体を持ち上げる。
たぶん、怒られたときとおなじくらいの力で叩かれたのに。
どうしてか…今の私はその刺激すら気持ちのいいものとして受け入れる。

「またがりな、下から突いてやるから」
「あ…う……っ……!」

……その、太い腰を脚で挟んで…ゆっくり腰を屈ませる。
そそり立ったままの肉茎の位置をお尻と割れ目でさぐると、肉茎の根本を銀さんがぐっと握った。
そうされると…間違うこともなく、私が腰を落とせば中に熱が入り込んでくることになる。

「……っ、は、あ……!」

自分の瞳にしみるほど熱く湿った吐息を漏らしながら、私は…自分のいりぐちに、銀さんの先っぽをあてがった。

「ん……!」
「……おお……っ」

にゅるりと…先端が入ってしまえば、もうたやすい。
ずるずるっと勢いよく、膣穴に銀さんが入ってくる。

「あっ……ああ、あ……はっ、かっ……あぁ…!」
「っ…おい、もーちょい、もーちょい」
「えっ、あ…も、もうちょいっ……?!」
「…も、もーちょいっ…屈め、全部入れろ」
「ぜ、んぶ…まだ、入ってない……?!」
「もー少しだって…っ……ほらっ!」
「はッ……あ、あ゛ッ……!!」

思わず銀さんの上で、言葉も発せず仰け反った。
銀さんが私の太股を強く押し下げて、挿入を思い切り深くした。

「んあッ、あ、深ッ……ぅ、あ、あうッ……!」

深すぎる挿入なんて苦痛を伴うものなのに、今日の私はもうぐにゃぐにゃに弛緩していて。
身体のなかの一番奥、子宮へ続くいりぐちでもしっかり銀さんを受け止めている。

「…馴染んだか?うらッ」
「あッ、あ、あああああッ、やッやめえぇえっ!ひはっ、ふ、あ、あぐっ、あぁあ……ッ!」
「あぐぅじゃねーよ…っ、せっかく上になってんだからお前も腰振れ、ほらグイって」
「あ゛ッ……?!あ、あッ、あんっ、や、ふ、振れないっ、振れないのぉっ……!」
「カワイコぶんじゃねー、前にもやったろ……っは、ホラ、下から突き上げてやるから、お前は体重かけて弾めよ」
「は、はず…?っっ……あッ、あぁあ……ッ、あっは、あぁあぁあーーッッ!!」

その意味をいまいち理解できないまま、言葉通り銀さんがグッと腰を突き上げる。
私の身体は衝撃に打たれて、また卑猥に仰け反った。

「あ、ああ、あ、す、ご、ぎ、銀さん、すごっ……い、の、ぉ……!」
「あん……?なにがスゲーって…?」
「はッ、ひ……ひんッ、ぎ、銀さんの!銀さんの腰っ、動きが…すごい、のっ!」

かたかた震えて、息を弾ませながら。
ようやくしっかり目を開けて、私の下の銀さんの顔を見る。
視線が合う前から、銀さんはジトリと据わったいやらしい目で私のことをじっくり、少しも視線を離さずに見つめていた。
それを意識して、突然羞恥心が襲ってきて…思わず自分の上半身を自分で抱いた…が、その腕はやや乱暴に銀さんに押さえられた。

「隠すなって、のおっぱいたぷたぷが見れねーじゃん」
「はっ……い、いや……いやらしいこと、いやらしいことで……私の頭、ぐちゃぐちゃにしないで……!」
「あ?」

かぶりをぶんぶん振った私の手に、銀さんが自分の指をしっかり絡めてくる。
私が上になって、いやらしい言葉でなぶられながら絡んでいるのに。
銀さんと私の指だけは、しっかり恋人同士のつながり方をしている。
その事実がなんだかさらに頭を混乱させて、気持ちのいい電気を背筋に走らせる。

「……そーだよなァ」

そんな私からやっぱり目をそらさず、そして私もそらすことが出来ず見つめ合いながら……銀さんが笑う。

はえっろい言葉でイジメられんの好きだもんな」
「す、好きじゃ……う、はっ…あ、あぅッ!!」
「嘘つく子はおしおきです」
「あ、いッ?!い、いた、あ、あぁ……ん、んッ!」

ぐにっ、と。
銀さんが私との恋人繋ぎを片方解いたと思ったら、その手でお尻の肉をつねり上げた。
一番脂肪が乗っているところを、ひねるように。

「は、あ……い、いたいっ……いた、ぁ、ああ、あん、あ、あ……んッ…!」
「おいおい喘いでんじゃん、ケツひねられてそれってどーなの」
「つ、つねられるのがそうなんじゃなくてぇ、え、あ、ぎっ、銀さんが、あ、ま、またっ……動くっ、動くからぁっ!」
「おーおーダメですか。銀さんお前に悪い事してんの?下からズッコンズッコンされんの気に食わないですか?おらどうなんだよ」

そう言って、銀さんのがっしりとした身体が持ち上がる。
私なんて言う重たいものを乗せても平気で…腰を床から浮かせてしまう。

「はぁっ……あ、ダメじゃない、ダメじゃないっ!いい、いいよ、銀さんにだったら何されて、も…いい、からっ……!」
「ッ……へェー…じゃあイヤとかダメとか、そういうの全部演技なんだな」
「それ、は……ッ、あッ、あ、ああぁぁあッ!え、えんぎ!演技演技ぜんぶえんぎっ!はッ、ほ、ほんとッ、は、銀さんのしてくれることならぁ、何でも好きぃ…!」

頭が。
クラクラしてどろどろしてドキドキして、撹拌されていく。

「ふーん」

にやりと口角を吊り上げながら。

「じゃあアレな、銀サン他の女とハメるから、お前それ見ながらオナニーな」
「えっえ、い、いやっ!い、いやだって、いやだってばぁっ!なんでっ、なんでそんなこと言うのぉっ!!」

一瞬でぼんやりしていた頭が覚醒して、拒否の意味を込めて首を横に振る。
その言葉がからかいとか冗談とか、そう判断する理性もあまり残っていなくて…いや。
そもそも冗談でもなんでも……嫌なのだ。

「ひどい…ひどいよ、そんなことっ……私、わたし、こぉ…っ、こぉぉんな……ぁ、あッ、あ……あ!」
「う…お、うわ……」

臀部にギュッと力を籠めた。
それと同時におへそから下…下腹部だけ、ぐりんっと自力で捻った。

「こんなッ、こんな、ああ、あ、がんばって、る、のにっ、ほ、他の、お、女の人なんてえ……っ!」

そしてまた、ぐっと。
一度抜いた力をまた籠めて、下半身を回す。
その度に私に突き刺さった銀さんの肉茎が粘膜の中で至るところに擦れ、いちいち感じるところをすべて引っ掻いてく。
自分自身の動きなのに快楽で身悶えしながら、銀さんの方を見た。

「はっ…あ、銀さんもいやでしょっ…私のなかに、なか、にッ、ちがう人のが入って……あ゛ッ?!」
「はいはい悪かったから……そら、もっと今の」
「あっぐ、ん…っく、や、だぁ……銀さんがぁ、ちゃんと謝ってくれるまで……腰ぐりぐりはしないっ……!」
「あ…?」

自分の口を衝いて出た言葉だけれど、きちんと意味を考えてではなかった。
けれどそれで銀さんが一瞬顔をしかめたのが気に食わなくて、震える身体をなんとかしながら、上体をぐっと倒した。
銀さんの上に寝そべるみたいに。
肉茎が抜けないように気を付けながら、銀さんに顔を近づける。

「はっ…あ、べ、べろちゅー…キスいっぱいしてぇ……今まで誰にもしたことないくらいいっぱい、長い時間っ…!」
「ホントお前好きな……ん」
「はぁむッ……む、ぅ……う、んッ、んッ……んっ、ふぅうっ…はっ、れ…えろっ…んぢゅぷっ…!」

唇に吸い付かれた瞬間に、私は銀さんの口腔に舌をねじこんだ。
銀さんはそれをすぐさま歯で甘噛みして捕まえると、ぢゅるぢゅる音を立てて私のヨダレと一緒に吸っていく。

「……ん…は…ん〜……」
「はっ、んぢゅッ、るろっ……ん、ふぅン……ッ」
「んー…は、あ、やべ……ベロにあとついちまった」
「っは…あ、あと…?」
「噛んだとこ、なんかヤケドしたみてーに赤く腫れちまった」
「え…?ん……んん…?」

言われて少し、自分の口の中で舌を動かして、感触を確かめてみる。
…そうすると、確かに少し、端っこの部分…銀さんが噛んでいた部分だけ、まるで苺舌になってしまったときのような感じだ。
けれどそのことよりも……今、口の中で舌をくちゃくちゃ動かせば。
口腔に転がり込んできていた銀さんの唾液をより深く味わうことになる。
「はっ…あ、ふ…銀さんのよだれ、私のよだれと混ざってる……」

そう言って音を立てて自分の舌を蠢かせながら啜ったところで…もう一度、銀さんの唇が私を捕らえた。

「ふむっ……ん、んーっ!」

今度は銀さんにされる前に、差し込まれた舌を、私が強く吸う。
私のよりもだいぶ肉厚の舌を、きゅうっと歯で挟んで、音がするくらい吸い上げる。

「んぢゅっ、ぢゅろっ……ん、んーーっ!」
「っ……ん……はッ」
「はひっ……は…あ…銀さんのべろには、あとついてないや……」

なんとなく残念でうなだれると、それを妨害するように…銀さんが、また私を下から突き上げた。

「あッ…あ、はあ゛ッ………!!」
「いんだよ、こまけーこと……ッ、は、嬉しいか?」
「ん、うっ、うれしいっ…うれしい、よっ、は、あ、銀さんいっぱい、頭の中もっ…身体のなかも……っ!」

そうだ。
なんだかんだいってもこれが嬉しいのだから。
そして銀さんは、私が喜ぶと知った上で、とことん私で遊び尽くしてくれるのだから。

「わ、わた、し…ああ、も、もうどうでもいいっ……なんか、もうどうでもいいっ……!は、あ、はやくっ、はやく銀さんの、いっぱい…ん、ぐッ、あ、あぁ……ッ!」
「…っ…言われなくてもな…今日、もーどれだけイキそーになったと思ってんだよ……!」
「そ、そうなのっ?!う、うれしっ、あ、あぐっ、あ、ああぁあッ!い、いまそこだめっ、だめぇええっ!!」

ぐりっと、興奮でむき出しのままの肉芽がつねられる。

もともと何か…もうきっかけさえあればすぐにとでも思っていた私の身体は、吹き飛ぶみたいに自分の支配から逃れて……達する。

「は……かひッ!あ、ひ……あ…!」

銀さんがけいれんする私の身体をなお押さえつけて鼻を鳴らした…と思った瞬間、待ちかまえていた濁流が。
一瞬からっぽになった私の中に、二度三度と打ち込まれる。



ああもう……もうなんでも。

銀さんなら、なんでも好き。








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結構時間がかかってしまいました。
夢を書く際に夢主さんのイメージを完全に固定している人と、そうでない人がいるとおもうのですが、
私の場合どっちつかずと言うか、明記しなくても同じイメージで書いている場合もあれば、
逆に違うキャラクターとして書いてる場合もあるのです。

前に銀さん夢で浮気するヒロインを書いたのですが、
銀さん夢のなかではあの話の夢主さんだけ違う子だなぁ。

そんな感じで銀さんに甘えたいスペシャル?でした。
あと、いろんな方に銀さんSですねっていつも言ってもらえるのですが、
自分ではあんまりSなイメージで書いていなくて(文中で夢主さんに言わせていても)
今回はちょっとだけ意識してみました…?
いや、でもいつものほうがSな気がする。

読んでくださってありがとうございました!