万事屋ファミリー三人は、今日は揃って依頼された建築修理によりお出かけ。
私は銀さんの家にぽつんと一人で、とりあえず自分に出来ることはやろうかなぁと思ったりして、
床の拭き掃除をしたり、脱衣かごにたまりにたまった洗濯物をさばくことに熱中したりしていた。
そこで冷蔵庫の中身を見てみると、万事屋にしては、であるけれども、けっこう晩ご飯に使えそうな食材が揃っていた。
最近は頻繁に仕事の依頼は入っていたからなあ…と思いながら、お夕飯の準備もしておこう、と意気込んで、
ちまちまと足りない食材を買いに家を出た。



「おや、じゃないかィ」
「あ、お登勢さん、こんばんは」
「留守番かい?まったくアンタもあんな男について行こうって考えてるあたり、あの二人と変わらずバカだね」
「…はは……」

あの二人、というのは、新八君と神楽ちゃんのことを指しているんだろう。
私は苦笑いをして、それからお登勢さんが抱えている紫色の風呂敷に気がついた。

「ああ、これかい?」
「え、いやその」
「…最近あの若白髪、順調に家賃納めてくれてるからね。ちょっとした褒美さ」

家賃を払うことは当たり前なのだけれど、それでご褒美をもらえてしまう銀さんはある意味すごいと思う。

「持って帰って銀時に渡してくれ。…あ、一応言うけど、アンタは手ェつけんじゃないよ」

私はその、意外と重い風呂敷に包まれた何かを受け取って、このまま買い物に行くのは無理だと判断して、一度上の銀さんの家に戻ることにした。



風呂敷を解くと、なるほど重いよなあ、と納得するものが出てきた。
「吟米酒 鬼嫁」
そうラベルの貼られた一升瓶が。

これを置いて買い物に行けばいいのだけれども。

でも、でも、なんとなく、私の中の悪魔が囁いた。

―ちょっと、飲んでみたくない?

銀さんはいつもぐでんぐでんになるほど飲んでくる。
まだ未成年の私にはお酒の楽しみは理解できない。
でも、銀さんがいつもそんな状態に帰ってきて私をやきもきさせるほど、お酒って、魅力的なものなんだろうか。


ひとくち。ひとくちだけ。

私はそう思って、一升瓶の栓を開けた。


コップに注いで、ちょっと恐怖心もあるのでちょびちょび飲む。
口に含むと、なんとも言えない、まさしく「お酒臭さ」が口中に充満して、さらには少しぴりぴりと痺れるような感触がある。

「んん…いまいち…かな…?」

おいしいとは感じられない。
こんなもののどこに、高いお金を払ったりする価値があるんだろうか。
…と、そこで。
そういや銀さんは家で焼酎を飲むときに、ジュースとかで割ってたなあ、と思い出す。
「吟米酒」とあるけれど、これって焼酎なんだろうか。よくわからない。
まあやってみる価値はありそう、と、テーブルから立って、廊下を歩いて台所にいくと、
この間お中元で、坂本とかいう貿易商をやっている人から届いたというカルピスの瓶が立てられていた。
ちょうどいいかも。大丈夫かな?

ドキドキしながら、その瓶とマドラーを持って居間のテーブルに戻り、コップに白い液体を少しそそいで、
その上からさらにさっきのお酒を注いで、普段水で薄めて飲むくらいの色合いになったところで、マドラーでコップをかきまぜた。

「い、いきまーす…」

小さくつぶやいて、私はそれに口をつけた。









ぼんやり、ぼんやり。
自分の目は薄く開いているのだけれどもものを見るのがめんどうくさい。
首はうなだれたままで視界も悪いけれど、今現在自分がどうなっているのか、それを確認するのも億劫だった。
けだるい、という言葉は、今の私の状況を表現するためだけにあるんだろう。
そんなことすら考えてしまう状態だった。
ソファに腰掛けて、私がそんな状態でぼーっとしていると、ぎし、と、床の板がきしむ音がした。
誰か来た。
それはわかるのに、誰が来たんだろうとか、なにか行動を起こさなくちゃとか、そういう方に気力が向かない。

ぎし、ぎし、ぎし。

ただ私はぼんやり、なにもかもぼやける世界でその音を遠く感じていた。


「オーイ、
「…ん……?」

私がようやく顔を上げることになったのは、自分の意思で起こした行動ではなかった。
さっきから床を鳴らしていた人間…銀さんが、私の顔をむぎゅうと掴んで、前を向かせたからだ。
その感触もおかしかった。
自分の皮膚が膨れ上がってしまったかのように、触られている部分と神経が遠く離れてしまっていて、
相当な力で掴まれているはずなのに、それを痛いと思わない。

「てめ、酒飲みがやったな?お酒は二十歳になってからってお母さんに習わなかったの?」
「…え…わかんない……」

本当にわからなかった。
もっと言うと自分が今、「わかんない」という言葉を口走っていることもよくわからなかった。現実味がない。

「コレは大人の飲むモンなの」
「大人だもん、わたし…」
「大人はそんなカッコで無防備になったりしませんー」

言われて、ペチペチと頬を叩かれた。
やっぱりそれをぼやけた感触だと思いながら、銀さんの言葉に回らない頭ながら違和感を覚えて、ふと自分の格好を見た。

「え…あれ……?!」

驚くことに、自分は着ていた着物の帯を解いた挙句に袖を脱いで、上半身は下着が丸見えのありえない姿だった。
そこで、ちょっと脳みそを逡巡する。
そういえば、そういえば。
なんだか暑くなって着物を着崩したような記憶がある。
なんでそんなことをしたのかは思い出せない。

「お前さァ、玄関カギ開いてたぜ?もし他の野郎が入ってきたりしたらどーするつもりだったの?」

ペチン。また頬を叩かれた。

「ご、ごめんなさい」

実のところ銀さんの言っている台詞を理解することがあまりできなかった(本当に、脳が深く考える事を拒んでいる)のだけれども、謝ってみる。

「…ったくよォ。銀サンだからよかったものの」

そう言うと銀さんは立ち上がる。
私はその顔を追いかけようとして頭を上げたが、途端にくらりとめまいのようなものに見舞われて、
これは気持ち悪くなる、と判断して慌てて首を下げた。

「大体こんなんどっから持ってきた?」
「お登勢さんが…銀さんにって」
「あ?ババアが?」

銀さんの言葉は私に理由を話すことを促しているようにも取れた。
でも、私はなんだか眠いような、車酔いのときのような倦怠感に包まれてぐらぐらしていて、
必要以上のことを喋ることが出来なかった。

そうしていると、銀さんがまた私の前にしゃがみ込んだ。

「つまりオメー、俺のモンを勝手に盗み飲みしやがったんだな?」
「…え…」
「ババアはお前なら平気だろうと思って持たせたんだろ?お前は俺とババア、二人とも裏切ったことになんな」
「え…ええっ…?」

淡々と言う、私を責める銀さんは、狼狽する私を見てニヤリと下世話な笑みを浮かべた。
…これ、いつものパターン。
この男がやろうとしていることがわかる。
なんとかせねば、と考えるのに、体がとても重くて、
しかも思考が頭の中で散り散りになってしまう。
そうこうしているうちに銀さんは、私の腰に、かろうじてまとわりついているだけの帯を勢いよく解いた。

「ハイ、窃盗・未成年飲酒のちゃんにお仕置きでーす」
「え、ちょっ…いや、いやってば…!」

帯を解かれてもう身体を覆ってすらいない着物を、バッという大きな音とともに取り払われて、
ぎりぎり脳みその正常に活動している部分が制止を求める。
だけども、自分の身体がズルンと床に落ちて、寝そべる体勢になってしまうと、
不思議なことに、このまま眠ってしまいたいという意欲のほうが強まっていく。
その気持ちに逆らえずに私は瞳を閉じた。

「オイ、寝んな」

べちっ。

またほっぺたを叩かれた。
音からして結構強い力なのだろうなぁと頭が冷静に考えている。
身体のほうは相変わらず感覚がぼやけていて、痛みも衝撃もきちんと感じ取れていなかった。

「次寝たらコレな、コレ」

その声に反応して銀さんの方を見ると、銀さんの羽織の帯の上から、いつもはだらしなく腰にひっかけられている細いベルトを、
銀さんは鞭でも持つかのように手にしていた。

「痛いぞ、これ」

バッチン。

擬音にするならそうとしか表現できない音がする。
銀さんがベルトでレザー張りのソファを叩いたのだ。
その音によって、私はハッと意識を覚醒させる。
まだ頭が上手く回らず、身体の自由も利かない、ふわふわしたような状態のままだったけれど、
無言で、コクン、とうなずいた。


「俺、酒飲むとボンヤリしてイキづらくなるんだけどさァ、もそう?」

私のブラジャーを外しながら、銀さんが楽しそうに言う。

「わ、わかんない…」

身体の触覚が鈍っている感じはある。
しかしそれがもっと具体的な…感じにくいとか、そういうものであるかどうかは本当にわからない。

「…まー今日初めて酔っ払ったんだからわかんねーで当然だよな…あ、もしかして前から飲んでた?」
「のんでない…!」
「そーか。いい子だ」
「…ん……!!」

言いながら銀さんが、私の露出した乳首を強くひねったので、身体がビクンと震えてしまう。
おかしな感覚だった。
確かに触れられていることはわかるのに、それが「伝わる」のが、いつもより遅いのだ。

「こんくらいが丁度イイだろ?」

銀さんが、今度は乳首にカリカリと歯を立てる。

「ん、あ…!」

言われるとおりかもしれない。
噛まれるといつもは痛いのに、今はなんだかムズムズとした感じがする。
銀さんの手指が身体を這う。
不思議な肉体でそれを感じながら、自分が快楽を得ているのかもよくわからぬまま、
目の前の男のされるがままになっている。
深く考える力が残っていない。
ただ、眠るとひどい目にあう、という危険察知能力と、お尻のあたりを動き回る大きな手によって、
私は身を震わせていた。
…それはつまり感じているということなのだろうか。
それを考えることもできない。
与えられる微妙な手触りだけが、今の自分の中で確かなものだった。

「女も感じにくくなんのかねェ」

下着越しに銀さんが、私の割れ目をなぞって言った。
指が下着のつるつるとした生地を上下しているのがわかる。
つまりそれは私がまだ濡れていない、ということを示すのだけれども、
秘部への刺激はきちんと感じられた。
…鈍っているとはいえ、敏感なところは敏感なのだ。

「あ…ぁ…」

気持ちいい。
ストレートにそう思う。
下着越しというなんともはがゆい感触が、私を興奮させている。
もどかしい。
思考がだんだんとさえてくる。
霧に包まれていた頭の中が、すっと開放されたほうに回転しだす。
ぼやぼやとした感覚がなくなったわけではないけれど、自分の現状はさっきよりもずっとクリアに判断できる。
下着に包まれた自分の陰部が熱くって仕方なかった。

ずっと割れ目を撫でさすっていた銀さんの指は、私の身体の変化をすぐさま理解したらしい。
じゅわりと愛液が滲んだ布地に触れて、その水気を帯びて張りつく下着の上から、
さらに手つきを激しくして、湿り気を広げるように指の腹で秘部をイジり続ける。

「銀さぁん…!」
「どーだ?目ぇ醒めたか?」

私の顔を見ていやらしくにやつきながら、銀さんは私の下着の端をグッと引っ張り上げた。

「あ、ん…!」

当然布地がじゅくじゅくになった割れ目に食い込んで、私の身体に快楽を伝える。

「あ…あ、ああ…い、いい…!」

きつく引っ張り上げられた下着を左右にぐりぐりと揺すられて、
私の口からはうわごとのようなはしたない声が漏れてしまう。
銀さんがまた、ニタァ、と笑って、下着にこめていた力を抜いたかと思うと、
今度はそのよじれた下着を私の脚から引き抜こうとする。
私はそれに応えようとして、脚をグッと高く上げた。

「オ、丸見え」

意図せずとも、それは銀さんの眼前に隠されていた部分をすべて見せる体勢になってしまった。

「ぅ…う」

私は何を言っていいかもわからず、脚をおろすにしても時既に遅しであり、
銀さんがその脚を押さえつけて、私の下着を抜き取っている最中だった。

「こんなカンジでよくない?」

そう言って、銀さんがようやっと脚から手を離す。
…こんなカンジ、というのは、おそらくびちゃびちゃになった下着が右の足首に引っ掛かった状態を指しているのだ。

…おやじくさい、この人。

年齢的にはもうすぐオッサンだものなあ。
そんなことを考えたあとに、自分がある程度モノゴトを認識できるようになっていることに気付く。
…その代わりに、こんどは 頭がかすかに痛んだ。気持ち悪い。
何もせずにいるとその感じが強まってきそうな予感がして、
私はごろっと身体を横に向けた。
すると力のこもった腕が私の背中を押して、
抗う術もなく私はうつ伏せにされてしまった。

「ほい、膝立てて」
「え…」

言われて、なんとも言えない気分のまま膝を立てる。
そこでふと、これは四つんばいじゃないか、と気付いて恥ずかしくなる。

「ちょ…ぎ、銀さっ!!」
「んで、アタマ伏せて」
「ちょっと…!」

グッと、私の頭に重みがのしかかる。
私は床に顔を伏せる形になり、その上両膝が勝手にズルッと滑って開いてしまう。
犬で言うところの「伏せ」をさせられている状況で、私は銀さんに性器を突き出していることになる。

「や、やあ…!」

振り返って抗議をしようとすると、また強い力で押さえつけられてしまう。
私はなんだか身体に上手く力が入らなくて、もう意識はハッキリしているのに、そのギャップに戸惑っていた。

「ちょ、んッ!!」

銀さんが、いきなり私の内股に口付ける。
そのうえそのまま舌の先で太もものラインをなぞられて、
中途半端に敏感になっていた私はおかしなくらい反応してしまう。

「ちょ、いや、あ、いやっ!」

内股をどんどんたどって行って、今度は秘部に、と思いきや、
生ぬるい感触は臀部にのぼっていき、突き出された私のお尻の上にちゅっとキスを落とす。

「やだ、やだくすぐったい…!」

私がじたばたと身体を揺すっても、銀さんはそれを押さえつけて、執拗に臀部と太ももを舐め続ける。
くすぐったさともどかしさと恥ずかしさでどうにかなってしまいそうだと、抵抗をやめて顔を伏せていたけれども、

銀さんが私のお尻のあなをツンと尖らせた舌先でつついたので、私は、
「きゃあ」なんていう、今時マンガでももう見ないような声を上げてしまった。

「ちょっ…ちょっ・・・ぎ、銀さん?!」
「んー?」

取り乱す私とは反対に、至極冷静にトボけた様子で、銀さんはまた私の後ろの窄まりを舐め上げた。

「い、や、やめてよそんなとこッ?!」
「そんなトコ?」

なま暖かい舌が、にゅるにゅるとお尻のあなを舐めまわす。
くすぐったいとかそういう感情もあったけれど、なによりも予想不可能なことをされたというパニックで、
混乱した頭のまま私はじたじたと銀さんから逃れようとする。

と。

くらり、とめまいがして、ああこれはまずい…と思うと同時に、
乗り物酔いと同じような気色悪さが全身を襲った。
それに気を取られて動きが止まる。
そんな私を見てか、銀さんはべチンと私のお尻を叩いた。

「ガキが飲酒なんかすっからそんなことになんの。わかったか?」
「わ、わかったから…ぁあッ?!」

だからもうやめて、と言い終える前に、銀さんの舌がまた私の下半身を這って、嬌声が上がってしまう。

「悪い事したら全部自分に返ってくるって覚えとけよ?女でも赤飯炊かれたら自分のケツは自分で持つの」
「わ、わかりましたってば…!だから…ッ」
「だから?」
「だ、だからもう、お尻のあな、なめないで…!」
「あ?」

銀さんの手が、私のお尻の肉に添えられて、
私が何か言う間もなく左右に思いっきり引っ張られる。
無理矢理開きかけにされた窄まりに、まさか、と思ったのだけれども、
…そのまさかで、
後ろのあなの中に銀さんの舌が侵入してくる。

「あぁぁッ…いやっ…いやッ!!」

ぶんぶんかぶりを振ると、そのぶん気持ち悪くなって、ああ駄目だ何をしても結局自分に返ってきてしまう、
まさしく銀さんの言葉どおりに…と思いながら、ちょっと目尻に涙をためた。

「コッチならいいの?」
「あッ?!」

舌先が前の割れ目に移動して、全身がビクッと震え上がった。

「まんこの穴なら舐めてもいいのか?」
「ま…ッて…!ちがう…!」
「聞いてんだけど」
「聞くもなにも…!」
「ケツとコッチ、どっち舐められんのがイイのかって、聞いてんの」
「…う…!」
「選べよ」

私はどんどん頭の中が回転して、
回転しすぎてこれ夢なんじゃないのかなんていうのん気な思考に包まれるという状態に陥った。

「オオーイ?」

ああ、もう本当にすみません、ごめんなさい、私が悪かったです、
盗み食いの類も飲酒ももうしません、だから、この状況を何とかしてください神様。

「聞こえてねーのか?」

ああ、もう。

「ま…お、おまんこのあな…ッ!そっちのほうが…ッ?!」

勢いあまって、フツウに「前のほう」とか言っておけばよかったものを、
固有名詞まで口にしてしまった。しかもとびきり下品な。
口元をバッと覆えど発言を目の前の男が忘れるわけもなく、
若白髪なうえ天然パーマなスケベ悪魔
(我ながら彼氏をこんなふうに言うのはどうかとも思わなくはなかったのだけども、だって、この男のこのときの顔と言ったら)
は、ニヤリニヤリ、こっちを見ながら下劣な笑みを浮かべて、これ以上ないくらい嬉しそうだった。

「い…あ…」
「聞いちゃったー。「おまんこの穴」だってー」
「…!!」
「いやどっちか選べとは言ったけど?フツーそこまで言うか?」
「…〜〜〜〜ッ!!」
「年頃の女の子がさァ…って、オイ」

恥ずかしさから、ついに涙を流しだした私を見て、銀さんは私をからかうのをやめる。

「わり」
「ぅ…」
「お詫びにのまんこの穴、ちゃんと舐めてやるからさ」
「うん…って、え?!」

私の頭を優しくぽんぽんと叩きながら、銀さんはとんでもないことを口にした。
思わずノリで頷いてしまった私ではあったが、すぐさまその明らかにオカシイ会話に気付き、
慌てて頭を上げる。
床に手足がべたっと張り付いた私の背後で、銀さんが動いている。
声を上げるより早く、私の臀部がつかまれて、
さっきの余韻を引くかのようにとろとろと蜜を滴らせるそこを、銀さんはじゅるう、と大きくすすった。

「んぁぁッ!!」
「もう開いてら…もう入れられるか?」
「え…その…さ、最後までするの…?!」
「たりめーだ」

まるで私がとんでもない愚問を口にしたとでも言いたげなニュアンスだ。

「だってよォ」
「え、あ…?」

腕をつかまれて、後ろ手に何かをぎゅっと掴まされる。
生暖かくて、びくびくと微動しているそれが、
つまりは銀さんのソレだと気付くまでに少し間があって、気の抜けた声を出してしまったが、
わかったとなると大人しくしていられない。
カチカチになるほど血液が集中した銀さんの猛りから慌てて手を離そうとするけれど、
私の手のうえから銀さんの手が覆いかぶさってきて、
私の手ごと肉茎を前後にごしごしさすった。

「ちょ…いやっ…!」
「もうこんななの、銀さんのココ」

ぎゅう、と手に力が込められて、自動的に私は銀さん自身を強く握るかたちになってしまう。
強く触れると、銀さんはもうはちきれそうなくらいに硬くなっていて、
先端から透明な滴りが滲み出ていることがわかる。
いつも抱かれているときのことを思い出して、うまく言い表せない暖かい気持ちが心に沸き起こらないこともなかったけれど、
でも、今、最後までする気力が自分にあるかというと、それもない。
今は疲れて、泥のように眠ってしまいたいという気持ちのほうが大きい。

「い、やあ…今日はここまで…!」
「それを決めるのはチャンじゃありませんー」
「な…」
「言ったろ?お仕置きだってよ」
「…う…」

それを言われると黙るしかない。
だってよく考えれば、元々お登勢さんに「アンタは手をつけるな」と言われた「銀さんにあげるはずだった」モノを勝手に私があけてしまったのだ。

「ついでにオメー…あ!これメロンカルピスじゃねーか!こっちも飲みやがったな!」
「…う、うぅ……」
「これを牛乳で割ると糖分王にはたまらねーモンになるわけよ?カルピスにはカルピスの楽しみ方があるの!
それをテメー何考えてんだか米酒とコラボレーションなんてよォ…。
うまいモンとうまいモンをミキサーで混ぜたらスゲーうまくなると思ってるバカの考えだろ!」
「う、ぅ…う」

「神楽もこれ楽しみにしてたんだぜ?
こないだスーパーで買ってやったかき氷マッスィーンで作ったかき氷にかけて食べるアル〜とか」
「あああっ!!」

私は大声で銀さんの言葉を遮った。

「もう!もういい!
わかりましたよ!悪いのは私ですよ!罰なら謹んでお受け致しますよッ!!」

チクチクと責められることに耐えられなくなって、私はついに開き直ってしまった。
それを聞いた銀さんは、またもやいやらしい笑みを浮かべて、
「解りゃあ話が早えぇ」
と満足げに言った。
それからおもむろに、自分の羽織の帯をしゅるっと抜くと、
私が反応する前に、私の両腕を背中にまとめて、それでその腕を縛り出した。

「えぇっ?!ちょ…っ!」
「ハイ口答え禁止な。バツを受けてください?」
「……」


この男、本当に。


さっきと同じように、私が床に顔を伏せてお尻を高く突き出す体勢を取らされる。
その突き出された先の私の芯は、


心底この男に酔って仕方ないのである。
今か今かと待ち構えるように、愛液がじわりと滲んでくる。
そのことをとてつもなく恥ずかしく感じながら、
私は銀さんの先端がそこを貫くのを待っていた。
くにゅ。

「んぁ…ッ!」

えらが張った銀さんの先っぽは、膣口を滑って私の秘部を刺激した。
それで私が声を上げたのが面白かったのか、
銀さんは自身の先端で割れ目をなぞり始めた。

「あ…ん…ん…!」

充血した陰核が、ぬるりとした感触でいじられるのは悪くない。
でも、もうその気にされてしまった私は、もっと直接的な快感を求めて、
物欲しげな視線を銀さんに送るより他なかった。

しばらくそうしていると、銀さんはガシガシ頭を掻いて、
私のお尻の肉に添えた手に力を加えた。

「ったくよォ…」

照れ隠しなのかどうか、思いっきり私の秘部を広げると、勢いよく猛った肉茎を突き込んだ。

「あああああぁあッ!」
「エロい顔つきしやがってよ…!」

怒張が全部入りきると、それが抜けないようにしながら、私の顔をガッと掴んだ。

「他のヤローの前でこんなエロ目使ったら容赦しねーかんな…ッ!」

待ちわびていた感覚にだらしなく喘ぎ続ける私の顔を、
銀さんはパシパシと手のひらで叩いた。

「ああ…ッ…あッ、しないよっ、銀さん以外の人の前でエロい顔なんてしないよッ…!!」

私の口から、普段なら恥ずかしくて到底言えないだろう台詞がさらさら出てくる。

「おし…イイ子だ」

銀さんの興奮が、ずんずん腰を打ち付けられるたび私に伝わる。
どんどん強く、急くように速くなってくる銀さんの動きを、
私はどうしようもなく嬉しいものとして受け取っている。
肉体的な快楽よりもこっちでどうにかなりそうで、でも、そうすると激しい動きに心を現実に戻されて、ということを繰り返して、
精神と肉体、両方をもう銀さんに支配されてしまう。

「あぁ…ぁ、銀さん、ほどいて…!」

肩を揺らして、巻きつけられた帯から私の腕を開放してもらえるように懇願する。
銀さんは鼻息だけ漏らして、何も言わずその声に応えて帯を解いてくれる。
自由になった身体で、私はもう恥ずかしいとか、そういう感情を捨て去って、銀さんにおねだりしていた。

「あッ…あッ、待って、ねっ、ぎ、銀さん、だっこ…!」

抱きしめて欲しい。
その思いだけ、他は何も考えずに声を上げる。
銀さんは額にうっすら浮かぶ汗をぬぐってから、私のうつ伏せの身体を動かして仰向けにしようとする。

「あ…いや…抜けちゃう抜けちゃうッ!」
「力込めてろ…オラ」

かぶりをぶんぶん振った私を、銀さんはあやすように抱き起こして、
陰部同士を結合させたまま、思いっきり抱きしめた。
そのことでもう脳がとろんとして、使い物にならなくなりそうだけど、
そこにダメ押しするかのように銀さんが快感を突き込んでくる。

「はっ、あ、あっ、あっ、あッ、い、いッ、いッ!」

落ち着きなく喘ぎながら、私は銀さんの背中に腕を回す。
がっしりとした身体。
それとひとつになれる幸せ。
せわしなく押し寄せる気持ちよさに揺さぶられながら、



私は充足して意識を手放した。











目覚めると私は、浴衣を着て布団に寝っころがっていた。

「…あれ…」

記憶に薄もやがかかったような気分だ。
現状はしっかりとわかるのに、なぜこうなったのか、私はなぜこうしているのか、思い出せそうで思い出せない。
ゆっくり起き上がって窓を見たところ、ちゅんちゅんなんて雀が鳴いて、
薄いピンク色の朝焼けが広がっていた。

「…」

私、あれからずっと寝てたんだ。
なんとも言えない気持ちになってふすまをスパンと開けた。
お味噌汁のいい匂いがする。

「あ、おはようちゃん」
「…あ、おはよう新八君」
割烹着に三角巾でキマリすぎた新八君が、食卓の前に座って明るい調子で挨拶してくる。
そしてテーブルを囲うソファには。

遅起きネ。ベロチューしても起きなかったアル」
「え、マジで」
「嘘アル」

スパァン、と、神楽ちゃんの頭に便所スリッパが炸裂する。
食事をしている最中だというのに便所スリッパはいかがなものか。

「ウソつくんじゃねーよ。それにオメーベロチューなんてどこで覚えた?」
「銀ちゃんが掛け軸の裏の引き出しにしまってある本からヨ」
「んな?!てめっ…」
「嘘アル」

お約束のごとく、またスパァン。
私はそのやりとりをボーッと見ながら、新八君が白米をよそってくれたのでソファに座る。

「いってーな!何アルか銀ちゃんホントに掛け軸の後ろに引き出しなんて隠してあるアルか?」
「アルアルうるせーよ。メシだメシ…新八それ」
「え?」

新八君が私に差し出してくれた焼鮭を、銀さんが自分のほうに手繰り寄せる動作をする。

「…銀さん?」
「ネボスケにメシはねぇ」
「んなっ…銀さんのせいなのに!」
「あ?俺のせいだァ?」

二人でいがみ合いかけて、
新八君と神楽ちゃんが黙って私達をジッと見ていることに気付く。
銀さんはエホン、と、
わざとらしい咳払いを一つして、背もたれに思い切りもたれかかった。

「よーするに、分相応の生活をしろってこった」

「…キレイにまとめないで欲しい」












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また書いちゃいました銀さん裏。
相方から、銀さんにビンタされる話が読みたいよ書いてーといわれたので、
よーし比良坂はりきっちゃうぞォとかそんな気持ちで。
ひとつ。
銀さんはおやじくさいエロをする人だといいな。
個人設定だともう27歳だし(いきなりマイ設定出した!)。

読んでくださった方々、ありがとうですよ。