「…はあ…。」

私は時計を見てため息をつく。
午前0時20分。時計はそんな時間を指している。

…数時間前、銀さんは「ジャンプ買ってくる」と言って外に出たっきり戻ってこない。
「ジャンプなら昨日買ったでしょ」と言う私の突っ込みは、
「たまには気分を変えて赤マルジャンプなんだよ」などとかわされてしまった。
つまりはぷらぷら出歩いてどこかで飲んでいるのだ。おそらく。

「はあ…」

私はまたため息をつく。
銀さんの、そういうルーズなだらしない所を含めて、私は彼を好きになったのだけど。
だけど。
こうして出て行ってしまわれると、どうにも切ない。
私が来て以来、神楽ちゃんは新八君が気を利かせて志村家に泊まる事が多くなったから、
銀さんが出て行ってしまえば私は独りだ。

何にも縛られずに、のらりくらりと物事をかわしてテキトーに生きてるところ。
私は銀さんの、そんなスタイルに見え隠れする武士道のようなルールに惚れた。
銀さんは、今のままでいい。
だから「一人にしないで」だとか「私のこと本当に好き?」とか、そんな事は言わない。

でもやっぱり…淋しいものは淋しい。


そんな事を考えていると、いきなり玄関の戸が開く音がした。
―銀さんだ。
思うより早く、私の足は玄関に向かった。


「銀さん!」
「うぃーーっす。銀さんのお帰りだよー」

ろれつの回っていない声で、顔を微妙に赤くした私の愛しい人がいた。

「飲みすぎだよ銀さん。お布団敷くから早く寝よ?」
「おう…ッとと」
「ちょ、わあっ!」

靴を足から抜き損ね、銀さんが玄関に倒れ込む。
それを私は間一髪で支える…事が出来ず、思いっきり銀さんの下敷きになって、二人玄関の床にもつれ込んだ。
背中に鈍い痛みが走り、おなかの方はのしかかる重みで苦しい。

「ぎ、銀さん…どいて!」
「いや、どかねえよ」
「…は?」

お酒くさい息を私に吐きながら、銀さんは訳のわからない事を言った。

よお」

体勢を変えて、私の上にのしかかるのはやめたものの、床に私を組み敷いているのは変わらない。
銀さんはそのまま、靴を履いたままの方の足で玄関の戸を閉めた。
器用な足だ。

「あの…銀さん…?」

上からむっつりした顔で見下ろされるのに耐えられず、私はそう問いかける。
すると銀さんはニヤッと笑い、アルコールのせいで紅潮した顔を私に近づけた。

「ぎ…」
、俺は今気分がいいんだよ」
「気分…」

それは酒のせいだろう。

「だからちょっくら可愛いちゃんにサービスしてやろうと思うわけ」
「さ、サービッ…んぐ!」

言葉を出し切る前に、口をふさがれてしまった。
…銀さんのくちびるで。

「ちょっ…銀さんお酒くさい!」
「くさい?ヒドいなあちゃんは。銀サン傷ついちゃうよ?」

そう言うと、うらうらと言わんばかりに私に口を近づける。

「サ、サービスって…何?!」

この酔っ払いには何をされるかわからない。
大好きな人だけれども、アルコールが入っているとなると別だ。
私は床を這って、銀さんの下から逃れようとする。

が、起き上がろうとする前に銀さんに押さえつけられた。

「逃げんなって」
「ぎっ…酔っ払いは早く寝る!以上!離して!」
「何だオイ、そんなに早く銀サンと寝たいって?待てない?」
「意味違うから!」

今度こそ逃げようと銀さんの手を振り払い、すぐさま膝立ちになって居間に向かう。
…が、やっぱりというか、足を掴まれた。
慌てて後ろを振り向くと、どんより酩酊した目の男がいやらしく笑っている。

「は、離してよっ!」

その目の中に見えた妖しい光に、私はなんだかぞくっとするものを感じて、懸命に足を押さえる手を振り解こうとした。
…喰われる。
本能がそれを察知する。
ようやく足から手が離れたと思えば、銀さんはよろけながらも立ち上がって四つんばいの私に向かってくる。
何か言おうとする前に、私は銀さんに担がれた。
そのまんま、荷物のように肩に担がれた。
よろける銀さんの足取りはめちゃくちゃに不安定で、暴れれば倒れかねない。

そんなわけで大した抵抗も出来ず、私は彼に担がれたまま寝室まで連れて来られてしまった。
二つ折りに畳まれていた布団を足で乱暴に広げて(やっぱり器用な足だ)、
銀さんはそこへ私を落とした。

「いたッ…」

突然投げ出されて身体をぶつけた私などおかまいなしに、にやけた銀さんが覆いかぶさってくる。

「ちょっと銀さっ…!」
「少し黙れ」

言われて、またくちびるを奪われた。
驚きで半開きだった私の口の中に、容赦なく舌が入って来る。

ああもう駄目だ…と、私は目をつぶって観念する。
もうこうなってしまうと、逆らえない。
私の身体が勝手にとろんとして、ムリヤリ入って来た舌を嬉々として受け入れてしまう。
舌から口蓋から、溜まった唾液まで残ることなく味わわれて、身体の芯がじわりと濡れる。

「んうッ…」

だだ漏れになった息が熱い。
気付くと私は、銀さんの背中に手を回していた。
目はずっとつぶっていたから解らないけれど、銀さんはにやけているに違いない。
口腔に流し込まれた銀さんの唾液を押し返すように舌を銀さんの口の中に差し込むと、
銀さんの歯が私の舌を甘噛みした。

「んはっ…」

ようやく口が離れて、私の身体は酸素を求めて息を荒げる。
そんな私を酒気を帯びた顔で笑ってから、
銀さんの手はいきなり私の着物の裾を掴んでめくりあげた。
私の足と、下着が露出する。

「い、いやっ…」

身体をわずかに揺すって形だけの抵抗をする。これは本心じゃない。
もう、飲まれるしかない事を私の身体は知っている。
だから下着にかけられた手を振り払うようなことは、しなかった。

「何だ…もう濡れてるじゃねーか」

私の翳った部分と、太腿の付け根まで下ろされた下着の間にねばっこい蜜が糸を引く。

「あ…いや…恥ずかしいから…」
「今更恥ずかしがんなよ」

私の脚から引き抜いた下着の湿った部分を弄くりながら、銀さんが笑う。
その下品極まりない動作に、私の頬が紅潮する。
私は目をそらすように、自分の顔を手で覆った。
すると突然太腿の辺りをくすぐったい感触が襲って、
慌てた私は脚をぱっと閉じて、同時に顔を覆っていた手を離した。

「オイオイ何すんの。銀サンはさまれちゃったじゃないの」
「だ、だってくすぐったいんだもん…!」
「照れんなよ」
「照れてない!本当にそのもじゃもじゃの天パがくすぐったいの!」

銀さんは、私の秘部に口を寄せようとしていた。
太腿に感じたくすぐったさは、銀さんの髪の毛だった。
あわあわする私をよそに、銀さんは私の太腿に手をしっかり添えて、浅い茂みに顔を近づける。

「あ…ッ!」

酔っている割には…いや、酔っているからか、銀さんの手の力が強い。
私の脚はガッチリ固定されて動かせない。
そうこうしているうちに、銀さんの息が私の茂みに吹きかけられた。
突然やって来た微妙な刺激に、私の身体はビクッと跳ねる。
銀さんはそんな私を笑うと、私の茂みに口付ける。

「ん…!」

赤かった顔が、さらに赤くなる。
いちいち反応する私を楽しんでいるのか、銀さんは舌で茂みを掻き分けて、鼻の先をツンとその中に埋め込んだ。

「い、いやっ!」

咄嗟に銀さんの頭に手をやる。
あちこちにハネた髪の毛が、やっぱりくすぐったい。
銀さんはそんな私のわずかな抵抗なんてモノともせず、ついには茂みの下の粘膜に舌を伸ばした。

「ぁ、やんっ…!」

もうドロドロになった私の秘部の愛液を、じゅるりと吸われる。
やめて欲しい、と恥ずかしさの中で思う。
そんなにされたら、止まるどころかどんどん溢れてしまう。
銀さんはそれを見逃さず、ニヤリと笑って私に言葉を投げかける。

「敏感だな、ちゃんは」
「〜〜〜…ッ」

私はまた目をつぶる。
銀さんの尖らせた舌先が私の陰核をつつくのに身体をびくびくさせながら、
時たまじゅわりと自分の芯が疼いて強い刺激を求めるのに、心のほうが恥ずかしがってどうにもならない。
「ん…あああ!」

尿道のあたりをつついていた舌が膣のいりぐちをぞろりと舐め上げたのに驚いて、大きな声が出てしまう。
いりぐちのあたりが一番弱い。
…銀さんはそれを知っている。

「ココ好きだろ」

銀さんの手が緩む。
私はそれを機にうつ伏せになる。顔を見られるのが恥ずかしかった。
けれども、すぐに後悔する。
この格好じゃ、銀さんにお尻を突き出しているのと同じじゃないか。
こっちの方が恥ずかしい。

「あッ?!」

体勢を立て直す間も与えてくれず、今度は銀さんの指が私の臀部をまさぐった。
あ、と声を上げる。
銀さんの指が、膣のいりぐちにつぷんと入り込んだからだ。

「あ…やあぁ…」
「ヤじゃねーだろ、ヤじゃ。ウソつくなよ」

こんなに濡らしてよ、と、銀さんが指を前後させる。
指はにちゅにちゅと音を立てながら割れ目を行き来した。
静かな部屋に、私のだらしない蜜の音が響く。
その音は私の鼓膜に触れて、じくじくと羞恥心を煽った。
もう限界、と言うくらい真っ赤になって、私は銀さんのほうを見る。

「銀さん…いじわるしないでよぉ…!」

どよんとした目が、ニヤニヤと笑う。
銀さんの表情は現状を楽しんでいた。
酔っ払い特有のけだるさもはらんでいるから、意地悪そうなことこの上ない。
私の腰を押さえて、そのまま指をずぶずぶと膣内に侵入させて来る。

「はああっ…うぅん…!」

私の秘部は、すんなりと銀さんの指を二本も飲み込んでしまった。
入るなり指は、私の内壁を荒っぽく掻きまわす。

「ああぁ…ぎ、ぎんさ…っ!」
「逃げんな。ほじりにくいだろ」

引こうとした腰をぐいっと寄せられて、動きを封じられる。
それに反発しようとすると、ちょうど指が中の敏感なところを擦った。

「んんう!」

膣の中の、小さな突起が密集したようなところ。
そこを銀さんの指が、クリクリと引っ掻く。

「や、やぁめてっ…そこいやぁッ!」
「ふーん。ここも好きなワケね」

指の腹で何度も何度もそこを撫でられる。
私はもう訳が解らなくなって、必死に自分の口を押さえて漏れて来る嬌声を止めようとしていた。

「そろそろいいかな…っと」
「え…っ?」

ずるん、と指が引き抜かれる。
腰に添えられた手も離れて、思わず私は振り返る。
…ちょうど銀さんがズボンのチャックを下げて、服の中からナニカを引き出そうとしているところだった。

「あ…銀さん…」

銀さんは至極楽しそうな顔で、ずいっと自分のそれを私の目の前に持ってきた。

「ホラ、がやらしーから銀サンこんなに元気になっちまったよ」
「う…」

目の前にそれを突き出されて、私は小さく呻く。
ちょっときつい匂いと、見た目グロテスクな銀さんの肉茎。
それはぴくぴくと脈打って、先端から透明な粘液を滴らせていた。

これが今から…私の中に。
そう思うとたまらなくて、私の心の中に二律背反が生まれる。
早く貫いて欲しい、銀さんと一緒になりたい欲望と、
こんな酔っ払いの意地悪に付き合わされてたまるかという理性と言うか、羞恥心。
どっちが勝つのか自分でも解らず、頬に押し付けられた銀さんの自身から逃げるように身をよじった。
銀さんはそれを見て楽しそうに笑うと、また私の腰をぐっと押さえつけた。
私に何も言う間も与えず、肉茎の先端が臀部のあたりを這う。
先っぽから出ている滲液が肌をぬめるのにもどかしさを感じた。
もう駄目だ、と、思う。
ちゃちな羞恥心より、本能のほうが勝っている。

「銀さん…ッ!」

たまらず私は彼の名前を呼ぶ。

「何、もう入れて欲しい?」

意地悪な言葉だった。
でも私は、その問いに一も二もなく頷いてしまった。

「は…ああぁあああッ!」

ビクビクと自分の腰が引こうとするのを感じ取る。
けれどもそれは銀さんの手で阻まれて、
私は身動きが取れないままずるずると肉茎が進入してくる圧迫感に悶えた。
指では届かない色んなところを、押しつぶすように容赦なく擦られる。

「はぁうぅン…んんッ!」

手と足をひくひくさせながら、愛しい人(酔っているけれど)の一部を、
私の身体はこれ以上ないくらい喜んで受け入れた。

「…っと、全部入ったぜ」
「う、うん…っ」

私がそう頷くと、銀さんはうつ伏せになっていた私の身体を抱き上げた。
自身が抜けないように気をつけながら私を仰向けにする。

「っは…」
「顔が見えた方がいいからな…」

そう言われて、キスされた。
やっぱり少し酒気を帯びた銀さんの息が、私の肺を満たす。
とどめに口が離れる直前にくちびるをぺロリと舐められて、私はビクッとして、それから背筋を走る快感に酔った。
きゅう、と膣が収縮する。
銀さんはそれを感じ取って、私の腰に回した腕を少し震わせた。

「あぅんっ!ぎ、銀さんっ…!」

ぐぐ、と、銀さんの熱が最奥までめり込む。

「あ、あたってる…あたってるよ…ッ!」

ほとんどうわ言のように、私の口が言葉を紡ぐ。
ふうふうと息が上がって、身体が汗ばむ。
脚が勝手にピンと張って、得られた快感に歓喜している。

「うら、お前も動け」

銀さんも少し顔に汗を浮かばせて、私の腰を持ち上げてゆるゆると抽送を始める。

「あっ…あ、あ、ぁ!」

ぐりぐりと中をえぐられる感覚に陶酔しながら、
私は銀さんに言われたとおりに膣に力を込めて、銀さんの自身を包む。
力を込めては緩めて、込めては緩めて。
腰砕けになりそうな快感の前には、このくらいの動きしか出来なかった。
そうしているうちに銀さんの動きはどんどん激しくなって、
そうなるとさらに私は動けなくなってしまう。
銀さんはしょうがねェな、と言って私を抱き上げて、繋がったまま銀さんの膝の上に座らされた。
すとんと身を落とされて、さらに深くなった挿入に驚きの声を上げる。
けれども間もなく、私は前後にがくがく揺すられた。

「んッ、ん、んんッ、あ、あ、ぎ、銀さんっ!」

どんどん頭の中が白くなっていく。
気を抜くともう達してしまいそうだった。
私は歯を食いしばって、銀さんの動きに合わせてあられもない声を上げる自分をコントロールしようとする。
でも、それもすぐに解けてしまう。
私は間抜けに開いた口から唾液を滴らせて、
もはやけだものじみた大きな声を上げていた。
その合間合間に、銀さんの名前を呼ぶ。
すると髪を乱暴にぐしゃりと撫でられて、
がくがくと動きながらのせわしないキスが降って来た。

―もう、限界。

「銀さっ…もう…私ッ、あ、あぁッ!」
「いいぞ…中に出すからなッ…!」

グン、と身体をそらす。
それが切っ掛けとなって、腰の奥に熱いものが噴出されるのを感じながら、私は達した。




「ふう…ぅん」
ぬろんと私の中から銀さんのものが抜かれて、私は心身共に虚脱状態になって布団の上に座り込んだ。

「銀さ…あ」

寝ている。
やるべき事はやったぞ、と言わんばかりの充足した表情で、銀さんは眠っていた。

「………。」

情緒のかけらもない。
私は深くため息をつくと、そんな銀さんの体勢を正して、その隣に自分も横になった。





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入院中に暇なのでノートに書いていた銀さん裏夢。
なんとか形になりました。
かなり好きです。銀さん。