夢
淡い朝 あけぼのの夢 迷い込んだ森の小道で うさぎが草を噛む音
いばらの薮に守られた どこか見えない窪地で うさぎが、遊んでいる
息を殺して 耳を澄ます うさぎたちと同じように 僕も、静かに歩く
たんぽぽ、泉、青い蛇 野いちご、棘、かすみ
僕のうさぎのことを思い出す 僕のうさぎは小さな白い箱の中 あの子には、隠れる薮がなかったから 僕はうさぎの箱をあけたことがなかった
うさぎがおどろかないように うさぎが逃げないように
わずかに重く暖かい箱の中で 僕のうさぎは眠っている
遠い光 覚めない夢 治らないささくれを舐める 子うさぎの舌の夢
2003.2.26■■